王国の花
王国の花
作者 織川あさぎ
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あらすじ
王国のただ一人の姫に、隣国から求婚者がやってきた。だが、その姫は、王国にとって表に出しづらい姫だった。大変男らしく育ってしまった男嫌いの姫を、今までずっと重病でごまかして来たのだが、相手はそれを一切かまわず、申し込みと同時に国境を越えてきてしまった。王家の一家は、頭を抱えていた。
感想
シリーズものです。正確には「王国の花」というシリーズがあり、この作品が1作品目となります。簡単にまとめると女装男子と男装女子の恋愛物語。ヒロインが男装するとイケメンで、ヒーローが女装すると超美少女。一体誰得の設定ですか。いや、本当に私得の設定ですね。片方が女装または男装はよくありますが、両方というのは少ないでしょう。なので、ヒロインが男装しているときにヒーローとラブラブしてもホモだとは見られませんね。( ´∀` )読んでてほっこりするお話になっています。第2作目「花籠の道と黒の小石」ではヒロインがヒーローに嫁ぎ、ますます二人の甘い関係が加速します。私としましては2作目からやっと本格的に物語が面白くなっていくんですけどね。1作品目は序章、二人の関係を形成していくためのエピソードかなと思います。
二人とも、特にヒーローかな、暗い過去を抱えて、シリアス展開も一応あるんですけど、二人ともチート過ぎてそんなのすぐ解決なので、鬱展開はほとんどなく、むしろ爽快感100パーセントな物語展開です。(ちょっと誇張しすぎたかも)
最後にお勧めなエピソードを紹介して終わりにしたいと思います。
「花籠の道と黒の小石」の第7話です。まず、それまでのあらすじをお話ししていきます。
ヒロイン⇒サーレス、ヒーロー⇒クラウス
サーレスは王太子である兄の影武者としてある夜会に参加していた。その夜会で騒動が起き、犯人逮捕のためにクラウスも夜会にやってくる。その犯人とはクラウスが昔戦場で逃した者で、戦争の最後の生き証人としてとらえるべき者だった。しかし、その敵を前にして我を忘れたクラウスは本気でその者に切りかかり、あわや最後の生き証人を殺す寸前、サーレスが飛び込み、事なきを得ます。そのあとの二人の会話です。
「それよりも……本当に、お怪我はありませんか」
「ああ、ないよ」
腕を振って、体を動かしてみせるサーレスを見て、クラウスはますますうなだれた。
「……すみませんでした」
「気にすることはない。間に合ってよかった」
「……」
「あのまま、あれを倒すのは、ブレストアとしてはまずいんだろう?」
「……はい。あれが、おそらく最後なんです」
「最後?」
「三国戦争のきっかけになった騒ぎの、最後の生き残りです。この数年で、盗賊に関しては全て調査が終わっています。あとは、指示した貴族側の人間が必要なんです」
「なるほど、証人か」
「口を割らせて、正式に、亡命している貴族の返還を求める手続きを取らなければ、それを裁く事ができません。それ以外に、証拠もありませんので」
「だから、生きていることにこだわったか」
「はい……。あなたのおかげで、この三年ほどの、黒狼達の努力が無駄にならずにすみました。これで、あの戦が、ようやく終わります……」
クラウスの表情は、穏やかだった。その顔には笑みを浮かべ、青い瞳も、ろうそくの柔らかな光を受けて、いつものように、艶やかに輝いている
サーレスは、その顔を見て、クラウスの頭をそっと抱き寄せた。
「本当に……間に合って、よかった……。あのまま、あなたの心が壊れていたら、どうしようかと思った」
クラウスは、驚きに一瞬硬直したが、すぐに、その暖かな両腕に、身を任せた。
https://ncode.syosetu.com/n6097bd/7/より引用(情報確認日2019.1.13)
ね、ねもう神でしょう。読んでて胸がほこっりするのを感じましたよ。最高です。
文章評価10p/10p
ストーリー評価9p/10p