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第31話:徳川の天下普請

「見てください、この泥沼……ここに日本一の城を建てるなど正気の沙汰ではありません。大名たちからも不満が続出しております」

家康は泥まみれの設計図を広げ、江戸の湿地帯を前に途方に暮れていた。信長は家康の泥だらけの袴を笑い飛ばし、まだ見ぬ江戸の空を指差した。

「不満が出るのは狙い通りだがや。大名たちに巨大な石を運ばせ、山を削らせろ。奴らが重い石を運んでヒーヒー言わせる音こそが、俺にとって最高の音楽だわ! 金を使い果たさせれば、戦をする元気も無くなる。内政ちゅうのはな、民を救うフリをして敵の牙を抜く静かなる嫌がらせなんだわ!」

「……つまり、この普請そのものが、彼らを従わせるための罠なのですか」

「ほうだ。安土より、大坂より、もっとデカいもんを作るんだわ。おみゃあの執念をこの泥の中に埋め込むんだがや。完成した頃には、奴らは石運びのプロになっとるわ!」

家康は信長の言葉に頷き、諸大名へさらなる難工事を命じた。家康の目は、もはや内政官のそれではなく、大名たちを公共事業という鎖で縛り上げる、冷徹な支配者のものになっていた。

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