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55.飛べなくたっていいじゃないか

翼は折れてしまった

灰色の空を無我夢中で飛び回り

あちらへ行き こちらへ行き

へとへとだった


それでも飛ばなければと 踠いていたら

ぶつかってしまったんだよ


大きな大きな壁に


ぶつかった衝撃で翼は折れた

高い壁はよじ登れそうにない

迂回できるほど壁は短くない

果てしなく果てしなく横にも上にも伸びていて


もう 元には戻れないのかと落胆した


その場にへたり込んでどれだけたっただろう

トントン と肩を叩かれる


同じ翼を持っていたけれど

あらぬ方向にその翼も折れていた


「もう戻れないんだ」と呟くと

「仕方ないよ」と返される


そうして手を引かれるのだ


「飛べなくたっていいじゃないか

ゆっくり歩いていけばいいんだよ」

「でもどこに?この先にはもう行けないよ」


高い高い壁

扉さえなくて この先には行けない

ただ この先に何があるのかは知らない


「どうして同じ場所を目指さなきゃ行けないの?」


くるりと踵を返して

壁とは反対方向へと歩いていく


「違う場所を、探してもいいんじゃないかな」


一歩踏み出すと

灰色の空が青く澄み切った


「飛び回っていて、何も見えていなかったんじゃない?」


灰色だった世界が

色のなかった世界が

少しだけ色づいた


「飛べなくたって歩けるんだよ」


ゆっくりと足をもう一歩踏み出すと

世界は少しずつ色づいていった


見えていなかった鮮やかな色が新鮮で

忘れていた色彩が眩しくて

ポタリポタリと涙が落ちた


「今できることを、探してみよう」


折れてしまった翼は戻らないけれど

前に進む足はある


どこに続くかわからないけれど

進んでみよう

少しだけ晴れたこの世界を

外はすっかり雪景色。どうして昔みたいに出来ないのかと嘆きながら、今自分に何ができるのかを必死で考えている。だから、筆は遅いけど、こうやって書くしかないのかなと思っています。

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