9.終わらないのは指差確認
まずいまずいまずい
脳みそが警鐘を鳴らしている
予定の時間に間に合わない
ダラダラと流れてくる冷や汗
それなのに止まらないのは 指差確認
しまいには口からもOK OK 言葉を放つ
一人の空間 誰もいないのに 声に出す
わかっているのに止められない
馬鹿げていると思われても止められない
電気は消したか
コンロの火は消えているか
エアコンは消したか
窓は閉まっているか
換気扇は止まっているか
水は流れていないか
もう何度確認しただろう
こうなることは分かっていたから
予定の時間よりも早く行動に移ったはずだった
それなのに刻刻と迫る時間
まずいまずいまずい
アラートが鳴る
赤いランプが回る
意を決して(これが最後!)と心で叫ぶ
ついつい口からも同じことが漏れていた
電気は消した カーテンを閉めているから暗い
コンロは消した 昨夜から使っていないから大丈夫
エアコンは1時間前から切った 部屋の中は暑い
窓は閉まっている 虫が入って欲しくないから開けていない
換気扇は止まっている 音がしない
水は流れていないか 耳をすましても聞こえない
よし 行こう!
扉を閉めて鍵をかける
ガチャリとドアノブを回しても扉は開かない
完璧だ!と鼻を鳴らした
予定の時間に間に合うぞ!
そう思ったはずなのに
それから数歩
ぴたりと止まる足
鍵、本当に閉めたっけ
部屋を出る時の私。本当は何回も確認しない方がいいんだろうけど止まらないんだよね。