1.彼女が忘れられた
キーンコーンカーンコーン。
「ガッ」
それでは出席を取る……
相田、安達……
「雨宮」
「……はい」
(サクラが休みなんて珍しいな。
それにしても……なんでサクラの席がないんだ?)「まーいいか」
ホームルームは終わりだ。
――――――
「圭介、サクラ今日来てないけど何か知ってる?」
「誰だそいつ。初めて聞いたな」
「サクラだよ、サクラ。春野サクラ」
「本当に誰だそいつ。お前大丈夫か?」
(なんでサクラのこと忘れてるんだ……)
「ごめん、変なこと聞いた」
――――――
「先生なら知ってるはずだ……先生に聞いてみるか」
「先生」
「なんだ」
「サクラって何でいないんですか」
「サクラ? 誰だそいつ。この学校にそんな名前の生徒はいないはずだが」
「……ありが、とうござい……ます」
(くらくらする……はあ……)
「雨宮、大丈夫か」
「あ……はい、ありがとうございます」
(本当にサクラはどこにいるんだよ……)
(昨日はあんなに楽しく遊んだ?…のに)
――――――
キーンコーンカーンコーン。
ぶつぶつと悟は小声でしゃべる。
「雨宮、静かにしろ」
(……一旦、学校終わったらサクラの家に行ってみるか)
――――――
「さよなら」
(あいつ、なんであんなに急いで帰ったんだ……)
――――――
トコトコ。
(この辺に家があったはずだ……)
「……ない」
(なんでどこにもサクラの家がないんだ)
「あっ……翔悟くんだ」
「翔悟くーん」
翔悟が振り返る。
「悟さん……どうしたんですか」
「翔悟くんの家って、どこにあったっけ?」
「それが……僕も気になってて。昨日まではあったはずなんですが……」
(朝からサクラのことをみんな忘れてる。それにサクラの家もない……どうなってるんだ)
「お姉ちゃんのこと、覚えてる?」
「はい」
「あ……もしかして悟さんも覚えてるんですか」
「……うん」
「そうなんですか……」
「僕も今日の朝から、何か変だなと思ってたんですよ」
「悟さんが覚えててよかったです」
――――――
「もう暗くなってきたし……」
「いったん今日は僕の家に来な」
「いいんですか? 迷惑になるんじゃ……」
「いいよ。全然。俺一人だし…」…




