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78.鏡の中の私

ふと目が覚めた

カーテンの隙間からは

微かに陽の光が漏れている

まだ起きるには早い時間

もう一回寝ようとしても

脳はすでに覚醒状態に入ってしまったようで

眠りたくても眠れなくなってしまった


仕方なくのそのそとベッドから這い出て

姿見の前に立つ

鏡の中の私はニコニコと元気そうだ


目の下にはくっきりとついたクマ

頰はこけて 目は腫れぼったい

それだと言うのに もう1人の私は笑っていた

今の状況を受け入れているかのように

諦めているかのように

まるで仮面でも被っているかのように笑っている


私の本心ではないと言うのに

ニコニコと笑っている

その笑顔は胡散臭くて嘘くさくてただの作り笑いで

何とも気色の悪い笑顔だった


胃がムカムカしてくる

口の中が酸っぱい 独特な酸味だ

トイレに駆け込んで 吐き出した

腹の中は空っぽで 出てくるのは胃液だけ


あぁ むかつく

あぁ むかつく

あぁ むかつく


自分に悪態をつきながら

口の中を軽くゆすいでから

再び姿見の前に立つ


まだ私は笑っている


行ってこいと言っている

働いてこいと言っている

嘘でも笑え 嘘でもにこやかに

不快にさせるな 笑顔でいろ


鏡を殴りたくなる衝動を抑えて

私は出かける支度をする

その動きは緩慢で

脳は行ってこいと行くなを交互に命令してくる


もう限界のはずなのに

無意識のうちに 私は鏡の中の私と同じになっていた


胡散臭い笑顔は 人の目にはどう映るのだろう

みんな頑張ってるよね。それが例え見せかけだとしても、元気でいるように見せてる。偉いと思う。

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