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加護値0と断罪された俺、実は神の評価外でした 〜追放された王国が崩壊するまで〜  作者: 黒羽レイ


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第27話 最後の誘い

その夜、夢は見なかった。


だが、

目を閉じた瞬間から――

ここではない場所に立っていると分かった。


地面はなく、

空もない。


上下の感覚が曖昧で、

色だけが薄く流れている。


「……やはり、

ここまで来たか」


声がした。


背後でも、前でもない。

空間そのものから、

直接響いてくる声。


振り向く必要はなかった。


「神か」


そう言うと、

空間がわずかに歪んだ。


否定でも、肯定でもない。


「便宜上、

そう呼ばれている存在だ」


姿はない。

形もない。


ただ、

圧倒的な“管理感”だけがある。


「王国が、

限界を迎えている」


神は、

事務的に告げた。


「加護値による管理は、

破綻し始めた」


「お前の存在が、

誤差を増幅させている」


「……俺が、

原因だと?」


「正確には、

お前が“原因にならない存在”であることが

原因だ」


矛盾した言葉。


だが、

理解できた。


「お前は、

管理外だ」


「測定できず、

修正できず、

隔離もできない」


「それでも、

世界に影響を与える」


「……それで?」


俺は、

静かに問う。


神は、

少し間を置いて答えた。


「選択肢を与える」


空間が、

二つに分かれる。


一方は、

秩序だった光。


もう一方は、

曖昧で、揺らぐ色。


「一つ目」


「管理者になる」


「加護値制度を、

より柔軟に調整する」


「例外を組み込み、

世界を安定させる」


王国も、

教会も、

救われる。


英雄的な役割だ。


「二つ目」


「神になる」


「管理そのものを、

引き継ぐ」


「秩序を、

完全に再設計できる」


それは、

世界の頂点。


多くの物語なら、

ここで受け入れる。


だが。


「どちらも、

選ばない」


俺は、

即答した。


空間が、

わずかに揺れた。


「……理由は」


「簡単だ」


俺は、

足元もない場所に立ったまま言う。


「それは、

選ばせない立場だからだ」


「管理者は、

人を枠に戻す」


「神は、

枠そのものを決める」


「どちらも、

“上から”だ」


沈黙。


神は、

初めて感情らしきものを滲ませた。


「……では、

世界は壊れる」


「管理がなければ、

秩序は保てない」


「数字がなければ、

争いが起きる」


俺は、

小さく笑った。


「もう起きてる」


「数字があった世界で、

一番多く争ってた」


「……なら、

どうする」


神の声が、

低くなる。


俺は、

迷わなかった。


「選べるままにしておけ」


「世界を、

未完成のままにする」


「枠も、

答えも、

一つに決めるな」


「人が、

間違える余地を残せ」


長い沈黙。


時間の感覚が、

消える。


やがて、

神は言った。


「……それは、

最も不安定な選択だ」


「だが」


一拍、置く。


「お前らしい」


空間が、

ゆっくりと収束する。


「条件がある」


神は、

最後に告げた。


「お前は、

象徴にならない」


「名を残すな」


「教義を作るな」


「従わせるな」


「……望むところだ」


俺は、

即答した。


「通りすがりで、

十分だ」


空間が、

白く溶けていく。


「これで、

干渉は終わりだ」


「世界は、

自分で揺れろ」


最後に、

神は一言だけ残した。


「……無価値とは、

便利な言葉だった」


「管理する側にとって、

な」


目を開けると、

焚き火の前だった。


夜明け前。


誰も、

異変に気づいていない。


世界は、

何も変わっていない。


だが。


もう、

戻る管理者はいない。


俺は、

静かに立ち上がった。


「……終わったな」


それだけ呟く。


次に来るのは、

世界がどうなったかの

結果だ。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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