58.見て見ぬ振りをした午前8時
眠たい目を擦って
スマホの時間を視界に入れて
脳みそが覚醒した
部屋着の上に厚手のダウンを羽織って長靴を履いて
ゴミ袋を2つ引っ掴んだ
扉を開けると肌を空気が刺した
久々の寒気 昨日の夜から確かに冷えていたが
ここまで冷えるのは久しぶりだ
鼻をすすると 鼻の穴がなんだか張りつきそうで
青空がさらに空気を冷やしている気がした
足早にゴミステーションに向かうと
黒い影が2つ 悪さをしていた
引っ張り出された袋か
それとも元々外に置かれていた袋か
袋には穴が空いていて
黒い影はツンツンと更に穴を広げていた
私の姿を視界に入れると
悪さをぴたりとやめて少しだけ距離を取る
じっとこちらを見つめてきて
私が去るのを待っているようだった
パンパンに詰め込まれたゴミステーション
押し込めばまだ少しぐらいは入りそうだった
私はゴミ袋を2つ 無理矢理中に押し込んだ
散らかったゴミをどうするか 葛藤する
カラスはこちらを見ている
早く退けてくれないかと訴えている
立ちすくんだまま
ポケットに突っ込んだ素手は
結局冷えた空気に触れることはなく
私は見てみぬふりをした
カラスに一言 ダメだよと
全く意味のない一言を告げただけ
私の姿が遠ざかると
カラスはまた 袋を漁り始めた
ゴミステーションにはどちらにせよ入りきらなかったと
自分自身に免罪符を与えながら
ごめんなさいと心の中で呟いた
今朝はとても冷えました。




