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私はエルメール。女神です

今回新しい作品を書きました。更新は不定期ですがよろしくお願いします。

ちなみにもう一つ書いてますが、そっちメインです。

 

 


 天界


 それは死後、魂の帰る場所であり新たな魂の始まりの地とも言える。

 そんな天界では常に魂を導く人たちがいる。

 それこそは「女神」


 つまりは私みたいな人が働く場所こそが天界です!

 私、天界勤務歴10年の女神エルメールです!

 この天界で異世界に魂を転生させる役割を担っています。

 今日も元気に頑張ります!



 ○○○○○○○○○○○○



 私、エルメールは天界において地球で死んでしまった魂達を転生させたり浄化したり色々したりして世界を回す役割を担っています。

 地球はいつも殺伐としてますけど、ここ天界は違います!

 1日8時間勤務、休憩もあって同僚は優しいし先輩は頼もしい!

 正にホワイト!地球でいう処のホワイト企業です。正にホワイト天界!


 そんな私の1日は身嗜みチェックから始まるのです。

 女神としての威厳、魂の安心。様々な理由がありますが身嗜みは心の表れ。キチンとした格好がキチンとした業務につながるというものです。


 それが終わったら次は連絡簿の確認です。

 最近は天使の管轄違いとか多発しているのでこういった細かな確認は大事なのですよ。

 大事なことなので2度確認します。

 えーと、今日の連絡は…

 特にはないですね!

 ・

 ・

 ・

 ここまでやってようやく天界業務に入ります。

 さてさてさーて、今日はどんな人が来ますかね?


 ピンポーン


「エルメールさん、1人目お願いしまーす」


 今の人は、魂をここに転送する係の人です。

 毎日チャイムを鳴らし一声入れてから送ってくれるのでとても助かっています。

 深呼吸や笑顔のチェックができる心の余裕が生まれますからね。


 1人目は…1番相手をするサラリーマンですかね?

 この領域には人間は魂でしか来れません。

 そんな魂は炎のように揺らめく形をしています。

 ユ〜ラユラ、ユ〜ラユラ。

 しかしそれでは子供か大人か、男か女か判りません。

 ですが女神の力は万能なのです!

 女神の7不思議能力その1。

 生前の肉体を観測できる神撮眼(チェッカーアイ)

 残りの能力は秘密です♪


 さて、この人はどうして死んでしまったのでしょう?

 それも含めて話し合いと行きましょうか。


「こんにちは、御岳さん。ここは天界、貴方達の言うところの天国です。自分の現状は理解されてますか?」


「あ、ああ、ああああ、あー!!…あ、あ、や、やっぱり、死んで、しまったんですね…」


「はい。それは間違いありません」


 この様に取り乱してパニックに陥る人は珍しくありません。

 死んでしまった事実を怖がらない人なんてほとんどいません。

 だからこそ、私たちがいるのです。

 疲れてしまった魂に安らぎを、怯えてしまった魂に安寧を。

 女神は皆んなそのためにここに居るのです。


「直前の記憶は覚えていますか?」


 出来るだけゆっくりと丁寧に。

 決して怒らず、決して叱らず。

 そうすれば想いは必ず伝わります。


「……はい。あ、あれは飛び降りたんで、す。ビルから。もう会社が嫌で嫌で、パワハラを誰も信じてくれなくて、誰もが信じられなくて…」


 やっぱり。

 ここに来る人の大半は自殺か事故死です。

 それほど辛い目に合っている人が多いとも言えます。


「それは悲しかったですね。ですが、安心してください。私たちは貴方に酷い事をしたりはしません」


「ほ、ほんとうに…?」


「はい。ただ貴方に同情もしません」


「…え?」


 私はこの人と同じ経験をした事はありません。

 だからこそ同情はできないのです。

 安易な同情は相手に失礼です。

 この人と同じ経験を、同じ体験をしない限り私はこの人に同情をする権利は無いのです。

 それでも、この人にしてあげる事はあります。


「私たちは貴方に同情も非難もしません。それでも貴方に道を示す事は出来ます。貴方が幸せになれる道を」


 左手には雲の景色を。

 右手には異世界のとある一軒家の景色を。


「貴方には、2つの選択肢があります。1つは魂を浄化して天界で安らかに暮らすことです。貴方に安らぎを安寧を約束します。もう1つは異世界に転生です。新しい世界で人生をやり直すことが出来ます」


 私としては異世界に転生してもらった方がこの人のためになると思います。

 ですが、それは口には出しません。

 決めるのはこの人ですから。


「異世界は辛いです。魔物もいますし、病気にも罹ります」


「そ、それなら尚更」


「ですが人と関われます。人に信じられ人を信じることができる未来を貴方の努力次第で切り拓けます」


「!」


 私に出来るのは言葉を重ね続けることです。

 その人に悔いのない選択を行ってもらえるように。


「貴方はどちらを選びますか?」

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 結局、あの人は転生を選びました。

 私には未来を見通す力は有りません。

 ですから祈るだけです。

「あの人の未来に縁のある幸多ならんことを」

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