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51.一人ぼっちの風邪

焼けつくような喉の痛みと

息が切れるような咳が出る

頭に鈍痛が走って

ベッドの中で溜息をついた


この季節の変わり目に

酷い風邪をひいたものだ


病院で貰った薬を飲んで

ゴロゴロと横になっているのだが

声が掠れて出なくなってきたし

咳のしすぎで胸が痛む


「電話越しでもうつりそうなぐらい酷いね」

母からの電話

「電波で風邪菌は飛ばないよ」

カラカラと笑っても

心は少し泣いていた


体が弱ると心は寂しくなるもので

疲弊していた心は更にすり減って

電話を切った時には泣いていた


とうの昔に成人なんて過ぎたいい年した大人が

一人が寂しいと泣いているなんて何と滑稽な事か


天井の木目を数えていたら

いつの間にか眠っていたようで

部屋の中は薄暗い


腹がぐうと鳴る

食欲があることは良いことなのだが

食べ物があっただろうかと冷蔵庫の中を漁る


作り置きのおかずは食べ切った

冷凍のご飯も食べ切った


材料はあるけれど自炊は面倒臭いし

近くのコンビニまで買いに行くのも面倒臭い

このまま食べないで過ごそうかと考えた矢先に

インターホンが鳴った


モニターの中には母の姿


慌ててマスクをして扉を開けた

大きな紙袋を私に押し付けると

母は「無理しないで」と

それだけ言って帰って行った


袋の中に詰め込まれていたのは

栄養ドリンク

大好物のかぼちゃの煮物

レトルトのおかゆ

スポーツドリンクとお茶

ヨーグルトとゼリー

それからのど飴


ちょっと過保護すぎないかとついつい口元に笑みが浮かんで

次にポロリと涙が溢れた


いくつになったって

親というものは子が心配なんだろうか

そんな自分も

いくつになったって

親を頼ってしまうのだけれど


迷惑をかけたくないのに

自立しないといけないのに


結局親に甘えてしまう 情けない話

いつまでも元気な訳じゃないんだから

しっかりしないといけないのに

迷惑ばかり 心配ばかり かけてたらいけないのに


泣きながら食べた煮物は

昔から変わらない 大好きな味だった

絶賛風邪をひきました。みなさんも風邪にはお気をつけて。季節の変わり目ですから。

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