59.共に過ごせるタイムリミット
ああ 今日も一日が始まった
ぼやけた視界はメガネをかけるとクリアになって
暗い部屋はカーテンを開けると明るくなった
窓の外は白くて 少し積もったな なんて考えていると
からだがぶるっと震えた
今日は一段と冷えるなと
ストーブの温度を上げて その前に腰を下ろす
あったかいなぁ…なんて思っていると
スマホが小さく音を立てた
出かけないかという両親からの誘い
昼頃に迎えに行くからとただそれだけだった
両親とはよくご飯を食べにいくし 実家にも帰る
毎年恒例の行事だとおもちゃ屋を今日は巡ることになった
幼い頃は正月に必ずジグソーパズルを作った
最後のピースは私がはめるんだと
姉と争った記憶もある
今年もジグソーパズルを見ながら
色んなのがあるねと母と笑いながら店内を歩く
父は自由にあちらこちらを行ったり来たりして
ミニカーやらプラモデルを見ていた
そんな時に ふと 込み上げてきた
この時間はあとどれくらい続くんだろうかと
どのくらい続けられるんだろうと
白髪だらけで皺だらけで
部屋に飾っている15年前の写真と
風貌はとても変わっている
あとどれだけ
元気にみんなで笑っていられるんだろう
美味しいご飯を食べて
また来るからねと別れを告げて
一人ぽっちの部屋に戻る
ポロポロ ポロポロ
一人になるのは怖いのだと
いなくなるのはとても怖いと
笑顔はどこかに消えて涙が止まらなかった
両親が願うのは
私が元気でいることなんだ
止まらない涙を拭って 深呼吸
白い塊が2つ 喉を通過した
きっとよくなる
きっとよくなるから
もっと笑える私になるから
どうか元気でいてください
まだまだ一緒に 笑っていたいから
タイムリミットよ始まらないで
親の老いを感じる度に、目頭が熱くなるのです。




