戦のすゝめ
46億年の歴史、水の星で生物達が築き上げ、現代にのぼるまでの慣習を作った。
それは、『死ぬことで未来を紡ぐ』ということであった。競争に負け、死に、強い次世代を遺すことで、その時代に合った強さを持つ子孫を作ることが定石となった。
その伝統が護られ続けて10万年前、暗雲が立ち上る出来事があった。
人類の誕生である。
当時の獣たちは頭が大きくて二本足のだらしない「失敗作」だと思っていたようだが、どうやら彼らの思っていた「失敗作」とはすこぶる違ったようだ。
人類はその巨大な頭でコロニーを作り、身体に武器がないかわりに武器というものを開発し、集団でマンモスなどの上層生物を討伐した。
…しかしまだそこまでで止まればよかった。
さらに時は進み700年前、なだらかに進化が続いた人類はついに遠征にて交流が始まった。
それに伴い遺伝ではない進化は加速した。
…そして現代、人類はついに全生物に対して反逆を開始した。土地を制圧し、汚し、無限に思えた生物の数はもはや風前の灯である。
これに打ち勝つにはただ1つ…それに全力で抵抗し、人間を制圧、あるいは滅ぼすしか他無いだろう。
手段は問わない、我ら人間相当の知識を得た「幻獣族」が力を合わせれば、人間を鎮める、すなわち水の星を救うことができるだろう。
(幻獣族初代大老「世歴抄」・跋文より)
訳:第48代東国本部長 霧雨 玉藻