表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/31

8.高い空にカラスが飛んだ

空は澄んでいた

空は高かった

空には雲ひとつなかった


誰もいない停留所

人通りのないメインストリート

大容量のキャリーケース


今日でこの町とはさようなら


頭の中を駆け巡る記憶

楽しかったことも

苦しかったことも

喜んだことも

悲しかったことも

私を形成する材料になった


胸いっぱいに空気を吸った

春の心地良い匂いがした


ふと カラスが目の前に現れた

道路をちょこちょこ

歩道をちょこちょこ


あんた轢かれるよ

なんて思っているとカラスと目が合った


お前 どこに行くんだと言っているようで

ちょこちょことこちらに向かってくる


近づいたら逃げてしまいそうで

一定の距離を保ったまま

カラスと向かい合う


空 飛べるっていいね どこにでも行ける


私の言葉がわかったのかはわからない

カラスが鳴いた


お前も飛べばいいじゃないか


うん

だから飛んだんだ

今日が旅立ちの日なんだ

君みたいな立派な翼はないけどね


遠くの方にバスが見えた

あんたそこにいたら轢かれるよ

また言葉が伝わったのかわからないけれど

カラスはまた鳴いて

高い空に飛んで行った


頑張れよ


空に舞っていく姿は自信に満ちている

その姿に背中を押され

私は乗客がゼロのバスに乗り込んだ


空は澄んでいる

空は高い

空には雲ひとつない


飛べたら気持ちが良さそうだ

慣れた場所を離れるのは勇気がいる。

新しい環境に飛び込むのも勇気がいる。


ワクワクもすればソワソワもする。


自由に生きればいい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ