22/34
第22話:自壊する豊臣
「織田さまぁ! 秀吉殿の無茶が止まりません! 兵は飢えて大名は借金まみれ、これでは日の本が潰れますぅ!」
江戸城の庭で家康は、胃を抱えて地面をのたうち回った。だが隣の信長は、裏山で勝手に獲ってきたウサギを捌きながら鼻歌まじりに答えた。
「猿が暴れれば暴れるほど、おみゃあにとっては得だがや。あいつはな、死んだはずのわしの影に怯えて、焦って海を越えとるんだわ。自分を大きく見せようとして自滅しとるんだで、放っとけ!」
「放っておけって……現場は地獄ですよ! 私にまで船を出せと催促が来ています。どう断ればいいんですかぁ!」
「江戸の工事が忙しくて腰が抜けましたって泣いて報告しろ。おみゃあは泥にまみれて、兵を温存しとればええ。猿が勝手に自爆して豊臣という神輿が腐り落ちるのを、高みの見物だわ!」
信長はウサギの血のついたナイフを家康の鼻先に突きつけ、ニヤリと笑った。
「ええか、家康。おみゃあは、この世で一番の誠実そうな顔をした裏切り者になれ。それが魔王の教育だがや!」
家康は「そんなぁ……」と泣きべそをかきながら、泥だらけのスコップを握り直した。




