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死体の山で蝿に囲まれていた少女は、“蝿の王女”と呼ばれながら人間になることを学んでいる  作者: ベルモット
第3章 使われる力

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知っている名前

 地下の扉が閉じる。


 男は再び拘束されたまま、黙っている。

 私は階段のほうを見る。


 もう足音はない。

 静かだ。


「灰鐘」


 私は言う。


 タケトシは少しだけ視線を落とした。


「知ってるんですね」


「ああ」


 短い肯定。


 私は待つ。

 だが続きはない。


「どんな連中ですか」


 タケトシは一拍置いてから言う。


「表には出ない」


「自分では動かない」


 私は眉を寄せる。


「じゃあ、何をするんですか」


「金を流す。情報を流す」


 声は変わらない。


「人を動かす」


 私は息を止める。


 自分では動かない。

 でも、誰かを動かす。


「今回の襲撃も」


 私が言うと、


「ああ」


 即答だった。


「あいつらの判断じゃない」


「指示があった可能性が高い」


 胸の奥が冷える。


 さっきの男も。

 階段の上にいた連中も。


 駒。


「私たちを狙って?」


「確認だろうな」


「値踏みだ」


 私は拳を握る。


「どうしますか」


 問いは自然に出た。


 タケトシは静かに答える。


「焦らない」


「相手は姿を見せない」


「見えない敵を追えば、こちらが崩れる」


 分かる。

 理屈は。


 でも。


「お前はどうしたい」


 問いが返る。


 私は考える。


 守る。

 使う。

 選ぶ。


 それだけじゃ、足りない。


「……知りたいです」


 声は静かだった。


「正体を」


 タケトシはわずかにうなずく。


「無視はできない」


 その声は、決めている。


 私は息を吐く。


 知らないままでは、いられない。

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