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元魔王の巡礼記 ユナside

冷たい。


それが、ルルアさんへの印象だった。


ユナの第六感は鋭い。

そして、常にその感覚は正しい。

何度もそれに助けられた。

だから、ルルアさんを冷たい人なのだと思った。

初めて会ったときこの人には逆らってはいけない、そう思った。

なのに。

ルルアさんは優しい。

今、思えば、奴隷を助けるなんて、本来ありえないことだ。

ルルアさんは優しいのだ。

こんなことは初めてだった。嫌な視線も向けてこない。

時々、私の耳を触りたそうにしているが・・・。なんなら、触れば良いのに、とも思う。

でも遠慮しているのか、触ってはこない。

確かに、ルルアさんのおかげで奴隷印が消えていたとしても、ルルアさんにはその権利が在るのだ。

なにせ、命の恩人なのだから。

そんなことを思っているうちに私の中の例の印象は薄れていった。


だから、私の感覚も鈍ったのかな、楽観的に考えていた。

でも、やっぱり違った。

そして、私が奴隷印の事で問い詰めたときだった。

ぞくっとした。

ルルアさんじゃ無いかのようだった。

雰囲気がまるで違う。

まるで、これは・・・。

なぜか、無くした記憶を思い出しそうになったのか、頭がズキっと痛む。

これだ。そうおもった。ルルアさんの中に在った冷たい存在が表出していた。

怖いというよりも、ただ、冷たかった。それは雪山に居るからとかじゃない。

全てを魅了し凍結させてしまうような感覚。

ああ、これが本当のルルアさんだ、納得した。

研ぎ澄まされた幻覚の冷気が私を動けなくさせた。死ぬとあの時は思った。

でも、ルルアはなぜか、謝ってきた。

私が悪いそれだけ言おうとしたのに、ふとした拍子に口から殺さないで、と出てきた。

そのときのルルアさんの表情はとても傷ついていた。

でも、そのとき私は自分の口からでた言葉に驚くだけだった。

でも、ルルアさんの優しさが偽りとは思えなかった。

そして、フールの街に入ってからも広場での出来事のとき、ルルアさんはとても怒っていた。

また、冷たい部分出ていた。周りの人は怖がってルルアさんから離れた。

ルルアさんは自分のことを上手く把握できていないみたいだった。

その後、すごく後悔していた。

私は突然、理解した。ルルアさんは孤独なんだ。だから、あんなに冷たいんだ。

そのとき、私はそれをなぜか、暖めてあげたい、そう思った。

ルルアさんが嫌がらなければ、私はルルアさんといっしょに旅をしたい。そうおもった。

 

でも、それはもう無理らしい。


ここの領主につかまってしまった。どこかで見た顔だと思ったら私を買った人だったらしい。それもここの領主。ルルアさんが太刀打ちできる人物じゃない。


ルルアさんの冷たさを誰か、なくしてあげて欲しい、。

そうするだけで、ルルアさんは・・・。




















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