81.桜を辿る
なんとも心地の良い気温
まだ朝方ということもあって
日差しも幾分穏やかだ
散歩にでも出かけるかと
スマホと鍵だけを持って
部屋を出た
優しい光が注がれる
以前ならこの光が嫌いだった
1日が始まる光
新しい1日が始まって
そこここで 動き始める朝
そんな朝が大嫌いだった
部屋のカーテンは締め切っていた
日光は浴びずに ただただベッドの上で
無駄な時間をダラダラと過ごしていた
虚無感
無気力
気だるさ
なんと形容すれば良いのかはわからないが
とにかく外には出たくなかった
それが今では外の光を浴びるようになった
荒れ果てていた部屋は片付けて
規則正しい起床と就寝を繰り返す
もちろんカーテンはしっかりと開ける
途中で立ち寄ったコンビニで
ホットコーヒーを頼む
口の中に広がる味は
緊張している気持ちを柔らかくしてくれる
コーヒーを啜りながら
また歩き始めると桜並木の道へ出た
満開の時期は終わって
少しづつ葉桜に向かっていく中
強めの風が吹いた
桃色の花弁は飛ばされて
ヒラヒラと漂っては
地面にぽとりと落ちていく
そして出来上がっていくのが
桜の絨毯だ
何十、何百、ひらりはらりと
落ちた花弁は私の前に道を作っていた
私だけの道ではないはずなのに
ご都合主義か 私のための絨毯なんだと
私のための指針なんだと錯覚した
この道を進んだら
私は元に戻れるだろうか
少しぬるくなったコーヒーを啜って
私は歩き出した
桜色の向こう側が
一体何色なのかを確認するために
晴れていたというのに
徐にぽつぽつと 小雨が降ってきた
道標が消える前にたどり着かないと
私は少しだけ歩幅を広くした
桜が舞ってるのを見るのが好き。もうタンポポが綿毛の季節なんだけどね、季節外れの詩笑




