市会議員選挙トップ当選の戦略
尾上を近所の喫茶店で呼び出し、待っていた。
5分後尾上がやってきた。「 光一君、久しぶりやね。選挙活動の戦略についての話だったよね。 」
「 尾上って呼べばいいのか、悟って言ったらいいのか分からないけど、光一って呼んでくれれば
いいよ。僕は悟でいいかい? 」
「 悟で構わないけど、それで光一はなんで市会議員になろうとおもったの」
今更ながらにそう問われると、僕はなかなか言葉に出せなかった。昨日まで尾上との作戦会議を
シュミレーションしていたけど、生で聴く言葉の威力に黙り込んでしまった。
「 光一は、そのことについてまだまだ具体性がかけているんやね。35歳になってお互い独身だし
いろいろと思うことがあって、いまいきているんやとおもうよ。でも、それ相応の年齢になってきたら
自分の意見は絶対に必要になってくる。20歳そこらの若い子が市会議員になりたいと言うのとは
訳が違ってくるよ。光一がミュージシャンを目指したいって言ってた学生時代とは全く違う立場に
いるって事を理解したほうがええで。」
そう、悟に見透かされた僕は、本気でしかもバカバカしいって思える程どの事をいって
馬鹿にされて終わろうとまで考え始めていた。
「 この街おもんないねん! 政治家が好き勝手してしているのを口々に文句を言うくせに
自分は何もしない。この前選挙に行ったけど、ほとんどおじいちゃん、おばあちゃんばっかりで
若い奴やおばちゃんの姿すらなくてね。これやから街はおもんなくなってるって思った
ただそれだけや 」
「 それだけ、言えたら凄いやん! 光一は昔から変わらないやん。誰かがやらなきゃいけないって
感じた時に真っ先に手を挙げる奴だったよ君は。僕はそんな光一を少し羨ましくてね。でも心の
どっかで、貧乏くじひくやつだと思ってたよ」
「貧乏くじってなぁ悟君よー それはないわ。学級委員だってあの時だれもなろうとしなかったから
僕は早く帰りたくて、じゃあなるよって思っただけなんやから」