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加護値0と断罪された俺、実は神の評価外でした 〜追放された王国が崩壊するまで〜  作者: 黒羽レイ


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第40話 裁定を求める者たち

今回は、数が違った。


第三の集落から、

十数人。


誰も武装していない。

怒号もない。


だが、

目的だけは一つだった。


「……話を、

してください」


先頭に立つ男が言う。


声は落ち着いている。

だが、その奥に焦りがある。


焚き火の周りに、

自然と人が集まる。


俺は、

立たない。


座ったまま、

相手を見る。


「何を?」


男は一瞬、

言葉を探した。


「……決めてほしい」


それだけ言った。


別の者が続ける。


「誰が、

間違えたのか」


「どうすれば、

よかったのか」


「これから、

どうすべきなのか」


一つ一つは、

もっともだ。


だが、

まとめると――

裁定だ。


俺は、

しばらく黙っていた。


期待が、

集まる。


その重さを、

はっきりと感じる。


やがて、

口を開いた。


「……裁定は、

しない」


即答ではない。

だが、明確だ。


ざわりと、

空気が揺れる。


「それは、

聞きました」


先頭の男が言う。


「だから、

今回は集団で来た」


「一人に背負わせない」


その言葉に、

小さな皮肉を感じる。


「……皆で決めれば、

問題ないと?」


男は、

一瞬だけ目を逸らす。


「……少なくとも、

誰か一人のせいには

ならない」


俺は、

ゆっくりと首を振った。


「それは、

誰の選択でもない

ということだ」


沈黙。


誰も、

すぐには否定できない。


「……なら」


別の女が、

声を上げる。


「あなたが、

枠を示せばいい」


「正解じゃなくていい」


「判断の基準を」


それは、

一歩進んだ要求だった。


俺は、

彼女を見る。


「……基準を示した瞬間」


言葉を選びながら、

続ける。


「それは、

従う理由になる」


「従えば、

失敗しても

自分の責任じゃなくなる」


「それが、

今起きていることだ」


視線が、

交錯する。


誰かが、

小さく舌打ちをした。


「……じゃあ、

どうしろっていうんだ」


感情が、

少しだけ前に出る。


俺は、

その声を遮らずに聞いた。


そして、

静かに問いを返す。


「……この中で」


焚き火の音が、

一瞬だけ大きくなる。


「今回の選択を、

自分の判断だったと

言える人はいるか」


沈黙。


誰も、

名乗らない。


視線が、

足元に落ちる。


「……一人でいい」


「責任を取れ、

という意味じゃない」


「ただ、

“自分で選んだ”と

言える人だ」


それでも、

誰も動かない。


沈黙が、

答えだった。


俺は、

ゆっくりと息を吐く。


「……それが、

現実だ」


誰かが、

声を震わせる。


「……じゃあ、

俺たちは

間違ってたんですか」


俺は、

首を横に振る。


「分からない」


「正解か、

失敗か」


「それを決めるのも、

裁定だ」


立ち上がる。


初めて、

全員を見渡す。


「ここでは、

裁定は成立しない」


「理由は一つだ」


一拍、置く。


「引き受ける人が、

いないからだ」


誰も、

反論しなかった。


できなかった。


俺は、

それ以上何も言わず、

焚き火から離れた。


背中に、

声は飛ばない。


引き止めも、

怒号もない。


ただ、

重い沈黙だけが残る。


その夜。


第三の集落では、

話し合いが行われた。


だが、

結論は出なかった。


誰も、

名乗らなかったからだ。


空白地の夜は、

変わらず静かだった。


ユグが、

小さく言う。


「……何も、

解決してませんよね」


「した」


俺は、

即答する。


「解決できないことが、

はっきりした」


それで十分だ。


無理に決めれば、

必ず歪む。


決められないなら、

立ち止まるしかない。


それは、

逃げではない。


選択だ。


俺は、

焚き火を整えながら、

そう思った。


次に起きるのは、

爆発ではない。


静かな離反だ。


そしてそれは、

誰にも止められない。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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