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第32話:征夷大将軍へ

「将軍の宣旨が届きました、これでようやく……」

家康が震える手で書状を捧げ持った瞬間、信長がその顔面に強烈な蹴りを見舞った。

「こんな古臭い紙切れ一枚で顔を赤らめて、おみゃあは乙女か! 将軍だの何だの、かつて俺がゴミ溜めに放り投げた足利の抜け殻じゃにゃあか。それを拾い集めて喜ぶとは、つくづく器の小せぇ狸だわ!」

「ひっ……! ですが、これがなければ天下は収まりませぬ。見せかけであろうと形が必要なのです!」

「形だと? ならその重苦しい装束を纏って、一生朝廷の犬として踊っとれ。俺ならこんな書状、その場でケツを拭いて突き返してやるわ!」

信長は家康の首根っこを掴み、無理やり上座に押し付けた。

「ええか家康、将軍ちゅうのはな、天下人の称号じゃにゃあ。これからおみゃあが日本中の大名を形式という名の鎖で縛り殺すための、処刑台の名前だわ。ほれ、笑え。もっと性格の悪そうな極悪人の面で笑ってみせにゃーか!」

家康は首を絞められながら、涙目で無理やり口角を上げた。信長はその無様な姿を見て、狂ったように高笑いした。

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