いつか見た虹の向こう側
いつか見た虹の向こう側(虹シリーズ)
作者 宙埜ハルカ
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あらすじ
社会人一年生の美緒は、自分が提案した結婚記念日デートで姉夫婦を事故で亡く
した。そのため美緒は、姉夫婦の忘れ形見である拓都の母親になろうと決意し、仕
事と子育てに翻弄されながらも、一生懸命生きていた。そして3年後、拓都の小学
校の入学式の時、拓都の担任だと紹介された人を見て、驚愕した。その人は、美緒
がシングルマザーとして生きて行こうと決意した時まで恋人だった人だった。
感想
物語の展開は非常にシンプル。諸事情で別れた恋人たちが再会し、再び結ばれる
という、恋愛物にしては何もひねりがないシンプルな作品。でもなんだろう、感動
できて面白いんです。その理由は何か。私は3つの理由を考えました。
一つ目は二つの視点でこの物語を見れるという点です。
この虹シリーズではヒロイン視点の「いつか見た虹の向こう側」がある一方、
ヒーロー視点の「あの虹の向こう側へ」の二つの作品があります。私は「あの虹の
向こう側へ」から読みましたが、どちらから読んでも問題ありません。やはり、物
語というのは多角的な視点で眺めることでますますその世界を知ることができるん
です。
二つ目はヒロインとヒーローどちらも相手のことを常に考えて行動していると
いう点です。
物語的にはありきたりかもしれません。相手のために別れ、相手の事情を常に
考え、苦悩していく。現実にはあまり見ない状況なだけに二次元にそういうものを
求めてしまうんでしょう。何度見てもこういう展開は胸にグッとくるんですよ。
三つ目はやはり周りの登場キャラクターですよね。
主人公二人の事情を知っているもの、知らないもの、それぞれのリアクションが
堪能できます。特に私は西森さんという人が好きです。主人公二人は教師と保護者
という立場で再会しました。ヒロインは甥の母替わりとなり、保護者という形で
ヒーローの前に姿を現します。それを見たヒーローはヒロインが結婚したのと
勘違いし思い悩みます。そんな気まずい二人の関係を天然ボケで打開していく
のが西森さんです。西森さんの存在がなければこの二人が再び結ばれることも
なかったのかもしれません。
この物語は純愛の作品です。すべてにおいて王道な展開で、悪役キャラとかも
ない。
なんというか読んだ後すっきりする気分になれる作品です。
評価
文章評価
10p/10p
ストーリー評価
10p/10p