T大卒の新人が、入社5年目の俺にこう言った。「よう、Fラン卒。お前なんて用済みだ、さっさと辞めちまえ」→「わかったよ」本当に退職届を書いた結果…
「よう、Fラン卒。お前なんて用済みだ、さっさと辞めちまえ」
人事部内が、水を打ったかのような静まりを見せる。
そして、皆が等しく驚愕の表情を浮かべては、俺と新入社員の阿久津君を交互に見つめている。
「俺はな、T大卒だから、入社前に人事情報を掌握できてたんだ。で、お前の学歴だけが気に食わなかったから、出て行ってもらうことにした」
「はい…?」
「いいか、戸崎?俺に戸崎の分の給料をプラスして払ったら、お前の十倍の仕事をしてみせる」
何だか無茶苦茶なことを言っているように思うのは、俺だけだろうか。
俺の給料をそのままくれれば、俺の十倍の仕事ができるだなんて、本気で思っているのであれば、へそで茶が沸いてしまう。
だから、俺はその挑発に乗ることにした。
乗った先に何が待ち受けているのかはわからないが、それだけ強気なら何らかの成績を残せるんだろうなとも思う。
「わかったよ」
俺は色んな意味を含めて、この言葉のみを口にした。
俺の名前は戸崎誠、二十八歳だ。
大学を卒業してから、桜木メーカーという地元の下請会社に入って、五年が経過する。
配属先は人事部だ。
社員や役員の個人情報を扱う部署で、最初は緊張してばっかりだった。
手元が滑って個人情報が漏洩したらどうしよう、ファックスの番号を押し間違えて機密が漏れたらどうしよう。
俺は昔からちょっと神経質なところがあるから、震えるほどに緊張していた記憶がある。
「よっしゃぁ、今日も一日お疲れさまぁ!」
俺が入社時から足繁く通っている、茂木屋という居酒屋で、今吉川沙希さんという総務部の同期と宴会中だ。
同期は何人かいるものの、俺と沙希さんは気が合って、よくこうして二人で飲みに来るのだ。
「うっわ、美味しい!なんかさ、もうこの一杯のために生きてるって気がするよね!」
沙希さんは口元に泡をいっぱいつけ、感慨深げにそう言ってから、もう一度喉にビールを流し込む。
なんだか女にしておくのがもったいない、豪快な飲みっぷりだ。
「ほらほら、戸崎君も飲んだ飲んだ!」
「ウィッス、沙希さん!」
大笑いしながら宴席を楽しむ俺達を、茂木屋の大将である茂木さんは、いつもニコニコしながらカウンター越しに見つめてくる。
茂木さんとは知り合って五年になるが、怒った顔を見たことがなかった。
「そうだ、戸崎君、知ってる?うちの会社にも、とうとうT大卒が入るんだって。ヤバイよね?」
「ああ、それはヤベーわ…え、でも…?」
「どしたの?」
「そんな高学歴の人が、なんでうちの会社に?」
すると、沙希さんも「あ…」と言ったきり固まった。
「もしかして、幹部候補生とか、かな…?」
「すごいね、幹部になれるのを約束された新入社員って。将来は社長かな?」
「それって、ヤバイね?」
「ヤベーよ!」
こんな感じで、俺達は盛り上がっていく。
酒が入るたびに呂律が回らなくて、自分が何を言っているのかよくわからなくなるが、沙希さんが笑っているなら、俺も楽しい。
それでいいじゃないかと、半ば本気で思っていた。
それからほどなくして、新入社員が入社してきた。
今年の新卒は八人、そのうちの一人がT大卒の阿久津照也君で、見た目は22歳という年齢より、少し老けて見える。
俺より五歳年下だから、二十三歳くらいだと思うのだが、三十歳くらいに見えるから不思議だ。
「私、阿久津照也は、T大卒のエリートであり、この会社に変革をもたらす者でもあります」
入社初日にして「会社の変革」と言うのだから、やはり高学歴は侮れない。
俺も負けていられないなと、俄然仕事へのモチベーションが高まってきた。
しかし、人事部全員の前で抱負を語っていた阿久津君は、ぐるりとその場に集う顔ぶれを見回すと、なぜか俺に視線を固定させた。
「ああ、あんたが戸崎?Fラン大卒の?」
「は?」と俺は思った。
どうして阿久津君は、自己紹介もしていない俺の名前を知っているのだろう。
それに、今「エフラン」と聞こえたように思えたのだが、どういう意味なのだろう。
「エフラン…ああ、もしかして、Fラン、かな?」
そうは思うものの、カタカナがアルファベットに変わったら、余計わからなくなった。
そして俺は阿久津君の爆弾発言に我が耳を疑うことになる。
「よう、Fラン卒。お前なんて用済みだ、さっさと辞めちまえ」
人事部内が、水を打ったかのような静まりを見せる。
そして、皆が皆、驚愕の表情を浮かべては、俺と阿久津君を交互に見つめている。
「俺はな、T大卒だから、入社前に人事情報を掌握できてたんだ、で、お前の学歴だけが気に食わなかったから、出て行ってもらうことにした」
「入社前に人事情報を掌握って、それ重大な問題では…?」
「うるさい。俺に戸崎の分の給料をプラスして払ったら、お前の十倍の仕事をしてみせる。T大卒を舐めるなよ」
ああ、つまり俺は阿久津君からしたら、「仕事ができないやつ」なんだな。
いや、しかし今日入社式を迎えた子が、いつどこで俺の仕事ぶりを見ていたんだろう。
俺の給料についても詳しそうで、一円単位で把握していそうな感じだ。
「わかったよ」
俺は事も無げにそう言って、周囲を驚かせた。
「え、戸崎さん、マジ?」とか「ありえねぇ…」とか聞こえてくるけれど、俺は自分がそうしたいと思う道を選んでいるだけであり、何の心配もいらない。
正直まだ人事マンとして未熟で、もう少し修行しておきたかったのだが、阿久津君が「辞めろ」って言うなら仕方がない。
俺は別に怒っていないわけじゃない。
むしろお腹の辺りに熱を感じるくらいには、怒ってる。
「給料増えれば仕事十倍…なら、せいぜいやってもらおうじゃないか」
俺はそんな風に思いながら、自分の席に座って抽斗を開け、退職届を書き始めた。
ネットで退職届の書き方を調べつつ、俺は約三十分かけて退職届を書き上げた。
そして席を立ち、熊田悦子人事部長に向かって、退職届を提出する。
「…え?なんで?」
熊田部長の第一声はこれだった。
「阿久津君に、辞めろと言われましたので」
「あんなの、ちょっとした嫌がらせでしょ?真に受けないで」
それに、新入社員に人事権などありはしないというのが、部長の言い分だ。
俺もそんなことはわかっているが、この腹立ちをどうしたらいいのかがわからない。
「俺にも意地がありますので」
退職届を部長に押しつけたり戻されたりしながら、俺はまた考える。
今日限りで俺が辞めたとして、明日から阿久津君が俺の十倍仕事をする光景を、どこから見たらいいのだろう。
沙希さんに頼んで、動画でも撮影してもらおうか。
いや、それじゃ沙希さんが自分の仕事に着手できなくなってしまう。
「あ、そうだ」
「何、どうしたの?」
「警備室に頼めばいいんですよ。いいことを思いついたな」
俺が左手の上に右手の拳をポンと当てると、熊田部長が「どういうこと?」と言いたそうな目を向けてきた。
「部長、俺、阿久津君が俺の十倍の仕事をするところが見たいんです」
「ああ、それで警備室…」
「できますかね?彼、人事の素人ですよ?」
「でも、T大卒ですもの、侮れないわ。案外やるかもしれないわよ?」
俺達は、本当の意味で、有名大卒というものがわかっていなかった。
「勉強が超できる人だから、仕事も超できるはず」という等式を、割と本気で信じていたのである。
とにもかくにも、こうして俺の退職届は熊田部長の手に渡ったのであった。
翌日、俺は夕方の時間帯に茂木屋ののれんをくぐった。
夜になったら会社の警備室で昼間の映像を見せてもらうつもりなので、お酒は飲まずに食事だけにとどめる。
「おや、今日は飲まないのかい?休肝日かな?」
いつもの笑顔で聞いてくる茂木さん。
「いや、会社を解雇されました」
「はい?何の冗談?」
「マジですよ、マジ。新入社員の中に、阿久津っていう子がいてですね…」
俺が全て話し終えた頃には、茂木さんは顔を真っ赤にして怒っていた。
「てやんでぇ、学歴が何だって言うんだ?社会に出たら、仕事ができてナンボだろうよ?」
「そうですよね、俺もそう思います。だから、これから確かめに行くんです」
「そいつぁ、面白そうだなぁ?」
「わりと、ドキドキしてます」
すると、茂木さんは暖簾を外してきて店じまいの準備をすると、エプロンを外して俺の肩に手を置いた。
「行こうや、戸崎さん」
「へ?」
「俺も、その阿久津君ってのを、見たくなってなぁ」
茂木さんは、俺と一緒に会社に行く気満々だった。
彼は部外者なのだが、果たして警備室に入れてもらえるだろうか。
そう考えて不安になり、俺は熊田部長へと電話をかけた。
警備室には、当事者として俺が行き、俺の信頼できる友人が証人として同行すると告げたのである。
部長は電話の向こうで驚いていたが、最後にはこう言った。
「何事にも証人は必要だわ。私から警備室に連絡しておきます」
電話を終えた俺は、茂木さんに向かって声をかける。
「茂木さん、行きましょう!」
俺は定食の最後の一口を食べると、茂木さんと肩を組みながら会社の警備室を目指すのであった。
会社に到着し、警備室で昼間の人事部の様子を画面に映してもらうと、信じられない光景が視界に飛び込んできた。
「え…?なんで、何が起きてるの?T大卒って…」
俺は、この時初めて「T大卒とは?」と、愕然とした。
隣に座っている茂木さんも、唖然として映像を見つめている。
「高学歴は仕事ができる」という等式が、目の前で砕け散った瞬間だった。
翌日──。
俺は熊田部長からの電話によって起こされ、会社まで来るようにと言われた。
もう言うことを聞く義理もないのだでシカトを決め込もうと思った俺だが、小心者ゆえに、「行かないと退職金がもらえないかも!」と怯えてしまい、行くことにした。
昨日茂木さんと警備室で見て知っていたのだが、人事部内はとんでもない惨状に見舞われていた。
全社員の履歴書、職務経歴書、通勤経路申請書、社会保険手続き書類など、個人情報などが床の上に散乱している。
シュレッダーは紙詰まりでピーピー鳴っているし、コピー機も給紙やインク切れでけたたましい音を立てている。
落ちた書類の上には飲み物が零れていて、復元不可能な書類まで出てきている始末だった。
「阿久津君、どうでした?」
俺はこんな短い質問をした。
熊田部長がどの程度この惨状を把握しているかが、知りたかったからである。
「どうもこうもないわ。まあ、昨日の午後からこの惨状は完成し始めていたのだけれど」
「俺も警備室でモニター映像見ました。確か阿久津君、俺の十倍仕事するって言ってましたよね?」
「私もそう思って本人に聞いたの。そうしたら、まだあなたの分のお給料をもらっていないんだから、真の実力を見せられないって言うのよ…」
ものすごい暴論だ。
この惨状を見る限り、十倍じゃなく、マイナス十倍なんじゃないかと疑ってしまう。
そこに、熊田部長の内線が鳴ったので、俺は目で「どうぞ、取ってください」と促す。
電話は社長からのもののようで、熊田部長は「はい、すぐに行きます」と言って通話を終えた。
「戸崎君、社長がお呼びよ、社長室に一緒に行きましょう」
「え、俺も…ですか?」
「桜木社長にあなたが来ていることを伝えたら、連れて来るようにと言われたわ」
「えっと、俺はもう退職しているので…って、痛いですよ、部長!」
俺の抗議など、熊田部長の耳には全く届いていなかった。
社長室に足を踏み入れると、室内には桜井社長と、阿久津君、そして阿久津君をそのままおじさんにしたような人物がいた。
俺は熊田部長に腕を引かれつつ、阿久津君そっくりの中年の男性の前で小さくお辞儀をする。
「初めまして、戸崎と申します」
「君が戸崎君か!照也の父の照義だ!桜木社長とはちょっとした知り合いでね!」
ああ、なるほど。
阿久津君のお父さんだったのかと、心から納得できた。
しかし、社長の友人でもある照義さんは、一体何のためにここに来たのだろう。
俺に対して思うところはあるようなのだが、全ては阿久津君の発言から始まった騒動なので、照義さんは無関係なのではないか。
だが、そのうち照義さんが、こんなことを桜井社長に言い始める。
「彼がFランのくせに息子をバカにした社員ですか?クビでお願いしますよ、桜木社長?」
「えっと、人事からは阿久津君が勝手に暴走したと。戸崎君は阿久津君に解雇を言い渡されたと聞いていますが」
「証拠がない!言いがかりはよせ!」
そこで、社長室に顔を出したのは、何と沙希さんだった。
「社長、失礼します。とある人物をお連れしました」
いつになく真剣な沙希さんの声。
「あと、証拠ならありますよ!」
「どういうことだね、吉川君?」
桜木社長が怪訝そうな声で沙希さんに話しかけると、彼女はスマホを取り出して、録音していたものをその場に流した。
『よう、Fラン卒。お前なんて用済みだ、さっさと辞めちまえ』
『俺はな、T大卒だから、入社前に人事情報を掌握できてたんだ、で、お前の学歴だけが気に食わなかったから、出て行ってもらうことにした』
そして、
『いいか、戸崎?俺に戸崎の分の給料をプラスして払ったら、お前の十倍の仕事をしてみせる』
一体いつの間にこんなに完璧に録音したのか。
再生が終わると、気まずい沈黙が室内に流れる。
その時、入口からとある人物の声が聞こえ、これには誰よりも桜木社長がギョッとしている。
「も、茂木様!?」
まさかこんなところで茂木さんと会うなんてと、俺もびっくりした。
今日の茂木さんはエプロン姿ではなく、濃紺のスーツをきっちり着こなしている。
こうして見ると、飲み屋の大将というよりは、デキるサラリーマンという感じだ。
「久しぶりだな、桜木社長。今日は戸崎君の件で話をしに来た」
「ど、どうぞ…応接の方へおかけください」
「桜木社長、困りますね?うちの息子の件を放置するおつもりですか?」
ここで照義さんが心底気に入らないという様子で、桜木社長の肩を掴む。
「いえね、物には順序というものが…」
「うちの息子の件の方が、早く持ち込まれているでしょうが!」
「だから、そういうことではなくて…」
そこで茂木さんが立ち上がる。
「阿久津さんでしたかな?あなたも、桜木メーカーの株を保有しているのですか?」
「私は照也の父であり、株主というわけでは…」
照義さんが、茂木さんの圧のある声に、少々気圧されたように見えた。
「私は発行済み株主の四十パーセント保有しています。つまりは筆頭株主だ。よって、発言権がある」
俺は心底びっくりしたし、お茶を淹れて持ってきてくれた沙希さんも、「は?」と間抜けな声を発している。
熊田部長は知っていたみたいなのだが、阿久津君は目を白黒させていた。
俺はこの時、もしかしたら俺は起死回生の一手というものを、まだ持っているのではないかと思った。
「昨日のあなたの息子の醜態、あれは何だ?」
「醜態…そんな話は聞いていない。何かの間違いだろう、照也?」
「パパ、それがね…」
阿久津君はお父さんのことを「パパ」と呼ぶのかと感心していると、彼は照義さんに給料が低いからやる気が出なかったというような言い訳をした。
給料を積まれたところで、結果は変わらないだろうに、何を言っているのだろう。
「だからさ、パパ…あいつを…戸崎をこらしめてよ…Fランのくせに…」
昨日から「Fラン」という言葉をよく聞くのだが、本当にどういう意味なのだろう。
俺なりに考えた意味はあるものの、どうやらこちらを褒める意味合いの言葉ではなさそうだ。
「あの、俺がFランって、何でそう思ったの?」
至極全うな問いかけをすれば、阿久津君もびっくりしたという顔で俺を見てきた。
「だって、わけわかんない大学出てたじゃないか!やたらカタカナが多くて…」
「カタカナ…まあ、そうだよね。俺は海外の大学出身だから」
「えッ!?」
「え…?」
俺達は二人同時に驚くが、同じ事実に驚いたわけではなかった。
阿久津君は俺が帰国子女だと知らなかったことに驚き、俺はあの大学名を知らない人間がいるのかと驚いた。
「阿久津君、俺の履歴書、どこで見たの?」
「パ、パパが桜木社長に話を通してくれて…入社日前に人事部で…わ、悪いのはパパであって、僕じゃない!!!」
よくよく聞けば、それは俺が沙希さんと茂木屋で飲んでいた時の話らしい。
全社員の学歴をチェックして、一番バカっぽい大学を出ている俺をターゲットにしたという。
「僕には社員を解雇できる力があるって見せたかったんだ」
「なんでそんなこと思ったの?新入社員に、先輩社員を解雇する権料があるわけないじゃないか」
「苦労してするのはもう嫌だった…楽して偉くなるために、僕は学歴を使ったんだ」
なぜそんな思考になったのかと言えば、阿久津君には苦労の軌跡があった。
彼は高校を卒業して、T大に入るまで、実に四浪していたという。
そして入学してからは勉強についていけず、卒業するまで八年かかっていた。
つまり高校を卒業してから、T大を卒業するまでに、実に十二年もの歳月を要したということになる。
「え、十二年…ないわ…悪いけど、ないわ」
「人生色々って聞くけど、あんた苦労してたのねぇ、ある意味すごいわ」
沙希さんも半ばぽかんとしながらそう言った。
ちなみに、阿久津君はやはり年齢三十歳だった。
履歴書にはそう書いてあるのだが、社内では二十二歳で通そうとしていたという。
「戸崎君を解雇するなら、次の株主総会でこの件を取り上げる。無論、桜井社長の責任を問いたい」
ここで、桜木社長が決断した。
俺の退職届を受理しないとし、茂木さんには今まで通り筆頭株主を続けてもらう。
この件を株主総会の議題にしないでくれと、社長が必死に茂木さんに頭をさげていた。
筆頭株主が相手では勝ち目がないと見たのか、照義さんは思いのほかあっさり自分の言い分を引っ込めた。
「阿久津君、君のことは解雇にしない…。今回のことは、世間知らずな新卒がやらかしたものとして片付ける。次に同じことしたら解雇だけどね」
そう言って桜木社長は、彼に庶務課への異動を命じた。
新入社員がわずか二日で別部署へ異動というのは、前代未聞の出来事だった。
「ああ…、Fランの意味、教えてやるよ」
「ああ、もういいよ。わかったから」
「は…?」
「The First Rankの略なんだよね?」
すると、阿久津君は「負けた」というような表情を見せ、沙希さんは手を叩きながら笑った。
「案外正解かもね!なんたって、戸崎君は海外の一流大卒だもの!」
その瞬間、阿久津君の両肩ががっくりと落ちた。
(了)




