理由
太陽を丸めて
ポケットに突っ込んで
サドルをうんと高くした
自転車に乗って
あの坂道漕いでって
ぬるい夜を駆け抜けて
空の色を知らない
俯いたままの向日葵
濡れた羽のまま
木にしがみつく若い蝉
麦わら帽子を縁取る
赤いリボンがひらり
みんな
みんな
あの陽射しを待ってるから
重くなるペダル
大きく踏み込めば
辿り着く空の近く
届けたい
空の色があって
届けたい
命の熱があって
届けたい
いつか思い出になる日があって
永遠にはほど遠い
夢を掻き集め
それでも輝きたいと願う
鼓動を秘めて
脈打つ
太陽を握りしめて
大きく振りかぶれば
あつくなる手のひら
こんなにも切ないのは
手離したかたちを
サヨナラにして
夏はいつも はじまるから