第6試合 ドワーフ+空中殺法=◯◯◯?
ホントこちら不定期で申し訳ないです。
「何なんだよ!邪魔してやろうと思っても魔法の射線が通りません、とかシステムがエラー起こしやがって!」
「そのせいでアイツは死に戻り受けるハメになっちまったんだ!レベル1がマグレ勝ちしたくらいで財産没収は酷過ぎるだろ!」
一対一の決着が着いたことで〈決闘〉スキルが解除され、決闘フィールドから閉め出されていた二人が今まで参戦出来なかった鬱憤を晴らすかのように一気に私に捲し立ててきた。
財産没収とか何を言っているのか理解が出来ないのだが。
向こうから売ってきた喧嘩なのに、何を女々しいことを言っているのかと腹が立ってきた。
『レベルが1から5に上昇しました。
各種パラメーターが上昇しました。
〈格闘術〉スキルが5に上昇しました。
〈体術〉スキルが5に上昇しました。
〈気合い〉スキルが3に上昇しました。
〈決闘〉スキルが2に上昇しました』
またまた突然、システム側からの通知メッセージが視界の脇に表示される。
……レベルが上がった?
そうか、さっきの坊やは確か、本人談でレベル10だったみたいだし……にしても、一気に4つもレベルが上がっていいものなのかね?
「ごちゃごちゃ言ってねぇで続きだ、続き!」
「こうなったら絶対に勝ち逃げさせねえからな、レベル1の分際で──」
あらあら、あの坊や達は私がまだレベル1だと思っているのかねえ、かわいそうに。
私はそんな連中にこの残酷な事実を教えてあげることにした。
「残念だったね、私が入団したての新人の時間はついさっき終わったんだよ」
「……は?」
「い、いや、確かにアイツを倒したんだからレベル1のままのワケねえ……プレイヤーは経験値効率良いから意図してPK専門してる連中もいるくらいだし……」
「じゃ、じゃあお前はコイツをそのまま見逃すつもりかよ!……そりゃあオレ達はアイツよりレベル低いけど、まだあの女よりかは──」
私もまだたった一戦で練習が終わったなんて思ってはいない。
毎日のスパーリングだって10セットはこなしてたんだ。まだ身体をこのゲームに慣らすにはもっともっと実戦経験を積みたい。
そして練習相手がわざわざ目の前にいるのだ。
こんな絶好の機会を逃してなるものか。
リーダー格をいきなり撃沈させてしまい、口では逞しいコトを言ってはいるが完全に逃げ腰になっている連中へ手をかざして手招きし、首を傾げて片眉を上げて挑発していく。
「私は坊や達と違って弱いもの虐めが嫌いだからねえ……このまま尻尾を巻いて逃げ出すなら、情けをかけて追わないであげるよ、坊や達?」
「や……野郎っっ!言わせておけば調子に乗りやがって!」
見事なまでに挑発に乗り、武器を構えて向かってくる二人。
でも「野郎」はないだろ、野郎は。
私、外見も中身も女なんだけどなあ。傷つくわ。
でもまあ、向こうからわざわざ激昂して突進してくるなら私も迎撃しやすいというモノだ。
こういう時の返し技の体勢を取るために、身体が勝手に動いてロープの反動を利用しようと背後に走りだそうと一瞬してしまい。
ここはリングの上で、ロープなんて四方にないのを見て思いとどまる。
「こういう元々の身体の癖ってのもゲームに反映されるモノなんだね……最近のゲームって凄いわ」
と、戦闘中なのにズレた事に感心しつつも。
反動が利用出来ないならば、とその位置から向かってくる相手から横一人分軸をズラして走り出し。
そのまま重心を左側に持っていき、相手の手前で空中で前に一回転して右脚を首や頭に叩き込む。
私の定番技、アクセルスピン・ハイキックだ。
そう、本来ならばここで私の右脚が向かってくる男らの一人の頭に命中している……ハズだった。
だが。それは通常の脚の長さだったらの話だ。
私が繰り出したアクセルスピンハイは相手の手前で盛大に空振りし、そのまま相手の足元に転倒してしまう。
脚の長さが足りなかったのだ。
「────やばッ⁉︎」
空中を華麗に舞い、軽やかに飛び交う空中殺法の一番のリスク……それは「自爆」である。
技を放ってからの動作が大きく、しかも高低差をつけている以上、技が命中しなかっさたり相手に避けられてしまった場合は大きく体勢を崩してしまったり、技の威力がそのまま自分のダメージとして返ってきてしまうのだ。
「へ?……へっ、か、勝手に転んでくれやがったぜ!こうなりゃコッチのモンよ」
「二人がかりで一斉にボコっちまおうぜ!」
「「覚悟しろよこのドワーフ女が‼︎」」
転倒し起き上がろうとする私に対して、レベルが上の二人の攻撃を何度も受けてしまい。
そんな体勢で攻撃を避けられるはずもなく、武器を持たない素手の私は武器攻撃を受けることも出来ず、攻撃が命中するたびにHPがみるみるうちに減少していく。
そして何度目かの攻撃を浴びせられた直後、私のHPはついにゼロになってしまったのだった。




