2話
はい、おはよう。
朝起きてまずやることは洗面所に行って顔を洗う。
いつも通りののっぺりとした顔だ。
イケメンとも不細工ともとれない顔。
そこに眼鏡をかけることによって更に陰キャ感が増す。
「……。あれ?俺こんなに視力良かったっけ?」
眼鏡をかけると同時に眼球から激しく痛みがくる。
視力が良かった時に友達の眼鏡をかけてなった懐かしい感じだ。
「こんなこともあるのか?……まあいいや」
気にしないことにする。
歯を磨き朝飯を食う。
俺は朝はパン派だ。
手軽に食えるからいい。
今俺は高校生活真っ只中の春休み中なので昼まで寝てても誰にも怒られないのだが、朝は日課のランニングをすることになっている。
というよりオカンは入院中、親父は外資系で日本にいない。
必然的に一人暮らしとなる。
オカンの見舞いがてら病院を経由していつものランニングコースを走る。
親父の子会社の社員住居?で一人暮らししているが、高級マンションかよってくらいデカい。
全階数は屋上を抜いて55階。
カギはオートロックだしフロントにはお姉さんがいるし、最寄り駅から徒歩3分だし、レジャー施設なんかは隣のビルに纏めて揃ってるし。
確実に高校生が一人暮らししていいマンションじゃない。
元々はオカンと一緒に暮らしたかったそうだが、親父は急な仕事で海外に単身赴任、オカンはオカンでタクシー乗車中に軍用車に当たられて両足骨折してる。
軍はこのことを隠したいらしく、軍用でもある信頼できる国立病院に向こう負担で入院している。
まあ当たり前だが。
オカンにいつもの挨拶をした後、国立公園を通って帰る。
これがいつもの日課となっていた。
だが、この日の日課がいつもと異なる点がいくつかあった。
まず疲れないこと。
いつもならマンション近くのこの公園に来ると汗くらいは出るはずなのだが。
次に公園内に陰陽師っぽいのとゴブリンっぽいのが戦っていたこと。
いかにもな服装で一枚のお札をゴブリンに向けて火や雷やらを飛ばしてた。
周りは普通だったから俺の幻覚だとは思いたい。
そもそもゴブリンって合ってるのか?
最後に公園の噴水の中に結構デカめな黒っぽい宝石が浮いていたこと。
これが一番謎いんだ。
落とし物かと思って警察に届けに行ったら宝石がまるで見えないように目を左右させるし、挙句の果てには騙そうとしていると言われて逃げる羽目になった。
しょうがないから持って帰って来てしまったがこれ本当に何なんだ?
異常が今朝起こった以上である。
あれ?逆か?
それはそうと、親父から生活費が送られては来るが額が額だけに使えていない。
バイト代だけで十分賄えるし。
俺は普段着に着替えてどこに行くわけでもなしうろうろと散歩する。
散歩するだけで毎日新しい発見が見つかるし、行ってみたい店なんかもでてくる。
最近ハマっている趣味だ。
友達には爺臭いと言われてしまったが仕方ない。
歩くこと20分。
ナンパ師発見。
女の子も口では嫌がっているがノリノリである。
人は見かけによらない。
更にその2分後。
ファミレス店の中から暴力団っぽいのが出てきた。
こういう人らってファミレス行くんだな……。
その15分後。
また陰陽師っぽいのを発見。
今度は雷を纏った槍を持ってる人と戦っている。
屋根の上で。
朝の人とはまた違うらしい。
その32分後。
隕石発見。
エラく大きい音がなったと思うと空から隕石が降ってきた。
俺は無事だったが周りは阿鼻叫喚だった。
思わず動画を撮ったぐらいだ。
正午。
前から行きたかったイタリアンの店でカルボナーラを食す。
麺がアルデンテではなく、ちょっと好みではなかった。
おいしかったけどね。
2時ごろ。
映画を見に行く。
見終わってグッズ探しをしていると、火事が起こった。
急いで外に出ると発煙筒を使った悪戯だったらしい。
4時半ごろ。
帰宅。
なんやかんやあって就寝。
いつもは平和な街のはずだが、今日は刺激が多くて良かった。
おやすみ。
『被験者のスリープモードを確認。能力選択は明日へ移行。
強化時にかかる負担はなし。午前6時35分45秒より開始したランニングにより筋力増大を確認。
最良な状態へと移行。
全身の筋肉量増加、発汗性自動化、負荷記録改善、記録整理を開始……。
当機はこれより5時間45分34秒後にスリープモードへ移行します……』
この話フィクションだから!
実際の人物などには全く関係ないから!