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アメ玉

作者: TOMMY

アメ玉。それを口に放り込めば、ゆっくりと甘みが広がり、しばしの間、その味を楽しむことができる。しかし、一度歯を立てて砕いてしまえば、瞬く間に消え去ってしまう。それは、小さな欠片に砕かれることで表面積が増し、唾液と触れる面が広がり、さらに口内の熱の影響を強く受けるため、急速に溶けるから。人の心もまた同じ。時間をかけて築くべき関係も、焦りから一気に距離を詰めれば、もろく崩れてしまう。ゆっくりと味わうはずだった興味も、強く求めすぎれば一瞬で冷め、残るのは空虚さだけ。甘さを急ぎすぎた代償に、失うものはあまりに多い。人々は日ごとに、噛み砕くことを覚えていく。知的探究心はなりふり構わず、解決速度は技術発展と共に加速度的だ。だが、もし砕かずにゆっくりと楽しむことができたなら。その甘みを舌の上で転がし、少しずつ溶けていく過程を大切にできたなら。きっと、それはただの甘さではなく、深く心に染み渡る味となるだろう。焦らず、壊さず、大切なものをゆっくりと味わうこと。それは、私たちがどこかで忘れてしまった、本当の豊かさを取り戻す方法なのかもしれない。

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