61.弾けたポップコーン
両親と映画館に来るなんて
いつ以来だろう
慣例行事として新作が出る度に見にいっていたシリーズは終わってしまって
それから両親とは映画には行ってなかった気がする
ポップコーンとドリンクを注文し
父はこんなにデカいのかと驚愕していた
指定されたシートに座り
目の前の大きなスクリーンに映る予告作に目を向けて
(あ、これ面白そうだな)
と メロンソーダに口をつけながら公開日を記憶した
スクリーンに映るカラフルな色彩 大迫力の音響
自然と心がワクワクして
それと同時にポップコーンに伸びる手が止まらない
楽しかったね 面白かったねと
話しながら家路につく
一人で留守番していた愛犬は
カーペットから前足を出してお出迎え
おかえりおかえりと尻尾を振りながら
どさくさ紛れに私のスカートに顔をなすりつけてくる
ああ また鼻水つけたな こいつ
一通り愛犬を撫でていると
父がマフラーを外した
マフラーに紛れ込んでいたポップコーンが
床にポーンと数粒弾けた
母もその現場を目撃していて
ゲラゲラと二人で腹を抱えて笑う
父は少し照れくさそう
愛犬がポップコーンに鼻先を近づけるから
ダメだよ と制して笑いながら片付ける
また 笑いに帰ってきてもいいだろうか
また 一緒に出かけてもいいだろうか
また 帰ってくるね
愛犬を抱き抱えたら
鼻先をぺろりと舐められた
映画館のフードの匂いはずるいと思うんだ。美味しそうじゃん。




