小話《座談会をしよう》
節目の百話目。
どうやらハピネスは座談会を開催する様です。
千景「さて、それでは座談会を始めるとしましょうか」
奈美「う~ん」
ハル「どうした、難しい顔して」
奈美「なんかね、デジャビュと言うか……初めてなのに初めてじゃない様な……」
紫音「奇遇だな。私もそう思っていたところだ」
千景「気のせいでしょう」
柚子「気のせいですよ」
剛彦「気のせいねぇ」
ハル「な、何か大人組が妙に団結してるな……」
千景「大人の事情というものです。それより、参加者は全員揃って……ますね」
一同「「は~い♪」」
千景「ではまず、最初の話題は……」
蒼井「(事務所のドアを開け放ち)待てい!!」
千景「あらドクター。私の話の腰を折るなんて、良い度胸ですね」
蒼井「こっちの台詞だ! 今吾輩が居ないの確認してから始めようとしただろ!」
奈美「蒼井居なかったんだ」
柚子「ちっとも気づきませんでした」
蒼井「しくしく……」
千景「まあ来てしまったものは仕方ないので、邪魔をしないよう大人しくしてて下さいね」
ハル「……俺、この光景もデジャビュだ」
~過去を振り返って~
千景「今回のお話しで、丁度百話目となるわけですが」
ハル「何というか、最初からあまり話が動かないですよね」
剛彦「基本的にぃ、何かを成し遂げる話じゃ無いからねぇ」
柚子「結局新しいメンバーは、ハルさん、奈美さん、紫音ちゃんだけですから」
蒼井「後は当初登場しなかっただけで、元々所員だった訳だしな」
紫音「芍薬商店街との付き合いや、コレクト殿との因縁が産まれたくらいか」
千景「……事務所の建て替えなんかも……ね」
蒼井「(がくがくぶるぶる)」
千景「まあそれはさておき、基本的に大きな変化はありません」
ハル「良いんですか? 何かこう大事件とか起きなくても」
千景「そう言うのは他の場所で起きてるでしょうから」
奈美「身も蓋もないですね」
剛彦「そもそも日常がテーマの話だからねぇ」
紫音「これを日常と言うには語弊があると思うが」
柚子「怪盗と対決したり、悪の組織に誘拐されたりしてますものね」
蒼井「だが、世界や日本の危機とは縁遠い話には違いない」
ハル「そんなのこそ、どっかの誰かに任せるのが良いだろうよ」
奈美「ん~個人的には、魔王とか倒してみたかったわ」
紫音「アレは人間がどうこう出来る相手じゃ……いや、奈美ならあるいは……」
剛彦「それは違う機会にしたら良いんじゃ無いかしらぁ」
千景「ですね。私達はあくまで、その日その日を生きていくだけですから」
ハル「綺麗に纏めましたね」
千景「……いえ、実際これが一番大変と言いますか……」
一同((お、重い……))
~出番~
千景「これまでを振り返ると、一番出番が多いのはやはりハル君ですね」
奈美「まあ、仮にも主人公だし」
剛彦「一応主人公だしぃ」
紫音「ひとまず主人公だからな」
蒼井「これでも主人公らしいぞ」
柚子「なんちゃって主人公、ですし?」
ハル「何だよその反応は! てか柚子はどうして疑問系なんだ!!」
千景「まあまあ落ち着いて。ハル君が一番出番が多かったのは事実ですから」
ハル「はぁ……」
千景「第二位は奈美、三位が紫音、その後は私と柚子、剛彦が団子です」
蒼井「ん、ちょっと待て。誰か抜けてないか?」
千景「ああ、失礼しました。大事な人を忘れていました」
蒼井「ふふん、まあ良い。それで、その大事な人はどの位置なんだ?」
千景「秋乃さんが私達と同じ位、美樹がその下ですね」
奈美「へぇ~秋乃も結構出てるのね」
ハル「お前と学校で絡む機会が多いしな」
蒼井「違ぁぁぁぁう。もっと大事な、唯一無二の存在を忘れてるだろ!!」
紫音「そうだぞ千景。冬麻殿と菜月殿を忘れている」
千景「あら、私としたことが。お二方は秋乃さんの下、美樹の上です」
剛彦「そんな少なかったのぉ。インパクトが強いからぁ、もっと出てる印象があるわねぇ」
柚子「ハルさん誘拐の時に、大幅に出番が増えたからですね」
一同「「あっはっはっは」」
蒼井「きぃぃぃぃぃぃい!! わざとだな、わざとやってるだろ」
千景「(不意に真剣な顔で)ドクター、本当に聞きたいですか?」
蒼井「ん、何だいきなり」
剛彦「知らない方がぁ、幸せな事もあるのよぉ」
奈美「あ~あ、折角気を遣ってあげたのに」
紫音「人は知らぬ事は出来ても、知ったことを知らない事には出来ない」
ハル「ま、まあ出番なんてこれから増やせば良いんだし、な?」
蒼井「何だ、何だ貴様等、その、妙になま暖かい視線は……まさか……」
柚子「千景ちゃん、本人が強く希望してるんだし、言ってあげれば?」
千景「分かりました……。ドクターは…………秋乃さんの……下です」
蒼井「ぐふぅぅぅぅぅぅ!」
ハル「あ、蒼井が血を吐いて倒れた! 衛生兵、衛生兵を!」
柚子「…………多分平気です」
ハル「何てやる気のない衛生兵……」
奈美「まあ自業自得じゃない? これだけみんなが避けようとしてた事を聞いたんだし」
剛彦「ドクターは登場が遅かったしぃ」
紫音「単独で主人公の話が無かったのも痛いな」
ハル「海に行ったときも、結局最初と最後だけしか出番無かったし」
柚子「コレクトさんとの対決も、二回目は蚊帳の外で台詞は殆ど無かったですものね」
蒼井「……し、信じぬぞ。吾輩は科学者、明確な数値を見なければ……」
千景「(何か書かれた紙を手渡し)どうぞ」
蒼井「………………(何かが折れる音)」
一同((心折れたか……))
千景「人の忠告は素直に聞こう。みんなも良いですね?」
一同「「は~い♪」」
蒼井「まだだ、まだ終わらんよ……きっとこれから吾輩がメインの話だって……ある」
奈美「……言った方が良いのかな? その予定は全くありません、て」
紫音「止めておけ。傷口に塩を塗り込む必要はあるまい」
~これから~
千景「過去を振り返るのはここまでとして、今後について話すとしましょう」
ハル「今後って言うと、これからの展開ですか?」
千景「ええ。とは言いましても、今まで通りなんですけどね」
剛彦「まあそうよねぇ。あくまで日常の話だものぉ」
柚子「ではこれからも、ちょっとした出来事のお話を?」
千景「それがベースですが、そろそろ纏めに入っていこうかと」
紫音「ほう、纏めか。この小説も終わりが近いと言うことなのだな?」
千景「いえ全く」
一同「「をぉい!!」」
千景「ただこの小説の性質上、大きな事件があって終わり、とはならないので」
ハル「確かに……日本支配みたいな目標は無いですしね」
奈美「ハル、何言ってるの?」
ハル「ん、ああ、俺にも分からないけど、何かふとこの言葉が出てきた」
剛彦「まあまあ良いじゃないのぉ。でも千景ちゃん、それならどうやって終わらせるつもりぃ?」
千景「……禁じ手中の禁じ手、『フェードアウト方式』を使おうかと」
一同「「な、何ぃぃぃ!!」」
奈美「??? 何それ?」
ハル「う、打ち切りの漫画とかでも用いられる、その後を匂わせて終わる禁断の手法だ」
紫音「『俺達の戦いはまだまだ続く』に代表される、アレだな」
柚子「ほ、本気なんですか?」
剛彦「幾らなんでもぉ、それは危険すぎるわぁ」
千景「しかし……他に方法はありません」
ハル「早まっちゃ駄目です。きっと何か良いオチがありますよ」
紫音「そうだぞ千景。諦めたらそこで試合終了、と偉い先生が言っていた」
千景「諦めて試合終了にするのも悪くないですね」
剛彦「駄目な方に覚悟を決めちゃってるわぁ……」
柚子「かくなる上は」
一同は、千景に対峙する。
千景「……一体、どういうつもりですか?」
一同「「我ら一同、綺麗な終わり方を希望します」」
千景「ふふ、私のフェードアウト方式と戦おうと言うのですか」
一同「「それが我らの望み」」
千景「……なら是非もない。ここで雌雄を決するとしましょう」
ハル「は、初めて対峙したけど、どう考えても勝てそうにないぞ……」
奈美「凄い威圧感……」
剛彦「気を抜いちゃ駄目よぉ。相手は『死刑宣告者』柊千景なんだからぁ」
柚子「全員で戦えば勝訴は無理でも……」
紫音「どうにか無期懲役位には持ち込める……のか?」
千景「……リミッター解除。完全抹殺モードに移行……」
一同((か、勝てる気がしない……))
千景「移行完了…………抹殺開始!」
剛彦「みんなぁ、行くわよぉ!!」
ハル「ええい、どうにかしてモノマネを……」
奈美「こうなったら、全力で戦うのみ!」
柚子「毒薬散弾銃、かすりさえすれば……」
紫音「叔母を止めるのも姪の役目か。結城家に伝わる最終奥義を今!」
全員「「うぉぉぉぉぉ!!!」」
彼らの戦いはまだまだ続く。
○○先生の次回作にご期待下さい。
千景「ふふふ、では本編のラストもこんな感じで♪」
一同「「絶対に阻止しますっ!!!」」
蒼井「わ、吾輩は…………いらない子?」
会場大混乱につき、座談会は中断させて頂きます。
実に久しぶり、この小説では初めての座談会でした。
ここに登場している彼らは、本編の彼らとは違う存在。
話した事も、座談会をやった事すら、本編の彼らは知りません。
……そう言う事にして置いてください。色々大変なので。
百話まで来れたのも、読んで頂いている皆様のお陰です。
誰一人読んで貰えなければ、恐らくここまで書き続けるモチベーションを保つことは出来なかったと思います。
本当に感謝しております。
今後もちょっとした日常話と、時たま起こる事件をベースに話を進めて行きます。
投稿ペースも、仕事が落ち着いたら元に戻す予定です。
終わりがどうなるかは、まだ分かりませんが、
どうぞこれからもお付き合い頂ければ幸いです。
ご意見・ご指摘・ご感想は大募集です。
少しでも良い文章を書けるよう、皆様からお声を頂ければ有り難いです。
どうぞよろしくお願いします。