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いちわ

お待たせしました

青年は目的の建物の前で地図を見ながらため息をついていた。


「あー疲れた、門番さんが簡単に地図を書いてくれなきゃどうなっていたことか」


そう言いながら扉を開けると酒の匂いと独特の煙草の匂いが体にまとわりつく。

入った瞬間には周りからの視線が来たが一瞬見たらどうでもよくなったようで今は特に青年に視線を送るものは居ない。

青年は中央にあるカウンターへと足を運び、案内役であろう女性に尋ねた。


「すいません。探索者になりたいんですが?」


「はい。分かりました。それでは、こちらに名前と一応使用する武器、年齢・・・あとはそうね?好みのタイプの異性とか書いてくれる?」


「な!?」


「冗談よ。ま、好み以外のことはちゃんと書いてね?」


青年をからかった案内役の女性は紙とペンを机の上に置きながらクスクスと笑っている。対する青年はからかわれた事反応してしまったのが恥ずかしいのか顔を真っ赤にしながら筆を取った。


「できました。」


「はーいはーい」


そう言いながら書類を回収して目を通す。


「じゃぁ確認するわね。名前はリュウイチ=ニノマエ。年齢は19。武器は・・・あれ?武器は?書いてないけど?」


「えーと。なんと言いますか。武器を扱ったことがなくてですね。一応鍛錬としては剣を父から教えてもらったので剣を持っているんですが。数えるほどしか使ったこともありません」


その言葉に受付の女性は頭痛を覚えたように米神を抑えた。


「良く・・・それで探索者になろうと思ったわね」


「いや〜とりあえずここに来たらどうにかなるかな?と思いたってですね。初心者向けの場所なら一般人でも慎重に行けば可能と聞きますし。誰かを師事出来ないのならそちらで我流に進むのも手かと一応は考えているんですよ?」


その言葉にため息をついた受付の女性は書類を回収した跡にリュウイチに向かって


「明日朝夜が明ける位に来なさい。あなたみたいな無茶苦茶な人初めてだから興味持ったし色々やってあげるわよ」


「はい。分かりました」


受付嬢の言葉に笑顔で答えながらリュウイチはとあることに気付いた


「すみません。あなたのお名前は?」


「あぁ。ごめんなさいね。アンジェリー=キャロルよ。好きに呼んで頂戴」


その時の笑顔はとても綺麗でなにか怖かった・・・

そう後にリュウイチ=ニノマエは語った。




さて、さすがにあんな情報ではすぐに登録をするのは無理という事で明日の早朝に行うナニカが終わったら改めて登録を行うという形になった。なんだかんだでここに来るまでに時間もかかってしまいもう夕暮れで宿を決めないとまずい時間になってきていた。

ギルドからでて右を見れば宿街らしく多くの看板が出ている。資金にあまり余裕も無い為ギルドから段々離れた場所に向う。こういう宿とかは便利な場所にあるほど値段が高いのは基本中の基本なためである。実際ギルドから程よく離れた…ギルドの喧騒もあまり聞こえない場所にはとても高そうな宿があった。もちろんそんな場所にとまれるわけも無く街の城壁近くまで歩いていくと宿街の端といってもいいような場所にある宿屋に目が行った

『子ウサギの宿屋』入り口付近の壁にはギルド承認宿屋!初心者大歓迎!という張り紙もしてある。


初心者向けならそんなに値段も高くないだろう。念のため値段を聞いて高かったら諦めればいいやと思いながら入り口のドアをくぐるとカウンターがありオッサンと言ってもいいような風体の男性と目があった。

「ん?どうした?客か?探索者か?」

「とりあえず客候補で探索者未満です1泊2食位で泊まりたいんですけどお幾らですか?」

「夕食は基本付かないな。酒場もあるからそっちで各自食べてもらってる。朝食込みの1泊1食なら4000Rだ」

「今日はじめてこの街に来たんですが相場はどの程度なんですか?」

普通他の店に行くことを臭わせる事を言うもんじゃないが初心者歓迎のギルド系列ならまぁいいだろうと思いながら聞いてみると対して嫌がることも無く教えてくれた。

「大体は変わらないな。飯が付いてない素泊まり専用なら1000R減る位かもしれないが、まぁもちろんこのランクの店ならばってことだが。最高級だと…そうだな飯付で200000Rとかもあるかもしれんぞ」

あまりに高額な金額を言われたが今の自分には関係無い事と割り切って流す。自分の持ち金何十倍とか悔しくても計算なんかしない。

「丁寧に情報ありがとうございます。お礼といってはなんですがとりあえず1泊1食で」

そう言いながらカウンターに4000Rを置く。その銀貨を引き換えに鍵がカウンター上に置かれる。

「じゃぁ101号室だ。場所は左廊下の突き当たり右になる。飯を食べるなら右廊下が酒場への入り口だ今日はそんなに人も入ってないから混みはしないが季節によっては人が多いときもあるからな。そこらへんは自分で隙を見て飯を食ってくれ」

「了解です」


部屋に入ってみると意外と広く圧迫感は感じなかった。部屋に居ても得にすることが無い為腰の剣を武具をかけるであろう壁の出っ張りにかけてとりあえず酒場にむかってみると、確かに余り人は入っていなかった。

でも客入り自体は店長の予測道理なのだろう。店員が暇そうに余っているわけでもなく、忙しくてどたばたしてるわけでもなく淀み無く動く程度に人が店内にいた。

小さな一人掛けの机に座ってメニューを開いてみると看板メニューだろうかおすすめにウサギのビーフシチューというのがあった。他にも黒パンがメニューに載っていた為店員を呼んで注文する。


「その二つでいいの?」

「うん」

「じゃぁ900Rね」

「ちょうどで」

「毎度〜」

等とてきぱきと動く店員との会話は心地よいものがあり店員自体も結構かわいい女性だったため注文後も酒場でちょこちょこ動く店員を目で追ってしまう。


そのまましばらく見ていれば店員さんが注文した料理を持ってきた。さすが看板メニューらしくウサギの肉は柔らかく食べやすいのにお肉の感じがきちんとした良い一品でした。パンの方は焼きたてではなかったがシチューを染み込ませて食べればちょうどいい感じ食べやすくあっと言う間に器の中をきれいに食べ終わった。

店員の女性にお礼を言い席を立ち食堂を後にする。


自分の部屋に戻り部屋着に着替え荷物のチェックをする。チェックといってもこの街に来るまでは特に戦闘も発生しなかったため残量確認するのは保存食くらいだ。そういえば、水が残り少なくなっているため明日朝訓練前にでも宿の店主にいって井戸水を貰おうと朝の予定を決め早めに床に入った。

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