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出会い~砂漠にて~

遥か遠くにあると思っていたあの動く目標が、意外と近かったのは幸いだった。自分は思いの外、体力を使っておりだいぶ憔悴していたようだ。なけなしの体力を振り絞って歩いてきたわけなのだが、目指してきた目標を視認出来た時ようやくあれが何であったのかを理解した。


ラクダだったのだ。なるほど砂漠らしいなと感心するより先にそれに人が騎乗していることに安堵した。今、何よりも欲しいのはもちろん水でその次に欲していた第二希望は情報なのだ。


よく見るとラクダに騎乗していたのは男のようだ。とにかくこの男とコミュニケーションを取らねばと思ったのだが、見た感じ日本人ではなさそうだ。男は体全体を黒い衣で覆っておりどこか怪しげな雰囲気を漂わせている。


さて、どうしたものか…??どうやって話しかける…??男を見つつ考えるが良い考えが浮かばない。すると男はラクダから降りてこちらを見た。数秒の睨み合いの後、男はこちらに対して言い放った。「お前は誰だ?どこからやってきた?その服装はなんだ?」


わずかばかりの殺気を帯びたその言葉に萎縮しつつも大きな疑問を抱いた。男の言っていることが理解できたのだ。自分の知らない聞いたことも話したこともない言語の筈なのに理解できてしまった。


これは助かったと正直思った。知らない場所でも言葉は通じる。人と話せる、意思疎通ができる。それが分かっただけでも大きな前進だ。少し活力が湧いてきた。人間というものはこんなことで元気になれるのかと新たな発見をした気分だった。


そんな事情は知らない男は苛立っていた。近頃は盗賊がよく出没するようになった。それはとある事情によって畑の作物が死に絶えてしまったり、川の水が干上がってしまうなどの被害が増大し、経済的苦難に陥って盗賊に身を落とす者が増えてしまったのだ。最近はこの砂漠もめっきり治安が悪くなってしまった。


そんな所に不審な人物がいたのだ。服装は明らかに地元の人間ではないと分かる。しかしこのような服装でどうやって砂漠の暑さを耐えたのだろうと疑問に思った。さらに思索を続けるが急に男の思考は中断された。目の前の不審人物(少年?)が話しかけてきたからだ。

「あのー…とりあえず、まずは水が飲みたいです。」


 何を話そうか…??自分は迷っていた。明らかにあの男はこちらに対して敵意を持っている。遭難した旅人には優しく親身になってくれるなんてものは都市伝説だったようだ。この男はそんなに甘くはない、出会ってからまだ数分程度だが男の発する雰囲気は只物ではない。


そんな男にどう話せば良いのか?本当のことを言って信じてもらえるのだろうか?ならばそれらしい嘘を言ってみるか。いや、それこそ墓穴を掘ることになる。何一つとして情報を持っていない、むしろこれから得ようとしているのに、そんな不確定なことが多すぎるものには手を出せない。そんな博打打ちみたいなことはできない。


ならばどうする?嘘偽りない自分の思いなんて今あるのか。フルスロットルで頭を回す。そしてあることを思い出した。自分が最も求めているものを、第一希望のことを。そして意を決して男に話しかけた。


 「はぁ?水?」男は面食らったようだった。何しろ素性を聞かれているのに水が欲しいなどと言ってくるのだ。呆れ返ってこちらを見て男は言った。「あの質問をこう返すのか。お前面白いな気に入ったぞ。」


そうして男は笑いながら水を渡してくれた。遂に手に入った水を飲もうとすると「おい、ちょっと待て」と低い声で遮られた。やっぱりダメだったかと恐る恐る男の顔を見た瞬間、思いもよらない言葉を耳にした。「そういえばお互い名前知らねえな。俺の名前はシャヒンだ。お前は?」


ここで彼は力強く告げる。後の英雄の名を。


「俺の名前はシエルだ。」

はい、第2話です。1話の事なんですけど昼間の砂漠で寝るとかおかしい。絶対火傷するぞという意見をいただきました。その通りだと思います。説明不足でした。自分もまだまだ検証が甘いようです。今回出てきたシャヒンですけど外見上のモデルは某ノベルゲーの白髪の弓使いです。あくまで外見ですけど笑

次もよろしくお願いします。


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