ハピネス活動休止
喫茶北風に集合したハピネスメンバー。
千景とローズからの報告とは……。
ハピネスの事務所損壊事件。
これは予想以上に大事となっていた。
「調査の結果、事務所だけでなく、ビル全体に深刻な損傷がある事が分かりました」
「正直倒壊しなかったのが奇跡な位にねぇ」
事務所の隣にある、喫茶北風で千景とローズは被害状況の報告を行う。。
大事な連絡と言うことで、バイトも含め全員が集合していた。
「検討した結果、ビルの建て替えを行うことにしました」
「た、建て替えですか?」
「ええ。中途半端に補修するよりも良いとの判断です」
千景はいつもの調子で答える。
「期間は大体一ヶ月ほど。その間は、便利屋としての活動を休止します」
突然の言葉に、所員達は動揺する。
「それじゃあ所長、私達は……」
「「お給料無しですか!!」」
鈴木を始めとする正所員達が、一斉に悲鳴を上げた。
バイトのハル達もそうだが、正所員達には死活問題だ。
「うふふぅ、大丈夫。休止するのはぁ、あくまで便利屋としての活動だけだからぁ」
「建て替えの件も含め、細々とした仕事は山ほどあります」
「臨時の事務所もぉ、テナント募集中のビルをゲットしてあるわぁ」
二人のフォローに、鈴木達はホッと胸をなで下ろした。
「あの~千景さん、私達は……」
「依頼の受注なども休止しますので、その間はお休みになります」
今度はハルを含めたバイト達に動揺が走る。
こちらも生活がかかっている人も多い。
「とは言え、突然言われてはみんなも困るでしょう」
コクコク、と揃って首を縦に振る。
「仕事は回せませんが、希望者には無利子で必要な資金をお貸しします」
「それとぉ、働きたい人は期間限定のバイトを紹介するわぁ」
ハピネス以外で働けない人は、必要な資金を貸し出す。
働きたい人には、建て替えの間の働き先を斡旋。
勿論どちらも選ばないと言う選択肢もある。
何にせよ、所員の生活は守られる。
二人の言葉は所員達に安心感をもたらした。
「連絡事項は以上です。正所員はこれから、私と共に臨時の事務所に向かいますよ」
「資金か斡旋が必要な子はぁ、何時でも良いから連絡してねぇ」
こうして、便利屋ハピネスは活動を休止した。
「ねえハル。ハルはどうするの?」
「お休みさせて貰うよ。最近忙しかったから、ちょっと勉強しないとな」
「お金大丈夫?」
「動物関連の依頼、結構報酬が良かったから」
御堂ハルの名は、その道では有名になっていた。
名指しでの指名も多く、お陰で当面の生活資金に不自由しない位に貯蓄出来ていた。
「奈美こそどうするんだ?」
「じゃあ私も休む」
「何だよそれ。生活費は平気か?」
「お母さんが振り込んでくれてるから。贅沢しなければ平気よ」
ニコリと笑う奈美。
考えてみれば、奈美は未だ高校生。
家からの仕送りがあるのは当然と言えるだろう。
「そうか……それじゃ帰るか」
「うん!」
二人は他の面々に挨拶をしてから、アパートへと帰宅した。
ハピネスの活動休止。
これが全ての引き金となるのだった。
非常に短い話ですが、嵐の前の静けさと言うことでご勘弁を。
ハピネスは一月ほど休み、千景達は事後処理に大忙し。
これが、引き金となります。
次からは少し長い、ハル編に突入します。
日常と非日常が、遂に交わる時……。
次回もまたお付き合い頂ければ幸いです。