小話《超緊急座談会開催》
千景によって、また不思議な空間に集められた一同。
彼女の口から告げられる事実とは……。
千景「え~本日みんなに集まって貰ったのは、他でもありません」
奈美「何かな?」
ハル「さぁ? 護衛編が山もオチもなく終わったから、お説教とかかも」
剛彦「私は頑張ったのよぉ。一切説明されてないだけでぇ」
柚子「ひょっとして、てこ入れするのかも」
蒼井「妥当だな。このままでは、吾輩の出番が少なすぎる」
紫音「てこ入れとは?」
柚子「新キャラ登場や、急な話の路線変更で、人気の回復と新規ファン層の獲得を狙う手法です」
奈美「あ~あるある。漫画とかでもよく見るもの」
ハル「てことは、突然バトル物になったりするのか?」
紫音「……ふむ、可能性はあるか。だがそれでも……」
剛彦「ドクターの出番は増えそうに無いけどねぇ」
蒼井「………………そ、想像してしまった」
ハル「それで千景さん。正解は?」
千景「大したことではありません。実はこの小説、次で最終話です」
ハル「な~んだ、そんな……」
一同「「えぇぇぇぇぇぇぇ!!??」」
奈美「どどど、どういう事ですか!」
剛彦「説明が欲しいわねぇ」
千景「簡単に言ってしまえば、打ち切りです」
一同「「打ち切りぃぃぃぃぃ!!!!」」
柚子「そ、そんなのおかしいです。有り難い事に、読者様の数は安定してますし」
紫音「お気に入り登録して下さった皆様も増えているのだぞ」
蒼井「その通りだ。キチンとした理由を話せ。出なければ納得できないぞ」
千景「分かりました。今回打ち切りとなる理由は、全部で三十四個あります」
一同「「そ、そんなにっ!?」」
千景「これを全部説明すると、恐らくパート四位までかかりそうなので、抜粋して話しましょう」
~理由その1~
千景「まず最初に、この小説が試験的な物であったのは知ってますね?」
一同「「初耳です」」
千景「え? 説明、してませんでしたか?」
一同「「全く、一切、これっぽちも」」
千景「…………コホン、そんなわけで、試験は終了したので、小説も連載終了となります」
一同「「ご、誤魔化した! しかも政治家みたいに明確な理由を言わないで!!」」
千景「失礼な。アレと一緒にしないで下さい。分かりました、では次の理由を話しましょう」
~理由その2~
千景「実は作者、先日昇進したらしいです」
奈美「傷心? 振られたんですか?」
ハル「違う違う。勤め先で偉くなったって事だ」
奈美「へ~、でもそれ、良い事ですよね」
剛彦「……なるほどねぇ。偉くなればぁ、その分仕事が忙しくなるわぁ」
千景「ご明察。大体一日の執筆時間は、平均二時間ほど減っています」
ハル「ま、まあ、このご時世、仕事があるだけでも有り難いと思うしか……」
紫音「だが千景よ。それでも休日はあるだろ。連載不能な訳ではあるまい」
柚子「確かにそうですね」
蒼井「その辺どうなのだ?」
千景「結論から言えば可能です。現に今も、執筆は続けていますから」
奈美「じゃあ何でうち切り何ですか?」
千景「…………浮気です」
一同「「浮気ぃ!?」」
千景「ええ。実は作者、この小説以外にも同時に二つの小説を執筆していたんです」
ハル「な、何てこった」
剛彦「それはまたぁ、無謀な事してるわねぇ」
紫音「む、だが待て。投稿されている小説は、これと前作しか無いぞ?」
千景「書くだけ書いて、まだ投稿してません」
蒼井「何故だ?」
千景「……色々とあるんです。色々と……」
ハル「え~取り敢えず、打ち切りの理由の一つは、そっちに力を入れるからって事ですか?」
剛彦「酷い、他の女を取ってぇ、私を捨てるのねぇ」
一同「「…………」」
剛彦「い、良いじゃないのぉ。ちょっと言ってみたかっただけよぉ♪」
千景「ひとまず、理由の二つ目はそんな感じです」
千景「他にも多々ありますが、大きな理由はこんな感じです」
奈美「む~納得行かない」
ハル「……それで千景さん、どんな風に終わらせるって言うんですか」
剛彦「ひょっとしてぇ、以前千景ちゃんが言ってたぁ」
柚子「フェードアウト方式……」
千景「それも考えたんですが、先に言ってしまった以上、あまりにばつが悪いので却下しました」
紫音「賢明な判断だ」
蒼井「しかし、それならどうやって物語を締めるのだ」
千景「……みんなは知ってますか? 漫画家が打ち切りを言い渡される時の事を?」
一同「「????」」
千景「突然、『あと○週で終わりだから、それまでに纏めて』と通告されるらしいです」
ハル「お、恐ろしい話ですね」
奈美「でも、それだけじゃ纏められない流れの時もありますよね。その時は?」
千景「……強制終了。一切の情け容赦無しに、ズバッと切られます」
一同「「(ゴクリ)」」
千景「つまり……」
菜月「は~い、みんな~こんにちわ~」
一同「「なっっ!!」」
ハル「か、母さん。何しに来たんだよ!」
紫音「と言うか、どうやってここに来たのだろう……」
菜月「えっとね~、ここにはメッセンジャーとして来ました♪」
一同「「だ、誰からの?」」
菜月「ひ・み・つ♪ え~『ハピネスの皆様、誠に残念ながら、この小説は終了致します』」
一同「「打ち切りの通知だぁ!!」」
菜月「『そこで、物語を円満に終わらせるための猶予を、五話用意致します』」
一同「「五話だけっ!?」」
菜月「『もし纏めきれない場合、隕石激突で地球が終わったエンドが、強制的に採用されます』」
一同「「ぜ、全滅オチ!?」」
菜月「『皆様で協力して、無事に物語を終わらせて下さい』だって♪」
一同「「…………」」
菜月「じゃあ私は帰るから~、みんな頑張ってね♪」
ハル「(去っていく菜月を見つめ)じ、自由すぎるだろ母さん」
奈美「なっちゃんなら仕方ないわよ。それよりも」
千景「不味い事態になりましたね。後五話……あまりに短すぎます」
剛彦「ここはみんなでぇ、意見を一つにする必要があるわねぇ」
千景「ええ。これより緊急作戦会議に入ります」
千景「……では、話し合いの結果を纏めましょう」
剛彦「まずぅ、最後はやっぱりハッピーエンド。これは決定事項だったしねぇ」
ハル「スポットを一人に当てて、どうにかそこまで持っていく、と」
紫音「ハピネスに関わった人々はどうする?」
柚子「コレクトとか、アイシャさんの行く末を入れる余裕がありませんよ」
千景「ええ。この際仕方ありません。その人達には、ここで決着を着けて貰いましょう」
一同「「えっ!?」」
※※※
コレクト「ば、馬鹿な。この私が……」
美園「ふふ、怪盗コレクト、遂に捕らえましたよ!」
コレクト「見事だ美園君。だが、私を捕らえてもまだ終わりではないのだ」
美園「どういう事ですか?」
コレクト「私は怪盗四天王で最も格下。直ぐに他の四天王が日本にやってくるだろう」
美園「怪盗四天王!?」
コレクト「親子三代で泥棒のモヒカンやマジック使う泥棒に、君は勝てるのかな?」
美園「愚問です。私がいる限り、日本で怪盗の栄える事はありません!!」
千景「美園警視の戦いは、まだまだ続く」
※※※
千景「ふう、これで美園とコレクトはよし、と」
ハル「いやいやいや、駄目でしょこれ」
剛彦「仕方ないわぁ。もう巻くしか無いものぉ」
柚子「ある意味念願叶った感じですしね」
蒼井「怪盗四天王の存在自体初めて知ったが、まあどうせ打ち切りだからな。言った者勝ちだ」
千景「さあ、次はアイシャの決着を着けますよ」
※※※
アイシャ「お兄さま、これまでです」
兄王子「図ったなアイシャ!!」
アイシャ「お兄さまも意外と甘いようで。貴方の生まれを呪って下さい」
兄王子「お前も同じ産まれだろうが!!」
アイシャ「私は兄弟姉妹の暗殺なんてしません。悪いのはお兄さまです」
兄王子「お、お前だってやっただろ!」
アイシャ「やってません」
兄王子「やった」
アイシャ「やってません」
兄王子「ええい、話していても埒があかない。衛兵共、こいつを捕らえろ!」
アイシャ「…………(パチン)」
兄王子「え、え、違う、私ではなく、こいつを捕らえるんだ」
アイシャ「お兄さま。人を動かすのは血統や地位だけでは、無いんです」
兄王子「何を馬鹿な……あ、そのTシャツ。お前買収したな!」
アイシャ「この国で日本のアニメは絶大な人気を誇ってます。知らなかったのですか?」
兄王子「こ、このオタク共!」
アイシャ「……(パチン)」
兄王子「あ、ごめんなさい。嘘嘘嘘、嘘だからぁぁぁぁ」
アイシャ「(衛兵に引きずられる兄を見つめ)哀れですね」
アイシャ「常識と非常識を併せ持たなければ、王たる資格など無いと言うのに」
側近「アイシャ王女……いえ、アイシャ女王。国民が待ちわびております。どうかお姿を」
アイシャ「分かりました。ふふ、これで奈美達を心おきなく迎え入れられます」
千景「かくして女王となったアイシャは、アイマン王国を末永く繁栄させるのだった」
※※※
千景「これでよし、と」
奈美「アイシャが、アイシャがとっても黒い子になってる……」
ハル「いや、元々こんな感じだぞ。表に出さなかっただけで」
剛彦「まあ、友達に見せる顔とは違うわよねぇ」
千景「さて、これで憂いは無くなりました。後は……主役の頑張り次第です」
剛彦「頼むわよぉ。ハッピーエンドか全滅エンドかはぁ、ハルちゃんに掛かってるわぁ」
奈美「しっかりね」
紫音「我らの命運、ハルに託す」
柚子「頑張って下さい」
蒼井「精々あがいてみるがいい」
ハル「……よく考えてみると、凄い責任重大だな。まあ、やってみるよ」
千景「では今回の緊急会議はここまで。後はシナリオ通りに……全員の健闘を期待します」
一同「「了解っ!!」」
かくして、賽は投げられ……投げっぱなされた。
どんな目が出るかは、ハル次第。
え~ま~そう言う訳でして……ごめんなさい。
本編で言っている通り、「便利屋はじめました」は後五話で終了となります。
長い間つきあって下さった読者様には、感謝してもしきれません。
演出上、結構アレな事を言ってるので、一応補足を。
元々この小説は、後二十話ほどで終わる予定でした。少しずつラストへの伏線を張って、ソフトランディングさせようとしていたのですが……失敗しました。
あまりにグダグダな内容になってしまい、とてもお見せできるレベルまで到達しませんでした。
そこで、伏線を本題にすげ替え、無駄を省いた結果、ジャスト五話に収まったと言うことです。
既にラスト五話は執筆を終了しています。明日より連日投稿させて頂きます。
あまりに急展開過ぎて、ポカンとされるかもしれません。改めて作者の未熟さをお詫び致します。
ただ、ラストの展開については、投稿開始前より準備していたものです。一応、予想していた着陸地点に辿り着けそうです。
それと一つ連絡を。
本編で言っていた執筆中の長編小説についてです。
一つはオリジナルの小説。
主役がハルと言う名前以外は設定を一新して、新たな物語を構築しました。この歳で厨二病を発症したため、そう言う話になってます。
もう一つは、初めて手を付けた二次創作の長編。
とあるアニメを、自分なりに解釈して独自ストーリーを構築しました。
次に投稿するのは、二次創作の長編を予定しております。
作者としても初めての試みで、一度やってみたいと思っていたためです。
オリジナルしか読まない、と言う読者様や、その作品を全く知らない読者様には不満(持ってくれると嬉しいですが)があるかと思いますが、ご容赦下さい。
もう一つのオリジナルも、二次創作が完結した後に投稿予定です。
作者のスパンから言うと大体一年後になるかと……。
長文駄文、失礼致しました。
まずは本小説の完結に全力を注ぎます。
ラスト五話、お付き合い頂ければ幸いです。