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女子レスラーがVRMMOに入場だあああっっ!平和を賭けて魔王に挑戦するまでのビクトリーロード?  作者: 灰ちゃ
第1章 電脳世界で再デビュー? どうなる、どうする、元チャンピオンの私?
9/11

第9試合 はじめてのタッグチーム結成

「……そこまで見られちゃってたのなら仕方ないか。うん、あなたの言う通り私は如月遼。同姓同名とかじゃなく元レスラーの、だよ」


 本当なら現実世界での名前を聞かれたところでシラを切り通せば、この場を切り抜けられたはずなのだが。

 自分を応援してくれるファンには誠意を持って接するという現役時代に染み付いた癖で、思わず自分の正体をバラしてしまった。


 それを聞いた目の前の少女は、まるで瞳の中に星が煌めいているかのようにキラキラと私に羨望の眼差しを送り続け。

 やがて、意を決したかのように口を開く。


「あっ……あのっ、如月選手っ!わ、わたしと同じパーティーを組んで遊んで頂けませんかっ?」


 ……え?

 私は少し拍子抜けした気分だった。

 正直なところ、自分から正体をバラしてしまったことで、それを楯にされてどんな無茶を言われるか内心冷や冷やしていた。

 昨日稼いだお金(ゼム)を要求されたりされる程度の覚悟はしていたのだが。


「あ、いや、うん。それくらいなら別に……」

「ホントですかッッッッ⁉︎……いやったああッッッひゃっほおォッッッ!」


 私がこくんとパーティーを組む申し出を承諾すると、彼女は両手を高く掲げて奇声をあげながら私の回りをスキップで駆け回る。

 まさに狂喜乱舞とはこのことを言うのだろう。

 私は少々、いやかなりドン引いていた。


「あ、あのさ……そう言えば私、あなたの名前を聞いてないんだけど。パーティーを組むなら名前くらい聞いておいてもいい……よね?」

「あ!……も、申し訳ございませんっわたしったら。あの如月選手と同じ空気を吸ってるんだと思ったらいてもたってもいられなくて……」

「そ、そうなんだ……へぇー……」


 パーティーを組むくらいなら、なんて軽く考えていたが。

 もしかしたら私はとんでもないコトを安請け合いしてしまったのかもしれない……と少しだけ自分の軽率さに後悔していた。


「わたしっ安田美奈って言いますっ!今絶賛16歳の高校一年生ですっ!」

「いや……あのさ、現実世界(むこう)での名前とかは言わなくていいから……ってかそういった個人情報は軽々しく喋っちゃ駄目っ!」

「あべしっ⁉︎」


 いきなり自分の個人情報を街中で口にする彼女のおでこを指で弾く。

 私は本当にごく軽く弾いたつもりだったのだが、彼女は素っ頓狂な声をあげて額を抑えて(うずくま)る。


「あわわ、ご、ごめんっ。そんな力入れたつもりなかったけど……」

「い、いえっ!如月せ……憧れの人にゲームで逢えたのが嬉しくて舞い上がっちゃったわたしが悪いんですっ!」


 慌てて謝ろうと屈もうとするが、彼女はすぐに復活してスクッと立ち上がる。


「わたし、こっちではミーナという名前ですっ!種族はそのまま人間で、職業は支援(エンチャント)中心の魔法使い(マージ)ですっ」

「……支援(エンチャント)?」

『────支援(エンチャント)とは、一時的に攻撃力や速度など様々な能力を強化する増強(ブースト)、反対に低下させる呪縛(カース)などの種類があります』


 ミーナから聞いた「支援(エンチャント)」という単語にシステムAIが反応したのか。

 視界の端にメッセージが現れて、「支援(エンチャント)」についての詳細な説明をしてくれる。


「……実は、最初は攻撃魔法を使おうとしてたんですけど。アレ、見た目はかなり派手で威力高そうだったんですけど、いざ使うとなると魔法を命中させるのはそれなりの反射神経が必要で……」

支援(エンチャント)だと平気だったんだ」

「まだわたし一人(ソロ)でしか遊べてないですけど、攻撃力増強(ブースト)を自分に発動させれば魔法使い(マージ)のわたしでも雑魚モンスターなら戦えるんですよ?……それに……」


 ん?何だろう。

 ミーナが顔を赤くしながら私を見たり俯いたり、何だか落ち着きがなくなりソワソワし出したように見える。


「如ら……いえ、フェブラさんと組んでこのゲーム初の複数人(パーティー)プレイを遊べると思ったら何だかドキドキしてきちゃいました……」


 うん、その台詞を聞いて私は心に決めた。

 この娘(ミーナ)との距離は一定以上離しておこう、と。

 私は通常の恋愛感(ノーマル)なのだ。

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