小話《紫音とゲーム2》
紫音に呼び出されたハル。
何やらゲームの攻略法を聞きたいらしく……。
ある日のこと。
ハルは紫音に家に来て欲しいと頼まれた。
珍しい呼び出しに、何事かと思っていたのだが。
「ここが何度やっても突破できんのだ」
「そう来たか……」
ゲーム攻略の為だった。
紫音がプレイしているのは、超有名RPGの三作目。
三部作の完結編だ。
「よく二作目をクリア出来たな」
「最後の方は少々情緒不安定になったが、あそこまで行くと意地だ」
「……ザ○キ」
「ぬぅぅぅぅぅぅ、呪いの言葉が……」
「……痛恨」
「くぅぅぅぅぅぅ、追い打ちを掛けてきよって……」
「……メ○ンテ」
「ひぃぃぃぃぃぃ、画面が真っ赤に……」
大分トラウマを植え付けられている様だった。
「で、それを乗り越えた紫音が詰まってるのは何処だ?」
「実はある場所を船で通ろうとすると、押し返されてしまうのだ」
「ああ。それは…………」
ハルも迷った経験がある。
簡単にヒントを伝えると、紫音はなるほどと頷く。
「では早速やってみるとしよう」
紫音はゲームを起動させ、冒険の書を選ぶ。
主人公の名前は、やはり「シオン」だった。
「おっ、結構レベル高いな」
「ヒントを探してあちこち彷徨ったからだ」
画面が切り替わり、王様の前にパーティーが現れる。
「武闘家と賢者、それに……遊び人?」
随分変わったパーティーだ。
ここまで進めて、遊び人のまま連れている人も珍しい。
「仲間の名はみんなの物を使わせて貰った。職業もそれに合わせたつもりだ」
「ナミとチカゲ、それに……ハル?」
ちょっと待て。
「紫音よ、どうして俺が遊び人なんだ?」
「他の職業に適当な物が無かったのだ」
「まあそれはいい。けどな、どうして性別が女になってる?」
「最初は男にしたのだが、ピエロ面よりこっちの方が、ハルに近かったからな」
お気遣いありがとう。
でもそれは余計なお世話とも言う。
「け、賢者になればイケメンになれるのに……」
「残念だがチカゲを賢者にしたから、ハルは無理だ」
「あれ、知らないのか?」
「何がだ?」
「遊び人はアイテム無しで、賢者に転職出来るんだぞ」
有名な話だと思ったが。
「ほう、それは初耳だ。しかし賢者か……」
「分かってるよ、似合わないって」
「……いや、ある意味ハルにピッタリかもしれん」
「お世辞はいらないよ」
「賢者は万能職業。モノマネを使うハルに通じる物がある」
少し褒めすぎだが、悪い気はしない。
「なら早速転職するとしよう。謎解きはその後だ」
紫音はゲームを進める。
「なあハルよ。一つ気になったのだが」
「ん?」
「どうして遊び人から賢者になれるのかな?」
それは全国のプレイヤー達共通の疑問だ。
「遊びすぎて悟りを開いちゃったとか、一つの事を極めたからとかかもな」
「ふむ、一理あるな」
「あんまり難しく考える必要はないよ。ゲームだし」
「……もしかすると、この遊び人は最初から賢者だったのかもな」
「どういうことだ?」
「あまりに強大な力を封じるため、あえて道化を演じていた、とは考えられぬか?」
なかなか面白い発想だった。
真実が証明出来ない以上、可能性の一つではあるだろう。
「話が脱線したな。ほら、ゲームを進めよう」
「うむ、そうするとしよう」
その後、紫音は無事詰まっていた箇所をクリア。
暫く一緒に遊んだ後、ハルは帰っていった。
「と言うことがあってな、ハルのお陰で無事終局を迎えられそうだ」
夕食の席で、紫音は千景に昼の話をする。
「それは良かったですね。でもゲームだけでなく、宿題もしっかりやるんですよ」
「宿題は既に終えている。今は日々の復習を行っている所だ」
憎らしいくらい優秀な子供だった。
最終日に慌ててやるのが、夏休みの定番だというのに。
「それにしても、賢者ですか……」
「ハルにピッタリだと思わないか?」
「……彼の場合、寧ろ逆かもしれませんね」
「む、それはどういう……」
「何でもありません。忘れてください」
話を終えた千景に、紫音は僅かに違和感を憶えたが、追求はしない。
千景が話さないなら、それは自分が聞かなくて良いことだと知っているからだ。
「そう言えば、ハル君と奈美は海外旅行に行くらしいですよ」
「うん、らしいな。ハルと妹君、奈美の三人で、ハルのご両親に会いに行くらしい」
「……何も無ければ良いのですが」
窓から見える夜空を見て、千景は誰に向けるでもなく呟くのだった。
すっかりゲームにはまって居る紫音。
そろそろ次世代機を買ってあげたいところです。
今回のゲームは、お察しの通り国民的RPGの三作目です。
最近リメイクされたらしいですね。私ももう一度やってみたいです。
小話連発のあとは、少し長いエピソード。
海外の話になる予定です。
次回もまたお付き合い頂ければ幸いです。