表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
皇女物語(旧題 Lena ~魔人皇女の物語~)  作者: 弥也
愛しさの19歳
253/271

復活3

 レナの突然の宣言に、ハンス、アンドレ、エリザが声を揃えて言った。

「「「ダメ!」」」

「そう言われると思ったわ」

 ハンスが大きなため息をついて言った。

「元々無鉄砲な性格だとは思っていたけど、ここまでとは思わなかった。君がリエーキへ行ってしまったら、ルイーズはどうするんだい」

「いや、ハンス。こうして相談をする様になっただけ成長したと思うよ」

「そうですわね」

「何よ、三人で人を考えなしみたいに言わないでよ」

 話も聞かずに一斉に反対されたレナは、肩を落とした。

「おや、今までなさってきた事を考えれば、そう思われても仕方ないと思いますが」

「エリザ、あなた最近ベルに似てきたわよ」

 レナの憎まれ口にも顔色一つエリザは変えなかった。

「それはそうでしょう。私と兄を育てたのはベル様ですから」

「これはエリザの勝ちだな」

 アンドレが大笑いした事で、この話は頓挫してしまった。


 しかし、エヴァがオクサナと店に戻った事で、店から生活拠点を城に移すべくアルセンがやって来た事で、事態は大きく動いた。

 アルセンまでがリエーキに行くと言いだしたのだ。

「アルセンと一緒に行くなら良いでしょ?」

 レナは食い下がったが、アルセンに拒否されてしまった。

「今は以前の様なリエーキではありません。私の力は微塵も及びませんし、ジョアンは今も私を追っている。返って危険です」

 レナが言い出した時は大笑いをしたアンドレも、流石に難しい顔でアルセンに聞いた。

「その危険な場所にあえて戻ろうとするのは、王の座を取り返すつもりなのか?」

「それはありません。タルメランが来るのを恐れて待つだけなら、自分から行こうと思いまして」

「私もそうなの! このまま指を咥えて、待ってるなんて嫌なの」

「気持ちはわかるけど……」

 ハンスはそう行って腕組みをしたまま、考え込んでしまった。

 ギードだったら、どうしただろうか。ハンスは自問した。きっとレナと同じ考えだっただろう。しかし、あの時と今では背負っている責務が違い過ぎる。

「二人とも、一人で何とかしようとするのはもう止めよう」

 まさかハンスの口から、そんな言葉が出るとはレナには想像もつかなかった。

「ハンス、あなた本当に変わったわね。ああ、悪い意味じゃないわよ」

 レンの言葉にハンスは思わず赤くなった。

「それはきっと、守るべき家族と果たすべき責務があるからだよ。私も同じだった」

 アンドレは、レナの結婚相手がハンスで本当に良かったと心から思った。何かと勝手に暴走するじゃじゃ馬娘を止める事のできる、最高の相手だ。多少の後ろ暗い過去も、今の情勢では良い経験とも言えるかもしれない。

「この事は、もう少しじっくり話し合って決めよう。先延ばしにするんじゃない、皆で協力するために話し合うんだ」

「きょうりょく……」

 アルセンにとって、人とじっっくり計画協力して物事を進める事は初めてだった。しかし、それは一人で立ち向かうよりも心強く、何倍もの力が出せそうな気がした。


 ジョアンの城からすこし離れた場所にある小さな城が、タルメランとファビオのリエーキでの拠点となった。しかし、タルメランの殺意の魔力をまともに受けたファビオは、相変わらず意識がないままだった。

 このままでは衰弱して死んでしまう。そしてどうやらファビオ自信がそれを望んでいる様にも見える。時間がない。

 数日前から城では、ジョアンの寄越したメイドが働いていた。

 大して強くはないが魔力を持った少女だ。ただの人間の娘でもファビオは随分と元気になったのだから、今度も元気になる筈だ。


 城ではジョアンが母リリーの不機嫌な態度に、ほとほと参っていた。

 事の発端は昨夜突然タルメランが現れた事だ。

 リリーは大喜びで迎えたが、タルメランの言った一言に凍り付いた。

「間も無くファビオが目覚める。目覚めた後、ファビオは真の魔人国を取り返すべく行動を始める。ジョアン喜べ、お前も仲間にしてやろう。ファビオの配下に付け。良いな」

 それだけ言い残し、タルメランは去って行った。

「ジョアン、今タルメラン様は何と仰った?」

「真の魔人国を取り返す、と」

「そこじゃない!」

 リリーがイライラと歩き廻り始めた。

「ジョアンをファビオの配下に? 魔人皇族の血を引く私の息子に、ファビオの配下に!」

 リリーのプライドはズタズタに切り裂かれていた。その魔人族の王がタルメランである事は、忘れてしまっているようだ。

 そして、その怒りの矛先がジョアンに向き始めた。

「ジョアン、何故直ぐに嫌だと言わなかった!」

「母上、言葉を挟み間も無かっではないですか」

 ジョアンは一人で考えたかった。

 タルメランは確かに、真の魔人国と言った。では、ここリエーキは何なのだ。


次話も、よろしくお願いします。

(タルメランに進言。急いでは事を仕損じる)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ