最後はあんまりエロくなかった
もっとエロく出来るよなどの建設的なお便りお待ちしてます
「──これは、違う!」
正樹は突き動かされるように身を起こし、 静かにミオの身体を抱き上げ、位置を入れ替える。
ミオは抵抗もせず、ただ静かに受け入れた。 その顔には、どこか遠くを見ているような、無機質な笑みが浮かんでいる。
正樹はその瞳に呼びかけるように、懸命に言葉を紡いだ。
「……ミオ、俺を見ろ……! 俺たち、いま……命を紡いでるんだぞ……!」
返事はない。 それでも、ミオを包むようにしながら、正樹は動き出した。
それは洗練とは程遠く、 美しさのかけらもない、ぎこちない動きだった。
しかし、想いだけは真っ直ぐだった。
それは神事としての舞ではない。 ただただ、正樹という一人の男が、 大切な女性に想いを届けようとする、必死な動き。
──原初の舞。
祈りという言葉すらまだ存在しなかった時代、 ただ人が人を抱き、未来を願った頃のような、 粗く、熱く、魂のままに重ね合う所作。
周囲の空気が震えた。 神の清浄とは異なる、生々しい温度。 見守るサポート巫女が、胸元を押さえ、ぽつりと呟いた。
「御子様の舞……。胸が、締め付けられます……」
正樹はなおも揺さぶるように呼びかけ続ける。
「ミオ……! お前との……子どもが欲しいんだ!!」
その声が空間を満たした瞬間、 目に見えぬ“神の気配”がふっと抜けるように、空へと流れていく。
ミオの瞳が、揺れた。 ぼんやりと曇っていた意識が、正樹を捉えはじめる。 そして、小さく、しかし確かに、唇が震える。
「……正樹様……わ、わたしも……子どもが……欲しい……っ」
その微笑は、どこまでも人間らしかった。 涙が溢れ、震えるまつ毛が濡れる。 けれどその頬には確かな温度があり、 その声には、命を願う人の祈りが宿っていた。
もはや神の気配はどこにもない。 ここにあるのは、ただ二人の人間の、 命を紡ごうとする真っすぐな想いだけ。
正樹の額からこぼれた汗が、ミオの胸元へと落ちる。
歯を食いしばり、必死な形相で舞う。
「正樹様…頑張って………」
神に捧げる舞ではない。誰にも誇れない、不格好な動き。 ただ、目の前の彼女のために汗を降らす。
正樹とミオは再び向き合い、 互いを信じるように、祈るように、結び合った。
「──ミオっ……子どもを作るぞ!」
「……はいっ!!」
交差する想いが、ふたたび高まり、 熱と光がひとつの頂へと達したその瞬間、
静かに、荘厳に、 原初の神事が、完成した。