71.虫に好かれる女
ある日
職場の裏玄関の取っ手を触った
何かを触ったような潰したような
嫌な感触がして
思わず手を払ったが遅かった
漂う青臭さ 奴だった
ある日
寝室でジジジジと羽音が聞こえた
虫が入ってきたと思って
辺りを見渡すと照明ポーチの際に奴はいた
いざ退治しようと思って
ガムテープを手に戦闘態勢
手を伸ばした先には奴がいて
捕まえたと思ったら
粘着が弱くて奴は落下した
私の頭の上に
咄嗟に手で払い除けた
触れた感触はあった
ぺちっと床に叩きつけられた音もした
でも このままでは眠れない
ここは寝室
いつやつが顔にくっついてくるかも分からない
あの臭いを引っさげて
血なまこになってやつを探すこと数分
無事に対峙することができたが
触れた手も心做しか髪の毛も青臭い
せっかくシャワーを浴びたばかりなのにと
私はまた浴室へ足を向けた
ある日
タブレットで動画を見ていたら
ジジジジとまた羽音がした
雪どけが進んでいる時期だったのだが
まさか奴だと思わなかった
頭をブンブン振り回すと
ぽて っと何かが床に落ちた
奴だった
今日はへまをしないぞと
強粘着のテープを片手にいざ出陣
無事に捕獲に成功した
手に触れていないから臭いはしない
部屋の中にも臭いはしない
髪の毛に触れたかもしれないが
シャンプーとリンスの匂いしかしない
どうしてこうして
私はお前と縁があるのだろう
どうしてお前はまた私のところに現れるんだい 別個体だとしてもさ
虫ばかりが寄ってくる
悪い虫しか寄ってこない
ん?何の話だって?
悪い虫の話だよ
先程カメムシと格闘しました。頭に降ってくんなぁぁぁ!!と叫びたいのを我慢しました、賃貸住みの10時ですから笑




