表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/37

14.5,義輝、気になる事

 極楽。

 日ノ本の死者が集う地区に建つ城の1つで、足利義輝と今川義元は2人で酒会を開いていた。


「信坊の部下にしてやられた様だな、今川の」

「無いわー……モノノ怪は無いわー……」

「すっかり意気消沈しとるの……」


 仕方無いので、義輝が義元の盃に酒をつぐ。


「それはそうだろうて。あんな物は卑怯では無いか」

「松永・三好と徒党を組んで尾張を嵌めようとした口がようほざくわ」

「え、知ってんの? それ」


 義元の顔色が悪くなる。


 義元は松永達と組んでいた。

 義輝の死を利用する計画の一端に乗っていた訳である。


 自分が謀殺するのに手を貸したも同然の被害者が目の前にいるのだ。

 顔色も悪くなるだろう。


「現世の様子を覗ける場所があるのでな。暇な時はそこから見ている」


 そこで義元が家臣らとその話をしていたのを、バッチリ聞いていた訳だ。


「あー……えーと……」

「謝罪はいらんよ。謝られた所で、生き返れはせんからな」

「怒っとる、絶対怒っとる!」

「それはそうだろう」


 殺されて怒らん奴がどこにいる。


「されど、現世でのわだかまりは胸にしまう、それが極楽の秩序……るーる、なる物だそうだ」


 あのヌッファエルとかいう筋肉少女が言っていた。

 それに義輝自身、人を恨むのはあまり得意では無い。


「それはそうと……1つ、気になる事がある」

「気になる事?」


 義輝は知っている。

 義元が討たれる前日、己の仇である松永久秀が信長に討たれた事を。


「……松永が、おらぬ」

「何……?」

「この極楽中のどこにも、松永久秀と言う男はおらぬ」


 あのヌッファエルとかいう自称「マッスルキューティ・エルたそ」に頼んで調べてもらったが、見つからなかった。

 死者名簿という代物には確かに名が載っているらしいが……


 三好三人衆を含め、あの戦で死した物は小兵1人足りとも除く事なくこの極楽に来ていた。

 なのに、松永だけがいない。


「胸騒ぎがするのだ、どうにもな……」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ