第1話。○。渡されたもの。○。
今、高1の春木彩夜は「私立秋( しゅう)華高等学校 入学式」と書かれた門の前にいる。
この、私立秋華高校は百年の歴史ある有名高校で、この学校に入るには莫大な金額と頭脳がいるこの学校。エリートばかりのこの高校はとても彩夜にとって都合のいい高校だった。中学校は頭も家柄もみんな普通だった。
でも、彩夜だけは違っていた。頭も家柄も飛びぬけていた。毎回テストで2位と50点差で1位をとり、父は有名な漫画家・母は昔から人気のある芸能人、身長170cmの長身、メイクひとつでキレイとカワイイを分けれる容姿。
そのため、よくイジメられていた。「アンタ、ウザい!」とか「親が芸能人だからって調子、乗ってんでしょ?」は周りからよく言われていた。
だからこの高校を受験したのだ。そして上手く合格した。
「楽しくなるといいけどな・・・」
ポツリと嘆いた彩夜はまた、歩き出した。歩くだけでも、たくさんの人が彩夜に見とれていた。別に普通に歩いているだけだった。カッコつけてない普通の歩き方。周りからは、「かわいい」とか「キレイ」とか言わると彩夜は少し照れる。昔からはこういうのには慣れていないのだ。
「ねぇ、ねぇ!そこの超、キレイでカワイイ新入生!!」
後ろから声をかけられた彩夜は後ろを向いた。そこにいたのはものすごくカッコいい男の子だった。
「な…なんですか?何かご用でも?」
照れながら彩夜は言った。すると相手の男の子は、
「もう!照れないでよ!俺、冬潟千空!君の2コ上の高3ね!で、君の名前は?」
「春木彩夜!ここの新入生!なんで、冬潟先輩ここにいるんですか?」
そう、ここは新入生しか通れない道なのだ。ここに先輩がいるのはおかしい。
「『冬潟先輩』ってかったるい!!千空先輩でいいよ、千空先輩で。あ、俺が今ここにいるのは生徒会・副会長だから!!知らなかった?」
こんなおバカっぽい人が副会長!?、と彩夜は思った。でも、彩夜は冷静だった。
「知るわけ無いですよ。で、会長さんはどこですか。会長さんは。」
「あそこ!あの女の子に囲まれてる人!夏井隼!いいなぁ…女の子に囲まれて…。ねぇ、俺ってカッコいい?」
千空が指を指した方をみたびっくりした。それは、よくテレビに出ている『夏井 弘』の子どもだったからだ。母と弘は友達だから、よく隼と彩夜は会う。もう、アドレスだって交換している。そんなことを考えていた千空の「俺ってカッコいい?」という質問を忘れて隼に見入ってしまった。
「ちょっと!彩夜ちゃんも隼に見入ってんの!?もう、ビックリ・ドックリだよ!彩夜ちゃんは隼に興味ないと思ってたのにぃ…」
そんなこと言われると困る、そう彩夜は思った。でも、後ろから誰かの声が聞こえてきた。それは隼だった。
「あ!千空、女の子困らしちゃダメだろ!?もう、すいません、このバカ…が…」
彩夜を見た隼はビックリした。それは今までに会ったことのある彩夜だったからだ。
「なに!?2人は知り合い!?なんで隼、だまってたの!?こんなカワイイ子俺に紹介してくれたって良かったじゃんかー!」
長い沈黙が続くと千空はやっと気づいた。ずっと目があったままの隼と彩夜、千空の言葉でやっと目が離された。
「バカ!これには深い事情があってな?この子、彩夜は『春木 柚葉』っていうめっちゃ人気のある女優がいるだろ?その人の子どもだよ!だから、俺の親父と彩夜の母ちゃんは知り合いだからお互い知ってんの!紹介しないのはそれ知ったらお前がうるさいからだよ!!!」
かなりの迫力に千空は唖然としている。隼の話が終わったと同時に自分を取り戻していた。
「あ、そういうことなのね。うん。わかった、わかった。てか隼、怖い!ほら、彩夜ちゃんも引いてるよ!」
千空に見られた彩夜は顔が赤くなった。一瞬にして、彩夜は千空を好きになった。
「ゴメンねーホント。言ってなかったけど俺、ここの生徒会長やってんだ。なんか、生徒の投票で決まったとか何とかで。てか、ウチの学校の体育祭とか文化祭、めっちゃ楽しいよ!!みんな頭はいいけど学校行事となったらお祭り騒ぎ(笑)」
「楽しそうだよね!校舎からここまでみんなの声が聞こえるもん!私、一番、文化祭が楽しみだなぁ。クラス一体になって出し物するんでしょ?超、楽しそう!」
隼と楽しく話していると入学式が始まる時間が来てしまった。
「あ、千空!俺らもう、体育館、入んないとヤバイ!」
「え、マジ!?あっ、彩夜ちゃん!これあげる!!俺からの愛のし・る・しv」
走っていく千空から投げられたものを受け取った彩夜は中身も見ず、「ありがとう!」と大きな声で言った。
千空と隼の姿が見えなくなると彩夜は中身をあけた。中を見ると千空の携帯の番号とアドレスを書いた紙、そして透明のような水色のような色をした石のネックレス…。
「なにこのネックレス…。宝石がついてるのかな?」
彩夜が空にすかしてみると隣から女の子が喋りかけてきた。
「そのネックレスについてるの、宝石だよ。アクアマリンっていうの。たしか、3月の誕生石だっけ?…あ、突然しゃべってゴメンね。私、秋野未桜。春木彩夜さんと同じA組だよ」
彩夜は夢みたいだった。いままで、女の子からしゃべり掛けて来たのは小5以来だったからだ。でも、彩夜は疑問に思うことがあった。この宝石のことは分かった。でも、なぜ、未桜は自分の名前を知っているのかだった。
「なんで、秋野さん私の名前知ってるの?」
「さっき、大声で冬潟先輩と夏井先輩と話してたでしょ。それで分かったの。あとね。A組って、本当にすごい人しかいないんだよ。お金持ちとか、成績がめちゃくちゃいいとか。だから、冬潟先輩も夏井先輩もA組。だから、彩夜ちゃんもなんかすごいんでしょ?」
彩夜は痛いとこを突かれた。1番、聞かれたくなかったところだからだ。でも、答えるより早く未桜が言った。
「私んちも、親が芸能人と小説家なんだ〜。知ってる?『秋野 結希』と『秋野 寛大』」
未桜は彩夜の大好きな小説家の秋野寛大の娘だった。秋野寛大はミステリー作家でよく知られている。何度も賞を受賞し、今やミステリー小説界の神だ。
「私んちも親が芸能人と漫画家なんだ。『春木 柚葉』と『春木 龍』だよ」
未桜が話してくれたから彩夜も話すことが出来た。
「マジ!?私、めちゃくちゃ春木先生のファンなんだ〜!春木先生の描く漫画めちゃくちゃ人気だよ。しってた?」
彩夜は知らなかった。いままで父の描く漫画なんて興味も無かった。
「知らなかった。てか、私も秋野先生のファンだよ。私、ミステリー大好きだから。どんどん読んじゃう。特に秋野先生のは読者の犯人予想を裏切る!みたいな感じでちょー面白い!」
「よかったー!ウチの父親、今、めちゃくちゃスランプでさー、書けないんだよ。今日さお父さん励ましに家、来ない?」
彩夜は友達から誘われることもなかったし、ずっと会いたかった人に会うことが出来る。だから、彩夜はうれしくてすぐ「いく!」と即答した。
それから時間は流れ、入学式、学年1位の未桜が挨拶を読み、それに答えるように生徒会長の隼が挨拶をした。
入学式も終わり、教室で教科書も配られ、彩夜や未桜のほかみんな教室から出て行った。
「そういえばさ、未桜。あの、千空先輩からもらったネックレスなんだけどさ…」
そういいながら彩夜は千空からもらったネックレスを出した。
「あーそういえばそんなのあったね。ちょっと見して」
未桜は彩夜の手元にあるネックレスを手に取りじっと見ていた。
「これ…アクアマリンの周りにあるの…ダイヤだね。間違いない。これ、買ったら相当高いよ」
こんな高いものなぜ、千空は渡してきたのだろうか、そう考えているうちに未桜の家に着いた。
彩夜はこれからこのネックレスが巻き起こすことをまだ知らなかった――――。
空よりも透明に。−Aquamarine−がはじまりましたねー!
前の連載も終わってないのに始まっちゃいましたよ。
こーゆう話、書きたかったんですよ。
まぁ、なぜアクアマリンかというと私が3月生まれだからvそれだけです。
すいませんねw
これから『空よりも透明に。−Aquamarine−』お願いします!!