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第8話:朝日姫と大政所

「秀吉は正気ですか! 実の妹を無理やり離縁させて私の嫁に差し出し、今度は実の母親まで人質に送ると言い出しました。家族を何だと思ってるんだ!」

浜松城の広間で、家康は秀吉から届いた至れり尽くせりの書状を放り出した。

部屋の隅でコマを回して遊んでいた信長は、顔も上げずに鼻で笑った。

「猿は今、おみゃあに最強の接待を仕掛けとるんだわ。身内を切り売りしてまで尽くす、あの狂気こそが猿の真骨頂だがや」

「尽くされてる方の身にもなってください! 私はただ、平穏に隠居したいだけなんです!」

「そりゃあ無理だわな、おみゃあも狂気で返せ。母親を預かる座敷の床下には、たっぷり薪を積んどけ。いつでも焼き殺せる準備をして、最高級の笑顔でもてなしてやるんだわ」

「……また火ですか! 織田さま、発想が魔王のままですよ!」

「演出だわ、万が一の時は道連れにするという覚悟が猿を一番黙らせるんだがや。ほら、嫁を迎えに行く顔を作れ!」

家康が鏡の前で引きつった笑顔の練習をする横で、信長は「どえりゃあ面白い見世物だわ」と独楽を回し続けていた。

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