鏡に映る虹
高校の卒業式に「頼りがいがない」と振られた主人公。そんな主人公が自信をつけるために大学生活でいろんなことに挑戦していく。今回は僕の気持ちが変化するある人物との出会いを紹介します。
お楽しみに。
(はあー)
今日のように雨が降ると、ついため息が出てしまう。あれから二週間、僕は翔のことを避け続けている。
その間に悲しさや孤独感を埋めるべく、家庭教師のバイトを始めた。今から中学三年生の涼平君のお家に3回目の訪問をする。
「涼平君、こんにちは!三日ぶりだね。」僕は涼平君に、心の暗さを見せないように明るい表情で挨拶をする。
「先生、こんにちは。」涼平君も僕に挨拶を返す。涼平君は、とても真面目な子で部活や学校生活も忙しいのにいつもちゃんと宿題をやって来てくれる。
「涼平君、まずは宿題の確認するね。」僕はテキストを確認する。すると、珍しく前回指定した宿題のところが日本の少子化問題のように手付かずの状態になっているのを見つける。
「学校とか忙しかったのかな? 来週までにやって来てくれれば大丈夫だから。」僕は、あまり気負わせないように優しく声をかける。
「……すみません。」涼平君はなぜか学校という単語に一瞬悲しそうな表情を見せた後、小声で謝った。
その後、僕は気を取り直して涼平君に丁寧に数学を教えた。しかし、涼平君は授業中どこか上の空で、机の下で拳を強く握りしめているようだった。涼平君を少し心配に思いながらも授業を初めて1時間が経ったので、休憩を始めた。
「すみません。もう勉強やりたくないです。」涼平君は突然辛そうな表情で呟いた。
「涼平君、どうしたの? なんか嫌なことでもあった?」僕は涼平君に目線を合わせて、涼平君の話を聞く。どうやら、涼平君は一生懸命に努力したテストの結果が良くなく、それを学校の友達にいじられたことがとても悲しかったみたいだ。
「先生、僕の勉強って無駄だったんですか?」涼平君は、涙ながらに吐き捨てる。
「無駄じゃないよ。」僕は優しく涼平君の背中をさすりながら言う。
「先生もねそう思ったことはあるよ。高校の時、ある女の子を好きになって、その子と同じ大学に行きたくて、勉強したんだけど、結局同じ大学には行けなかった。そしてその子に告白したけど、ダメだった」僕は、少し昔を懐かしみ微笑みながら言った。
「ほら、先生の努力も無駄になってるじゃん」涼平君は、子供らしく怒った顔で言う。
「確かに、その時は報われなくて辛かったけど、今は勉強を頑張った僕に感謝してる。だって、そのおかげで家庭教師になれて、涼平君に会うこともできたから。」
「だから挑戦や努力が無駄になることはないんだよ。その経験が涼平君の未来を作るんだ。」
本心から涼平君を励ました。そしてあの時、翔が僕に伝えたかった事を思い出した。
(今度会ったら、翔に謝らないと)
涼平君が泣き止むのを待ちながら、翔との仲直りのことを考えていた。
「先生、虹が見えます。」だんだん落ち着きを取り戻した涼平君が窓から見える外の景色を見て、僕に言った。
「そうだね。」僕は涼平君の晴れ晴れとした表情を見つめて答えた。
まず、ここまで読んでいただきありがとうございます。
この回は、この小説を書くにあたって最初に考えたエピソードで、とても思い入れがあります。
タイトルの意味を考えてもらえると嬉しいです。
次回もお楽しみに!




