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かいしゅうやさんのおしごと  作者: ヒゲ博士


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扉を見る時、扉もこちらを見ている

 隔離地域を囲む「壁」の威容は、夜明け前の闇の中で冷たく沈んでいた。

 かつては人々の安全を守るための希望の境界であったそれは、今や世界の「バグ」を閉じ込めた巨大な檻に他ならない。


 その壁から数キロ離れた廃工場の影で、一台の重装甲車と二台の機動車両がエンジンを唸らせていた。

 先頭車両のハッチから身を乗り出しているのは、隊長の「ツカッチャン」だ。緊急対応につき、壁内部にいた手が空いている部隊である。


「……野郎ども、準備はいいか。ここから先は、保険も法律も通用しねぇ。地獄の観光ツアーだと思え」


 ツカッチャンの野太い声が無線に響く。

 後続の装甲車内には、今回の作戦の核心を担う四人が揃っていた。

 男は、車内の狭い空間で『零式』の人工筋肉のテンションを最終調整していた。

 義手のシリンダーが吐き出す微かな蒸気が、彼の沈着な横顔を白く曇らせる。その瞳には、かつての自分――真田太陽としての記憶が、消えない火のように宿っていた。

 隣には、サフミが膝の上に『対扉破壊爆弾ゲート・バスター』を抱えて座っている。彼女の白衣は既にオイルと埃に汚れ、その瞳はモニターの数列を追うことだけに集中していた。


(敵…ではなかったとわかってはいるが…)


 サヤカは複数のラップトップを展開し、淀川ゲート周辺の空間密度をリアルタイムで解析している。

 その指先は驚くほど安定しており、これから死地へ向かう恐怖など、既に計算の外へ追い出したかのようだった。


「……所長、そんなに睨みつけるなよ。爆弾が怖がっちまうぜ」


 カイトが、新調された『強化型外骨格・弐型』のボルトを締め直しながら、無理に明るい声を出した。


「……カイト、自分の脚を心配してろ。今回は以前のような『逃げ』は通用せんぞ」

「分かってるって。俺だって、あのアホなタコの時みたいにやられっぱなしで終わるつもりはねぇよ」


 無線を受けたツカッチャンは、みんなに聞こえるような大きな合図を下す。

 

「突っ込め!」


 装甲車が咆哮を上げ、瓦礫を蹴散らして隔離地域の「内側」へと突入した。

 だがゲートを越えた瞬間、車内のガイガーカウンターと魔力測定器が、狂ったように叫び始めた。

 様子が気になったカイトは外を見る。だがそれは予想に反した光景が広がっていた。


「嘘だろ…こんなにも変わるのか。」


 淀川沿いの国道は、もはやアスファルトの原形を留めていない。

 地面からは異形の紫色の地衣類が這い出し、廃屋となったビルからは、肉の腐敗臭とオゾンの匂いが混ざり合った不快な風が吹き抜ける。

 横に顔を並べてサフミも驚きを隠せない。


「変異するにしたって、こんな3日4日で変貌するなんて…まるで自然界を上書きね。こういうのなんて、言うっけ…」

「テラフォーミングじゃない?」


 答えたのはサヤカだった。


「環境を地球に寄せる開発…テラフォーミング。分析器のデータは正しかっ____」

「来るぞ!方位10時から2時、熱源多数! 囲まれている!」


 ツカッチャンの部下が叫んだ直後、薄い霧の中から影が現れた。

 変異型狼を筆頭に現れた野生生物の群れ。

 かつては動物園の檻の中にいたのか、あるいはどこからか迷い込んだのか。ウィルスの侵食によって皮膚は半分以上が剥がれ落ち、剥き出しの紅い筋肉が不気味に脈打っている。

 その中でもリーダー格であろう大きな狼は背中からは、神経を物理的な棘として変化させたような、鋭い骨の針が幾本も突き出していた。

 さらに、その周囲を固めるのは、野生化した元・飼い犬たちの成れの果てだ。中型犬のサイズであったはずの体躯は軽自動車ほどに肥大化し、その顎は鋼鉄を噛み切るほどに強化されている。


「グルゥゥ、アァァァァ……ッ!!」


 先頭の狼が、走行中の装甲車に向かって「跳んだ」。跳躍という表現では足りない程のジャンプに、ツカッチャンは叫んだ。


「まじかよくそ!!スーパードッグだってのか!!」

「狼だよ!」

「うるせぇカイト!…あぁヤバ___」


 その跳躍力は異常で、十メートル以上の距離を一瞬で詰め、装甲車の防弾ガラスにその巨大な爪を立てた。


「撃て! 弾を惜しむな!」


 ツカッチャンの命令一閃、車両上部の重機関銃が火を噴いた。

 12.7ミリ弾が轟音を吐き出し、狼の肉体を粉砕する。だが、通常の生物なら即死するはずの損傷を負っても、彼らは止まらない。

 脳を撃ち抜かれない限り、その「バグ」に冒された肉体は死を拒絶していた。


「……くそ、キリがねぇ! 所長、あいつら車の下に潜り込もうとしてるぞ!」


 カイトが窓から外骨格のアームを出し、這い寄る変異犬の頭部を強引に引き剥がす。

「サヤカ、爆弾の同期を維持しろ! 揺れるぞ!」


 男はハッチを蹴り開け、身を乗り出した。 


「目にもの見せてやるぞ化け物どもが!!」


 彼の右腕、『零式』が紫色の放電を開始する。大気中の魔力を吸い込み、義手の放熱フィンが赤く焼ける。


「……失せろ!!」


 男が空中で拳を振るうと、プラズマの衝撃波が扇状に広がり、並走していた狼の群れを一瞬にして炭化させた。

 焦げた肉の匂いが車内に充満する。皆が鼻を摘む中で、サフミだけは思考に集中し、答えを吐き出していく。


「物理攻撃がききづらいのね…。ウィルスで再生能力が向上してるのか…それとも、宿主を無理やり動かしてるのか…」

「なら銃弾は効かないのか?」

「時間稼ぎにはなるわね。手榴弾と零式、この爆弾なんかは効くと思_____うわくさ!!」


 群れを蹴散らすと、路面全体を揺らすような重低音の足音が響いた。

 霧の向こうから、五メートルを超える「影」が立ちふさがる。まるで狼たちの様子をうかがい、好機を掴んだかのように。


「………なんども襲ってきやがって。」 


 ツカッチャンの部下の一人が、引き金にきった指を震わせる。

 そこにいたのは、かつては熊であったはずの何かだった。

 その姿は、生物学的悪夢そのものだ。胴体は通常の熊の二倍程度だが、その「右腕」だけが、胴体よりも巨大に発達している。

 電柱のように太く、長さは三メートルを超え、地面を引きずるほどに肥大化しているのだ。

 左腕は逆に、使い道のない細い枝のように退化している。

 そのアンバランスな怪物は、自身の巨大な右腕を支柱にするようにして、驚異的な速度で突進してきた。


「回避しろッ!!」


 ツカッチャンの叫びも虚しく、装甲車の側面に、その巨大な熊の右腕が叩きつけられた。

 身体を潰すような衝撃で重装甲の車体が、まるで空き缶のように凹み、数メートル横へと弾き飛ばされる。車内のサフミとサヤカが衝撃で床に叩きつけられた。


「サヤカ、爆弾を離すな!」

「……っ、大丈夫、同期は切れてないわ!」


 中での焦燥感を掻き立てるように、熊は咆哮を上げた。その声には、複数の人間の悲鳴が混じっているような、聞くに堪えない不協和音が混じっていた。

 そして熊が再び、その肥大化した右腕を大きく振り上げる。


「……カイト、ツカッチャン。車両を死守しろ。……俺がやる」


 男が、歪んだハッチから外へとダイブした。着地と同時に地面が爆ぜる。

 彼は『零式』の出力を最大公約数まで引き上げた。人工筋肉が千切れんばかりに収縮し、内部のシリンダーが、死の間際の心音のような高周波を上げる。

 だが熊は恐れない。山をも砕かんとする右腕を迷いなく振り下ろす。


「時間がねぇんだ_____」 

 

 男はそれを避けない。

 彼は自身の右腕、真田太陽としての怒りと、失った美咲への叫びを乗せた拳を、真正面から突き出した。


「_____邪魔してんじゃねぇエエエ!!」

 

 振り下ろされた巨腕に拳を合わせる。すると目を潰すようなプラズマによる閃光が辺り一帯をホワイトアウトさせた。

 激突の瞬間、熊の巨大な右腕の骨が、根元から粉砕される音が響く。男の放った衝撃波は熊の肉体を貫通し、背後の廃ビルまでをも崩落させた。

 土煙が晴れた時、絶命した巨獣の死骸と、右腕から煙を吐きながら立ち尽くす一人の男の背中があった。


「……ふぅ。……次だ。扉はすぐそこだぞ」 


 男は自身の震える義手を見つめることなく、再び走り始めた。












 変異熊の巨大な死骸を背後に残し、一行を乗せた装甲車は、淀川浄水場跡の最深部へと滑り込んだ。

 かつて男とカイトが最初の「ダイブ」を行った際、そこは単なる不気味な廃墟に過ぎなかった。

 だが現在の光景は、もはや人間の精神が許容できる限界を超えて変貌していた。


「所長…」

「まぁうすうすは感じていたぜ。」


 空は重く垂れ込め、紫色の雲が意志を持つ生き物のように渦を巻いている。地面からは、光さえも吸い込む漆黒の結晶が、巨大な牙のように幾本も突き出していた。

 大気はオゾンの匂いと肉を焼くような異臭が混ざり合い、一息吸い込むだけで肺の奥が焼けるような錯覚に陥る。

 その中心。かつての沈殿池の残骸を玉座とするように、「それ」は鎮座していた。

 高さ十メートルを超える、古びた、しかし重厚な石の扉。以前は固く閉ざされ、物理的な接触を一切拒んでいたその門が、今は数センチだけ。そう、指三本分ほどの隙間を開けて、「開いて」いた。

 隙間からは、光を反射しない「純粋な虚無」が溢れ出し、それが周囲の霧と混ざり合うことで、粘り気のある濃密な瘴気の奔流となっていた。

 扉の表面に刻まれた幾何学的な紋章は、拍動する心臓のように赤黒い光を放ち、周囲の空間そのものを歪ませている。 


「……扉が開いてる。サヤカ、あれはどういう状態だ」


 男がひしゃげたハッチから身を乗り出し、低い声で問う。


「……最悪よ、所長。空間の連続性が完全に破綻してる。あの隙間から、磁場が湾曲してる。何が出てるか知らないけど、私たちの世界を侵食し始めてるわ。」


 サヤカは後部座席で、膝の上に置いた複数のホログラム端末を狂ったように操作していた。

 彼女の指先は驚くほど安定していたが、額からは大粒の汗が流れ落ち、瞳は限界に近い恐怖を必死に押し殺している。


「……今この瞬間に、サフミさんの爆弾で焼き切らないと、手遅れになる。あの力場がもし、この隔離地域の変容を齎すなら、この場所は私たちの知る『日本』じゃなくなるわ。」


 緊迫した声にツカッチャンは自衛官らしく即座に反応した。


「なら善は急げだな。2人はサフミ女史をエスコートしろ。前衛は俺と大将だ。」

「なっ!!俺はどうすんだよ!!」

「カイト!テメェはディフェンス!車守ってろ!じゃねぇと、こっからの離脱がむずくなるんだよ!」


 いつもと変わらない二人のやり取りが、男の心を和ませる。

 

「……ふん!わかったよ!後で助けてくれって言ったって知らねぇから____」

「カイト、少し黙れ。」


 男の勘がこの違和感だらけの世界で、何かを感じ取る。風も、草も、匂いすら違うこの環境の中で、針すら通らない程の何かを拾い取ったのだ。


「なんだ…何もいないぞ。」


 ツカッチャンが辺りを見回すが確かにいない。だがサヤカは男を信じていた。


「いいえ。こういう時の所長の勘はあたる。本当になにかいるのよ。」



 その時淀川から吹き上げる不気味な風が、一瞬だけ止まった。静かになった世界に違和感が忍び寄る。


「揺れてる…。近いぞ。」


 男の言葉の跡を追うように、霧の向こう側から、巨大な蹄がコンクリートを砕く音が、規則正しく響いてくる。


 現れたのは、半人半馬の怪物だった。 


「ありゃ…_____ケンタウロス、じゃない?」


 カイトの指摘は的を射てる。だがしかし、それは歴史書や絵画に描かれるような、知性的で優雅な存在とは程遠い。

 上半身は、死人のような蒼白い肌の下に、鋼のワイヤーを束ねたような異常な筋肉を鎧った巨漢。

 下半身は、通常の馬の三倍はあろうかという巨躯。そして驚くべきことに、その脚は四本ではなく六本。それぞれの蹄が地面を蹴るたびに、周囲の空間には視覚的なノイズが走り、物理法則が剥がれ落ちる音が響く。

 その手には、自衛隊の主力戦車の装甲板を強引に削り出して作った巨大な**戦斧ハルバード**が握られていた。

 斧の刃渡りだけで二メートルを超え、そこからは常に黒い電光が火花となって散っている。


「何なんだよここは…」


 誰かが言い放った言葉に反応するように、ケンタウロスの目は装甲車を捉える。


「アイツこっち見てる………やばいぞ全員、車から出ろッ!!」


 ツカッチャンの絶叫が無線に響いた瞬間、ケンタウロスが地を蹴った。速い。五メートルを超える巨躯が、慣性の法則を無視した加速で突進してくる。

 その動きは生物というより、空間をスライドする映像のバグのようだった。

 

 ケンタウロスが戦斧を一閃させた。ツカッチャンたちの乗っていた先頭車両の装甲車が、まるでもろい豆腐のように容易く両断される。

 爆発炎上する車体から、傭兵たちが決死のダイブで逃れたが、そのうちの一人は回避が間に合わず、衝撃波だけで五体満足とは言い難い惨状で吹き飛ばされた。


「くっそ……化物め! 総員射撃! 奴を扉から引き剥がせ! 弾丸の雨で足を止めろ!」


 生き残った六名が一斉に射撃を開始する。12.7ミリの対物ライフル、40ミリグレネードランチャー。現代兵器の粋を集めた火力がケンタウロスに集中した。

 だが、ケンタウロスの周囲数メートルには、扉から漏れ出す濃密な瘴気が、目に見えるほどの歪みとなって展開されていた。

 弾丸は直撃する寸前にエネルギーを奪われて力なく落下し、グレネードの炎は奴の蒼白い肌をなぞるだけで、煤一つつけることができない。


「どんな理屈か知らないけど、私たちの攻撃という『原因』が、奴に届くという『結果』を消してる!」


 サフミが叫び、『ゲート・バスター』の最終安全装置を解除した。


「そんな魔法みたいなことあんのかよ!!!」

「魔法_____もしかして…」


 ライフルを撃ち続ける自衛官、何かに気づくサヤカ。

 混沌とする状況下で、サフミの指は震えていたが、その瞳には科学者としての狂気にも似た決意が宿っている。


「……原因と結果が繋がらないなら、その理屈ごと、ぶん殴ればいいんだな」


 まるで救いをもたらすように、男が前に出た。

 『零式』の放熱フィンが最大出力で展開され、人工筋肉が摩擦熱で真っ赤に発光する。男は腰を深く落とし、突進してくる神話の怪物を見据えた。


「よくわかんねぇ言葉ばっかじゃねぇか。煩わしいんだよ!!!」

「所長!!攻撃は効かないかもしれないわ!逃げて!」

「俺の腕には裕二がいんだよ!!必ず届く!サヤカは離れてやがれ!」


 彼の脳裏には、先ほど思い出したばかりの恋人、美咲の笑顔がよぎった。


(あの日の雪山と同じだ。「大切なもの」を奪おうとする巨大な力と対峙している。退けてやる。)


 ケンタウロスが再び戦斧を振り上げる。重力そのものを圧縮して乗せたような一撃が、男の頭上から降り注ぐ。

 男はそれを避けない。右腕のシリンダーを爆発的に収縮させ、全電力をプラズマへと変換。真正面から斧の刃を右拳で受け止めた。


「ウッソ…ほんとに止めた。」


 サヤカの言葉を彩るように、火花が夜の闇を白く、残酷なまでに照らす。

 衝撃波で周囲のコンクリートが円状に陷没し、男の足首までが地面に埋まった。義手の人工神経を通じて、脳に凄まじいフィードバックが走り、キャッツアイの視界に真っ赤な警告ログが流れる。


「……ガ、アァァァァァッ!!」

 

 骨が軋み、痛みが足を揺すり、義手のフレームが過負荷で悲鳴を上げる。だが、男は止まらない。空いた左手で斧の柄を掴み、ケンタウロスの懐へと潜り込んだ。


「カイト! サフミを連れて行け! 今だッ!!」

「おうよッ! 俺が途中でくたばったら化けて出てやるからな!!」 


 カイトが強化外骨格のブースターを全開にし、サフミを小脇に抱えて扉の基部へと跳んだ。  


「待って待ってもっとゆっくりぃいいい!」


 ツカッチャンと生き残った傭兵たちが、死に物狂いで援護射撃を行い、自身の体を盾にしてケンタウロスの注意を僅かでも逸らそうとする。

 ケンタウロスは瞳を天に向け、咆哮を上げた。

 その声は空間そのものを物理的に振動させ、サヤカが持つ精密機器のモニターを次々と粉砕していく。 


 「……っ、まだよ、まだ切れてない! 行ける!私なら所長みたいにできる!持ちこたえて!」


 サヤカは割れたガラスの破片が頬に刺さるのも構わず、キーボードを叩き続ける。

 ケンタウロスの六本の脚が、男の腹部を蹴り上げた。


「ガハッ……!」


 男は血を吐きながら後方へ吹き飛ばされ、沈殿池の壁に激突した。だが、男は意識が飛びかけるのを、舌を噛む痛みで繋ぎ止め、再び地面を蹴る。


「……裕二。……もう一度だけ、俺に右腕を貸してくれ。……こいつは、お前の未来を奪う敵だ。」


 男は『零式』の緊急モードを起動。義手から漏れ出すプラズマが、青白い炎となって男の全身を包み込む。

 それは肉体と魂を削り取って純粋な破壊エネルギーに変換する、禁忌の出力だった。


(今までの痛みとは全く違うな。いい気付けになる。)


 男がケンタウロスと肉弾戦を繰り広げ、その巨躯を必死に繋ぎ止めている背後で、サフミはついに扉の基部へと到達していた。


「設置完了! サヤカ、最終同期開始!」

「……同期率、92……95……98……100%! 扉の深部、虚数領域の周波数と完全に一致……行けるわ、サフミさん! 今よ!!」


 サヤカが端末の「ENTER」を渾身の力で叩く。

 それと同時に、設置された爆弾の表面に刻まれた幾何学模様が、この世の光とは思えない、まばゆい白光を放ち始めた。あらゆる物質を「無」へと還元する、純粋な論理の光だった。


「このバグだらけの世界に、さよならを告げなさい。そして、私たちが捨てた本当の物理法則を、もう一度ここへ!」


 サフミが起爆スイッチを押し下げた。だが音は、なかった。

 

「……嘘。」


 次の瞬間、扉を中心に世界が「反転」した。

 爆発は熱や破壊音ではなく、純粋な「消去」として現れた。

 扉を構成する巨大な石の粒子が、原子レベル、いや、それ以下の情報単位で分解され、虚空へと吸い込まれていく。

 凄まじい衝撃波が吹き荒れ、男も、ケンタウロスも、カイトも、全員が爆心地から放射状に吹き飛ばされた。

 空気が真空になり、一瞬だけ全ての音が消え去る。 


「……やった……のか?」


 ツカッチャンが、瓦礫の中から顔を上げ、扉があったはずの場所を、土煙の向こうに見つめる。扉が消失し、元の浄水場跡の風景が戻っている_____はずだった。


「……嘘、でしょ? ……そんな、あり得ないわ」 


 サフミの声が、絶望に震えていた。


 立ち込める煙の向こう側。破壊されたはずの扉は、以前よりも大きく、さらに不気味な暗黒の輝きを放って、毅然とそこに立っていた。

 

 爆弾という巨大な斥力と情報の塊を叩きつけられたことで、扉はそのエネルギーを「破壊」として受け取らず、自分自身を強化・拡張するための「糧」として吸収してしまったのだ。

 それを理解したのかサヤカは絶望の結果を言語化する。


「本当に…魔法だったのよ。この瘴気は言うなれば魔素、空気を喰って力に還る何かだったのよ。」



 地底から響くような、巨大な鳴動。


 扉が、ゆっくりと、さらに開き始める。

 

 

 以前の数センチではない。今はもう、一メートル近い「口」が、この世界に向かって大きく開かれようとしていた。

 その隙間から、何千、何万という数の「眼」が、こちらの世界を……私たちの住む日本を、嘲笑うように覗き込んでいた。


「……破壊、できなかった……。逆に、扉を『覚醒』させてしまった……!」


 サフミの絶叫が、淀川の夜に虚しく響き渡った。


「……あ、ああ……そんな……」


 サヤカの、震える声が聞こえた。

 男が目を上げると、そこには目を疑う光景が広がっていた。

 全ての絶望は前座だったのか。数センチしか開いていなかった扉が、重々しい音を立てて、さらに大きく開き始めた。

 指三本分の隙間が、十センチ、三十センチ、そして一メートルへと広がっていく。

 

「破壊できなかったんじゃない……扉が、爆弾を食べて『成長』したのよ……!」


 サフミが、持っていたコントローラーを地面に落とした。彼女の瞳には、自分の産み出した技術が最悪の形で裏切られたことへの絶望が、深い影となって落ちていた。

 扉が大きく開かれたことで、そこから漏れ出す瘴気の密度は指数関数的に増大した。

 その恩恵を最も受けたのは、守護者であるケンタウロスだった。


「――ガ、アァァァァァァァァァァッ!!」


 それまで男と互角の戦いを繰り広げていた怪物が、突如としてその身を倍近くに膨張させた。

 蒼白い肌はひび割れ、その裂け目から異世界の赤黒いマグマのような光が溢れ出す。手にした戦斧は魔力を吸って巨大な黒い大鎌へと変貌し、一振りするだけで周囲の空間を物理的に「削り取って」いく。


「どけッ!!」


 ツカッチャンが叫び、生き残った傭兵たちと一斉射撃を行うが、もはや弾丸は奴の皮膚に触れることさえできない。

 ケンタウロスの周囲の空気は液体のように凝縮され、あらゆる物理干渉を無効化する絶対領域と化していた。

 ケンタウロスが鎌を横に一閃させた。

 その不可視の斬撃は、避ける間もなく傭兵二人の胴体を真っ二つに断ち切り、さらに背後にあった装甲車の残骸を、紙のように易々と切り裂いた。


「くそっ、化け物が! こっちを向きやがれ!!」

 

 その時、沈黙を破ったのはカイトだった。

 彼は『強化型外骨格・弐型』の全ブースターを、リミッター解除して点火した。背中から噴き出す青い炎が、夜の闇を切り裂く。


「カイト! 何をする気だ!!」


 男の制止も聞かず、カイトは弾丸のような速度でケンタウロスの顔面へと突っ込んだ。


「所長! 俺が隙を作るから、あんたがブチ抜いてくれ!!」


 カイトは外骨格のアームを最大出力で振り回し、ケンタウロスの巨大な頭部を強引に蹴りつけた。


「グッ_____がぁぁあああ!」

 

 金属の骨が砕け散る。悲鳴とともに地面へと崩れ落ちていくが、カイトは止まらない。彼は自分の足が折れるのも構わず、ケンタウロスの首筋にしがみつき、至近距離から外骨格の全電力を放電させた。


「――今だ、所長ォォォッ!!」


 カイトが作った、コンマ数秒の空白。

 ケンタウロスが苦悶に歪み、その絶対的な防御障壁が、空間の歪みが一瞬だけ霧散した。


 男は、その瞬間を逃さなかった。


 彼は地面を蹴り、弾丸となって肉薄した。

 右腕の『零式』。そのシリンダーの中に溜め込まれた全てが一つの点へと収束させる。


「……裕二、力を貸せ。」


 男は、かつて雪山で彼女の手を離してしまったあの右手を、今度は一切の迷いなく、怪物の胸部を、勝利を掴み取る。


「いけ所長おおおおお!」

「失せやがれぇええええ!」


 義手から放たれた紫色のプラズマが、ケンタウロスの分厚い胸筋を焼き切り、その奥にある結晶化した「心臓」を粉々に粉砕した。

 衝撃波が浄水場跡を駆け抜け、扉の周囲にいた霧が一時的に消失する。

 ケンタウロスは、瞳を扉の方へと向け、音のない叫びを上げながら、砂のように崩れ落ちていった。

 地面に降り立つ2人は顔を見合わせて、生き延びた事を自覚した。


「勝ったなカイト…。」 

「ラーメン1年分な。」

「給料から差し引いておいてやる。」

「待って所長。」

 

 ケンタウロスを倒した今、状況は変わるどころか悪化していた。

 番人を失った扉は、枷を外されたかのように、さらにその「口」を広げ始めたのだ。


「……あ、ああ……扉が……止まらない……」


 サヤカが、泣きそうな声で呟いた。

 守護者を失い、爆弾を喰らった扉は、もはや誰にも止められない開放のフェーズへと突入していた。


 カイトが、ボロボロになった強化外骨格を引きずりながら、男の傍らに膝をついた。彼の右腕のアームはひしゃげ、火花を散らしている。

 だが、彼の視線は、倒した怪物ではなく、その背後で蠢く「扉」に釘付けになっていた。

 守護者という名の重石を失った扉から漏れ出る暗黒の奔流は、地面に触れた瞬間にコンクリートを異形の紫色の結晶へと変え、周囲の廃ビルを飴細工のように歪ませていく。


「……守護者は扉を『守っていた』んじゃない、内側からの圧力を『吸い取っていた』のよ!」


 サフミが、瓦礫を掻き分けて叫んだ。彼女の顔には、科学者としての驚愕と、一人の人間としての底知れぬ絶望が混ざり合っていた。


「爆弾のエネルギーを吸収して、扉の出力は臨界点を超えたわ。このままじゃ、あと数分でここを中心に半径数キロが……いいえ、大阪全域が異世界の理に飲み込まれる!」


 扉の隙間からは、もはや視覚化された「ノイズ」が溢れ出していた。

 それは、この世界に存在してはならない色、聴いてはならない音、そして触れてはならない概念の塊だった。


「やっぱり上手くいかねぇ。なぁ裕二。」


 男は、激しく過熱する右腕『零式』をじっと見つめた。

 義手の人工筋肉は千切れかけ、排熱孔からは白い蒸気と共に、男の神経を焼くような異臭が漂っている。

 視界の端で、サヤカが必死に端末を操作し、脱出経路を計算していた。ツカッチャンは生き残った部下を抱え、後退の準備を始めている。


「……全員、行け」


 男の低い声が響いた。


「いやいやまって 所長、何言ってんだよ。早くずらからねぇと、あんな得体の知れねぇもんの中に取り込まれちまうぞ!」


 カイトが男の肩を掴もうとしたが、その手は男が発する凄まじい熱気によって弾かれた。


「サフミ。……お前の理論が正しければ、零式によって僅かでも干渉できるはずだ」

「……ええ、理屈ではそうよ。プラズマならおそらくはだけど……待ってその身で直接受け止めるっていうこと!?死ぬなんて生易しいものじゃない!」


 男は、サフミの警告を無視し、ゆっくりと扉へと歩を進めた。

 一歩踏み出すごとに、周囲の重力が増していく。肺が潰されそうになり、血管が浮き出す。だが、男の足取りに迷いはなかった。

 彼の脳裏には、先ほど見た美咲の笑顔があった。

 あの雪山で、彼女の手を離してしまった自分。

 名前を捨て、記号として生きてきた十年間の空白が、今、激しい炎となって彼の胸を焦がしていた。


「……俺はもう、二度と手を離さない」


 男は、かつて雪の中で伸ばし、そして失った右腕を、今は冷たい鉄に変わったその腕を、大きく広げた。 


「所長!! 止めろ、死ぬ気かよ!!」


 カイトが叫び、無理やり体を動かそうとした。だが、男は振り返らずに告げた。


「カイト。俺達の仕事は回収屋だ。サヤカを、サフミを回収しろ。……これは、俺にしかできない罪の『回収』だ」


 男は扉の縁に、自身の右腕を叩きつけた。

 

 金属と石が激突し、火花が散る。


 男はさらに左腕も使い、扉の隙間に指を掛けた。

 

 「ぐ、あ、あああああああッ!!」


 扉から溢れ出す無尽蔵のエネルギーが、男の体を直撃した。

 その時、彼の網膜には何億年分もの虚無の記憶が流れ込み、脳細胞が一秒ごとに数万個単位で死滅していく。皮膚は焼け爛れ、義手の内部機構は過負荷で爆ぜた。

 だが、男は離さなかった。

 

 彼の意志。

 「ここから先は通さない」という、ただ一点の強固な意志が、暴走する扉の拡張を、物理的に食い止めていた。


「行け……早くッ!!」


 男の叫びは、もはや人間の声ではなく、機械と魂が混ざり合った咆哮だった。

 サヤカは涙を堪え、サフミの腕を引いた。ツカッチャンもカイトの襟首を掴み、強引に車両へと引きずる。


「……すまねぇ、所長。……ほんとに。」


 カイトの叫びが遠ざかっていく。


 そして男は、一人になった。

 背後で仲間の気配が消えたことを確認し、彼は僅かに口角を上げた。

 

 目の前には、開ききろうとする異世界の門。

 体中を駆け巡る激痛の向こう側で、彼は不思議なほど穏やかな気持ちに包まれていた。

 

(……ようやく、約束を守れそうだ。……美咲。)


 だが現実は甘くない。扉から溢れ出す存在の根源を書き換える「虚無」のエネルギーが男の魂と肉体を焼き焦がす。


「――グ、ガ、アァァァァァァァァァァッ!!」


 意識とは無関係に男の喉から悲鳴が漏れる。肉体の限界が近いというアラートに他ならない。

 右腕の『零式』は、過負荷によって既に排熱の限界を超えている。人工筋肉は炭化して剥がれ落ち、剥き出しになったチタン合金の骨格が、扉の石の縁に深く食い込んで激しい火花を散らしている。

 義手の人工神経は、男の脳に「死」そのものをダイレクトに伝えていた。一秒ごとに数万個の脳細胞が焼き切れ、視界は真っ赤な警告ログと、異世界の不気味な極彩色に染まっていく。

 たが、男は諦めない。


(……まだだ。まだ離さん……!)


 男は、崩壊し続ける意識の底で、一点の「青」を必死に守り抜いていた。


 北アルプスの雪山。澄み渡る空。そして、美咲の笑顔。

 それは呪いではなく、十数年もの間、絶望の暗闇を歩き続けてきた彼にとっての唯一の「光」だった。


「俺は……もう二度と、大切なものの手を……離しはしない……!!」


 男は、扉の隙間に自身の義手を、そして生身の左腕を楔として突き立てた。

 扉の向こう側から押し寄せる膨大な質量に対し、彼は自身の「存在そのもの」を重石としてぶつけた。

 男の足元のコンクリートは粉々に粉砕され、膝の関節が嫌な音を立てて逆方向に折れる。それでも、男は一歩も引かなかった。


 彼が稼いでいるのは、時間だ。


 サフミの英知を、サヤカの希望を、そしてカイトの未来を。彼らをこの「理の津波」が及ばない安全圏まで逃がすための布石だったのだ。


「ぐっ…がは!!!」


 だが精神よりも先に、限界を迎えたのは肉体。体の機能を繋ぐどこかの内臓が千切れ、口から血を吐いた。

 ゆっくりと折れていく足。膝は地面に近くなっていく。男はもう限界だった。


(あぁ…俺はもう…)


 遠のく意識の中で、男は声が聞こえた。小さな男の子の声。


___れ!


 遠すぎて聞こえなくてよく耳を立てる。


が__れ!


 一つの声が重なる。1人、2人、最後には聞き分けられないほど増えていく。





 

 きっとタイトは強くなる。あの笑顔のまま大きくなって、子供と見分けがつかなくなるだろう。

 サヤカは綺麗なままだろうな。男に困って泣かないか心配だ。

 親父さん。最期まで迷惑かける。2人を頼むよ。


 何だ。



 誰が俺を呼んでる。誰が。



『____ょ長!!』



 意識が完全に虚無に飲み込まれようとしたその時、ノイズだらけの聴覚に、微かな通信が入り込んだ。


『所長、聞こえる!? こちらサヤカ! 第一次防壁外への脱出に成功したわ!! ……もういいの! これ以上は無理よ、戻ってきて!!』


 サヤカの声だ。泣き叫ぶような、悲痛な叫び。

 男は、血に染まった唇を僅かに歪ませた。意識の混濁の中で、彼は初めて、自分が「3908」という記号ではなく、一人の人間として彼らと繋がっていたことを実感した。


(……ああ。……それでいい、カイト、サヤカ。お前たちが生きていれば……回収屋は廃業にならなくて済む……)


 男は、自分の中に残った全回路、全生命エネルギーを、最後の一滴まで燃焼させることを決意した。

 右腕『零式』のセーフティーを精神力で引きちぎり、すると心臓の鼓動が、ぶれ始めた。


「――行けッ!!」


 男は身体から抜け出る力を弾丸に変え、扉の内側へと逆流させた。


 瞬間、扉の奥で巨大な「拒絶」が起きた。


 凄まじい反動エネルギーが男の肉体を襲う。彼の体はまるで紙屑のように後方へと弾き飛ばされ、浄水場跡の瓦礫の中に叩きつけられた。


(は、はは。魔法って_____あるんだな…)


 空中で、男の視界はゆっくりと回転した。時間を追う事に寒気に襲われ、身体が固くなっていくのを感じた。


(立てねぇ…なんなら喋ることもできねぇよ。)


 見上げた夜空には、紫色の稲妻が走り、淀川、北野、廃棄物処理場、府庁舎――四つの地点から、天を貫く漆黒の光柱が立ち昇るのが見えた。


 美咲が愛した日本の空が、異形のオーロラに塗り替えられていく。


(……悪いな、美咲。……空だけは……守れなかった。)


 男の背中が冷たい地面に激突した。

 全身の骨は砕け、視力は既に失われていた。ただ、扉が完全に「開放」される、世界の終わりの音だけが聞こえていた。


(あばよ。みんな。あとは頼む。)





 それは、地球が始まって以来、積み上げられてきた物理学という名の城壁が、一瞬にして崩れ去る音だった。

 男が命を賭して抑え込んでいた門が、ついに完全に開ききった。

 

 だが、男の表情は穏やかだった。

 最期の瞬間、彼は暗闇の中に、誰かの温かい手を感じていた。

 それは、あの日離してしまった、美咲の手のぬくもり。

 

(……ようやく……隣に、行ける……)

 

 真田太陽という名の太陽は、澱んだ霧の向こう側へと、静かに没していった。















 2026年、1月19日、午前6時00分。


 歴史に「大崩壊ザ・フォール」として刻まれる瞬間が訪れた。


 淀川の扉から溢れ出した瘴気の津波は、一気に大阪全域を飲み込んだ。

 それは単なる破壊ではない。世界を構成する「法則」そのもののアップロードだった。

 コンクリートのジャングルは、意志を持つ石畳の迷宮へと蠢きながら変貌し、そびえ立つタワーマンションは、重力を無視して浮遊する漆黒の尖塔へと再構築された。


 ここではインターネットは届かない。電気も完全に消えて、正体不明のエネルギーに取って代わられている。

 瘴気に触れ、体の形を変えた【突然変異】。そして扉から次々に現れる【不明生物】。害を成す恐るべき奴らを、人は「魔物」と呼んだ。




  






 一瞬にして異界化した大阪を見渡すカイトは、疲弊の色を見せながら言葉を紡いだ。


「……これが、あいつらの作った、新しい世界……」


 防壁の外。かろうじて逃げ延びたカイト、サヤカ、サフミの三人は、崩壊したゲートの残骸の上で立ち尽くしていた。

 目の前には、かつての大阪の面影を留めつつも、全く異質な「ダンジョン」へと変貌した、未知の領域が広がっている。

 カイトは、ひしゃげた外骨格のアームを握りしめ、言葉もなくその光景を睨みつけていた。

 サヤカは地面に膝をつき、男が最期に放ったプラズマの残光が消えゆく淀川の空を見つめ、声を殺して泣いていた。





 

 その時、変貌した街の最上階であり、塔と化した府庁舎の頂上に、一人の影が立った。

 黒いローブを纏った男。


 彼は、かつての科学技術を嘲笑うかのように、指先から小さな火花を散らした。


「計画は進む。到底追いつけない速さで、世界は変わっていくのだ。」


 黒ローブの男が腕を広げると、大阪中のダンジョンから、何万という魔物たちの歓喜の咆哮が沸き起こった。



 

 平和な日常は、この日をもって永遠に終わりを告げた。

 だが、それは同時に、新たな物語の始まりでもあった。

 


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