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4.ゆっくりお休み

秒針の音がやけに耳についた

酷く五月蝿い

布団を被っても鼓膜が揺れた


眠れないと焦れば焦る程

脳は覚醒していった


頭の中をかけ巡る「悪」を振り払っても

何度も何度も奴らはやってきた

寝返りをうってもうっても

しつこく奴らは追いかけてくる


頭の中をグジャグジャに掻き回して

涙腺のダムを欠壊させてくる


目を閉じて開けて 目を閉じて開けて

何度そうしたか分からない

カーテンの外が明るくなって

スマホの画面を見て 溜め息が出た


眠れない


眠れない


ようやく眠りに就けても


たかだか数時間の睡眠


目の下には 大きな隈

げっそりとした頬 死んだ魚の目

減らない腹 動かない体


起きたくないと布団に潜り込むと

スマホが鳴った


「眠れたかい」

「眠れなかった」


ポロポロと溢れてくる涙

勝手に垂れてくる鼻水

止まらない嗚咽


「眠たい?」

「…眠たい…」


嗚咽が少しずつ引っ込んで

耳に流れてくる音が心地よくて

あれだけ襲ってこなかった眠気が訪れる


「…寝れそう…」


独りじゃないと理解した 夜の孤独が消えた

瞼が落ちて 規則正しい寝息を立てた


「ゆっくりお休み」


あったかい声が聞こえた気がした

一人が好きだけど、独りは嫌い。

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