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死体の山で蝿に囲まれていた少女は、“蝿の王女”と呼ばれながら人間になることを学んでいる  作者: ベルモット
第3章 使われる力

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名前のある敵

 階段の上で、緊張が固まっている。


 男は両手を軽く上げた。


「撃つな。俺だ」


 上から、ざらついた声が返る。


「確認する」


 銃口がゆっくり下がる気配がする。


 私は男の背中を見たまま、距離を保つ。


「誰の命令だ」


 男は肩をすくめた。


「回収命令だろ。あの人の」


 わずかな沈黙が落ちる。


「あの人?」


 私は問う。


 男は小さく笑った。


「知らないわけないだろ」


 一拍おいて、続ける。


「“灰鐘”だ」


 階段の上で、息を飲む気配がする。


「余計なことを言うな」


 低い声。


 男は笑う。


「もう遅い」


 私はゆっくり息を吸う。


「灰鐘って、何ですか」


「個人じゃない」


 男は言う。


「名だ。裏を動かしてる連中の」


 金属がわずかに鳴る。


 迷いが混じっている。


「鬼を使ってるのはお前らだけじゃない」


「目をつけられたんだよ」


 背後で、タケトシの気配がわずかに変わる。


「撤退だ」


 階段の上から声が飛ぶ。


 足音が遠ざかる。


 撃たない。


 回収しない。


 引いた。


 地下に静けさが戻る。


 私は男を見る。


「灰鐘」


 その名を口にする。


 守れば終わると思っていた。


 使えば済むと思っていた。


 でも、違う。


 “灰鐘”は、まだ見えない。

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