12話目
投稿が遅くなりました。
最近、忙しく、書く暇が在りません!!
夜。
ザジ達がフール街に反旗を翻しにかかる同時刻。
ルルアは闇の中に居た。
かび臭い闇がまとわりつく。
地下牢。
「はぁ・・」
ルルアのため息が反響する。
ルルアは牢屋にいた。
正確に言えば、とらわれていた。
地下牢に光はなく、暗闇があたりを支配している。時折、巡回にくる兵士がもつ松明の炎が目にしみる。
再度、ため息の音。
が、それはルルアのモノではない。
隣の牢屋にいる人物のものだ。
まあ、それを『人物』といってよいものなのか、と首をかしげる所ではある。
なぜならそれの頭には三角の獣耳がついているからだ。
ルルアはそれがいる正面の牢屋に視線を向けた。
「ユナ、何か文句在るのか」ルルアが疲れたように問いかける。
「おおあり、です」
すねたような声。
そう、
ユナとルルアはいっしょに牢屋に入れられていた。
ルルアは店を追い出された後、領主の城の前にいた。
気づいたら足を運んでいた。
ここにユナがとらわれている。どうして自分はここでじっとしているのか。ユナを守るはずじゃないのか。
自分をさいなむ。
そんなときだった。
「おい、」乱暴に背中をたたかれる。
振り返ると兵士がたっていた。
話によると、ここの法では一般人は立ち入り禁止らしく、即、城の地下にある牢屋行き、その後、処刑らしい。
どんな法律だ、唖然とした思いにとらわれながら適当に逃げようとする。
が、ふとルルアは足を踏みとどまる。
もしかして、これは城に入るチャンスなのではないか。
ユナを救うにしても、まず、城の中に乗り込まなくてはならない。
こんな変な法律を作っているくらいだ、城の見張りも大変なものだろう。
ルルアは自分の力を上手く制御できずに居る。
ユナは救いたい。
だが、ここの兵士と戦闘になった場合、ルルアは自分の力に飲み込まれる。
それはルルアがもう、力に支配されることを意味していた。
ルルアはこの世界でそんな存在になるつもりはない。
だから、
そんな危険を冒すより、牢屋から抜け出し、城の内部に侵入する方が良いのではないか、
そんな考えが浮かんできた。
安易な考え。
が、ルルアはそのときそれが妙案に思えていた。
だから、兵士に従った。
そして、牢屋に放り込まれた。
そこにユナが居たのは嬉しい誤算だった。探す手間が省けた。
ユナの驚いた顔。
ユナはマントは取られたらしいが、それ以外は変わった様子は無い。
良かった。
間に合ったらしい。
兵士がルルアをユナの正面の牢屋に入れ、鍵を閉めた。
兵士が牢屋のある部屋から出て行く。
それを見届けるとユナが慌てた様子で「何で、こんな場所に!!」と小声ながら必死に鉄格子に手をかけてをルルアを見る。
ユナを救いにきた、なんて恥ずかしいことは言えるはずも無い。
「まあ、ちょっとな」といいながらルルアは鍵開けの魔法を使おうとした。
なにか、違和感を感じた。
「・・・ん?」
(魔力の流れが、ない?)
そして、
「あ、」ルルアは気がついた。
牢屋の床には複雑な魔法陣が書かれている。
それには見覚えが在った。
話は少し変わって、魔力について。
魔法とは大気の中に含まれる『魔素』に干渉することで発動する。
そして、人の中に存在する『魔力』は魔素を変化させる触媒のようなもの。
それが多ければ、多いほど、魔素への干渉が強く出来る。
そして、この魔方陣はその魔素を排除するものだ。
つまり、魔法は使うことが出来ない。
こういう魔方陣というのは、効力は最初に注がれた魔力によって変わり、持続性が在る。が、時間が経つと劣化が生じてくる。魔法陣の線が薄れても、ほころびが生じてくる。
そうであれば、そのほころびから、解読し、解除することも出来るのだが・・。
ルルアは目を丸くした。
「ない・・。」
全くほころびが無い。
ほころび、というのも、劣化によるものだけではなく、書いた人物によって出来が変わる。
つまり、この魔方陣の完成度は異常に高い。
なおかつ劣化が見られない、
劣化防止用の魔法も同時に陣の中に組み込まれているらしい。
二つの効力を混ぜた魔方陣を作る。
だれでも、無理やりであれば、作ることは可能だ。
だが、それぞれの魔法は反発しあい、爆発が起こるだけ。
つまり、別々の魔法を組み合わせ、正常に作動させるためには、魔法の特性を理解し、反発しないように合成させないといけないのだ。
それには、微細な魔力コントロールが居る。
さらに、それが表すのは、ルルアが牢屋から抜け出せないという事実、そして、この城内には強力な魔法使いが存在するということだった。
舞台?は大まか、揃ってきました、
次回から、話が盛り上がれば良いな、と思います!
今後もよろしくお願いします!!