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第30話:三成の処刑

「織田さま、終わりました。三成殿の処刑が決まりましたが……あの男は最期まで柿一つ食べず、義を貫こうとしておられる。少しばかり、情が移ってしまいました」

家康は、引き立てられていく石田三成の背中を複雑な表情で見送っていた。

信長は、家康の座る床几を力任せに蹴り飛ばした。

「だまっとりゃあ、家康。情だと? おみゃあ、まだそんな寝言を言っとるのか。三成が義を貫けば貫くほど、おみゃあは汚い簒奪者として歴史に残るんだわ。それが分からんのか」

信長は処刑場の方角を指差し、家康の顔を強引にそちらへ向けさせた。

「三成を殺すのはおみゃあの手じゃにゃあ。おみゃあがこれから作る平和という名の牢獄が、こいつらを殺すんだわ。情をかけるフリをして、徹底的に領地を奪い再起の芽を摘め。それが死んでいった者たちへの一番の供養だがや」

「……奪うことでしか、平和は守れぬのですか」

「ほうだ、綺麗事では腹は膨らまん。家康、おみゃあが流す涙を天下を固めるための接着剤にするんだわ」

家康は三成の処刑を告げる太鼓の音を聞きながら、静かに目を閉じた。再び目を開けた時、その瞳には信長と同じ一切の妥協を許さない統治者の光が宿っていた。

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