表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
皇女物語(旧題 Lena ~魔人皇女の物語~)  作者: 弥也
戦いの17歳
109/271

婚約2

「昔のままだろう?」

 村の王は、自慢気に自分の作り上げた世界を案内をした。

「そうですわね王様」

 マルグリットは自分だけが多くの時間を先に生きてしまった様な錯覚にとらわれた。

 それ程、あの事件が起きる直前の日々そのままが営まれていた。

「マルグリット、今これを現実に取り戻すのだ!」

 王がマルグリットに跪いた。

「な、何をなさいます。!」

 マルグリットは、突然の事に狼狽した。

「我々を助けられるのは、マルグリット、お前だけだ。現れたのだろう? はじまりの姫が」

 レナの事は、まだ何一つ話していない筈なのに、すでに王は知っていた。

「こんなに早く現れるとは、思いもしなかった。本当にありがとう」

 王を欺くとなど、到底出来ない。

 マルグリットは悟った。

「本当にあの姫が、はじまりの姫様なのでしょうか」

「連れて来れば分かるさ」

 王の見目の色が変わった。その様子は、本当に恐ろしく、子供なら泣き出すところだろう。

「はい……」

「何を思い悩んでいる。ただ、その姫をここに連れて来さえすれば良いのだ。その為にマルグリット、お前には、お前の望む幸せを与えてきた筈だ」

 そうだった。

 マルグリットが、はじまりの姫を探し出し連れて来る。その代わり、王はマルグリット家族の幸せを約束する、と。

 はじまりの姫。

 ただ見つけて連れて来るだけだ。

 自分と家族の幸せを切に願った若いマルグリットは、深く考える事なく、王と約束を交わしてしまっていたのだ。


「だから、僕だって言ったじゃないか! 僕は絶対に許さないからな!」

 ムートル国でも、レナとハンスの婚約が正式に決まった事が知らされた。

 宮殿の中で、誰も反対する者など居なかった。コサムドラと姻戚関係になる。この事は、若き王に不安感を持っていた者達を安心させた。

 ただ一人、ドミニクだけが大反対だった。

「ドミニク、お前はまだまだ学ばなければならない事があるんだよ。今のままのドミニクで、レナ様の夫になれると思うのか?」

 ブルーノ王は、笑いを堪えてドミニクを説得にかかった。

「だからって、ハンス兄さんがレナにふさわしい夫だとは限らないじゃないか」

 ドミニクもなかなか譲らない。

 結局、結婚の日までハンスがコサムドラに行くときは、ドミニクも同行して良いと言う約束をさせられてしまった。

「全く、ドミニクはちょっと幼すぎるな」

 ブルーノは笑っていたが、ハンスは笑う事が出来なかった。

 ドミニクの言うとおりだ。

 本当に自分はレナの夫にふさわしいのだろうか。まだ、具体的な話が進んでいる訳ではない。引き返すなら今しかない。しかし、この話が進み始めようとしていると言う事は、レナも快諾したと言う事だ。

 レナに何かあったのだろうか。今度こそ、レナを守ってみせる。


 明日から、賑やかなハンナを伴った少し長い旅が始まる。

 少しでも眠っておきたいのに、レナは眠れないでいた。

「レナ……、レナ……」

 誰かの声が聞こえる。お祖母様かしら。

 レナはベッドから抜け出し、静まり返った城の中を声を辿って歩き出した。

 歩いても、歩いても、声の元にはたどり着かない。

 空耳かもしれない。

 そう思って、部屋へ戻ると、そこにはカリナが居た。

「大おば様!?」

 カリナは死んだ筈だ。この城の敷地に埋葬されたのに、何故。

「死ぬ直前に、身体と魂を切り離した」

 そう言ったかと思うと、カリナはレナの目の前に立っていた。

「もう身体がないからね、自由に動けるんだよ」

 レナは恐怖で声が出なかった。

「と、言いたいところだけど、今夜やっと動けたんだよ。あの人の影響が薄らいだようだ」

「あの……人……?」

 カリナが自嘲した。

「そう、あの人。でも、そんなに時間はない。レナ、私はお前に忠告しに来たんだよ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ