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第13話:小田原出陣

「見てください、この地を埋め尽くす軍勢を……。猿……いや秀吉殿は本気です。日の本中の大名が、まるで遠足にでも行くような浮かれた騒ぎで東へ向かっています」

小田原へと続く街道の傍ら家康は、馬上で溜息をついた。周囲には、豪華な装束に身を包んだ大名たちの行列が延々と砂煙を上げている。

信長は、家康がまたがる馬の隣に腰掛け欠伸をしながら行列を眺めていた。

「これは戦じゃにゃあ、壮大な見せしめだわ。北条を殺すためじゃなく、おみゃあたち大名に俺に逆らうとこうなるぞと教えてやっとるんだがや」

「その見せしめのために私の領地は、兵糧の徴収でボロボロですよ! 秀吉殿は茶菓子が足りぬ、風呂を用意しろと戦場を宿場町か何かと勘違いしているんじゃないですか!」

「なら、最高級の茶を出してやれ。おみゃあが甲斐甲斐しく世話を焼けば焼くほど、猿は上機嫌でおみゃあの次の居場所を考え始めるはずだわ」

家康は、次の居場所という言葉に不吉な予感を覚え手綱を握る手に力を込めた。背後では、秀吉が黄金の軍扇を振りかざし高笑いしながら進軍している。

「……嫌な予感しかいたしません」

「勘は鋭い方が生き残れるぞ、家康」

信長の声に急かされるように家康は、泥まみれの進軍を続けた。

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