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皇女物語(旧題 Lena ~魔人皇女の物語~)  作者: 弥也
戦いの17歳
101/271

最初の戦2

「何故だ!」

 思ったような戦果が得られないアルセンは、苛立っていた。

 何故、たかが魔力を持たない人間にここまで手こずっているのか。

「フェルナンド! フェルナンドを呼べ!」

 急ぎやって来たフェルナンドは、真っ青な顔をしていた。

「お呼びでござますか、アルセン様」

「一体どうなっているのだ!」

 アルセンは、イライラと怒鳴り立てた。当初立てた計画では、昼には宮殿を制圧し王と王の弟二人を生け捕りにしている筈だった。

「思いの外、敵も強く……」

「お前が弱いだけだ! もう、良い! 私が自ら指揮を執る!」

 部屋を飛び出すアルセンにフェルナンドも続いた。



「レナ様の誕生祭に招待までしたのに、我々の顔が潰されたも同然。ここは、ムートル国に加勢すべきです!」

「いや、民を無意味に戦に駆り立てるなど、言語道断!」

「攻め込まれてからでは遅い!」

 会議は平行線のままだった。

 アルセンが攻め込んだ時間を考えると、レナの誕生祭直後にムートルへ向かったようだった。ジャメルも腸が煮えくり返る思いだった。

「アンドレ王、どうなさいます」

 ジャメルが静かに言った。

 ムートル国ブルーノからの手紙は、何とか自分達で切り抜けるが、下の小さい弟の事を頼みたい。もし、自分達に何かあっても弟さえ残っていれば、国は再興出来る、と言う内容だった。

「兎に角、準備だけは進めておこう。いつ、リエーキの矛先が我が国に向くやもしれぬ」

 アンドレの一言で、コサムドラも動き出した。



 アルセンが魔力を使ってブルーノを自在に操ろうと、宮殿に忍び込んだ。

 レナにはアルセンがしようとする事が、まるで自分の事のように分かった。

 ブルーノ王、逃げて!

 レナは叫ぼうとしたが、声が出ない。

 アルセンがブルーノの目の前に立った瞬間、二人の間にハンスが割って入った。

「レナ! 何をする気だ!」

 ハンスの顔は見た事も無いような怖い顔をしていた。

 え?

 今、私の名を呼んだ?

 ハンス違うわ。私はここよ。それはアルセンよ!

「レナ様!」

 カーラの声だ。

「カーラ!」

 自分の声で目が覚めた。

 夢だった。いや、本当に夢だったのだろうか。

「レナ様? 大丈夫ですか?」

 カーラが心配そうにレナの顔を覗き込んでいた。

「大丈夫、何だか嫌な夢を見ただけよ」

「そうですか。エヴァからケーキが届きました。召し上がられますか?」

「もちろん!」

 こんな時こそ、親友が心を込めて作ってくれケーキを食べるべきだわ。

 レナは気持ちを切り替えようとした。



「僕達整備部も、戦に向けて準備する事になったよ」

 夕食の席でファビオが言った。

 マルグリットは、覚悟はしていたものの、いざ自分の息子は戦に向かわされるのかと思うと、心が痛んだ。

「大丈夫だよ母さん。僕等が直接戦に行くわけじゃない」

 ファビオが暢気に言った。

「え?」

 マルグリットは耳を疑った。

「何を言ってるのファビオ」

「何って、僕が戦場に行くのが心配だって言うから」

 言っていない。そんな事、言葉には出していない。

「え?」

 今度はファビオを不思議そうな顔をした。

「ああ、何でもないわ」

 カーラ達に怒っている事が、ファビオにも起こっている。

 だとすれば、あのエミリオの件も説明がつく。ファビオ自身思いも寄らない力が出てしまったのだ。



「え? ファビオも?」

 マルグリットから相談されたジャメルは、面倒な事を相談されてしまったと思った。

 しかし、放ってはおけない。

「わたしファビオには力が無いと思っていたのに」

「分かりました、ファビオには城の中から出られないような勤務を与えます。私の目の届くところに置きますので、マルグリット様はご安心ください」

 マルグリットが、安堵の笑顔をジャメルに向けた。

 もし、エリー様が生きておられたら、こんな笑顔だったのだろうか、ふとマルグリットを抱きしめたい衝動に駆られた。


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