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16.煙を捨てた日
もうかれこれ
何年になるだろう
小さな箱を見つめた
注意喚起の書かれた箱
体にはとことん悪い箱
最初はただの興味本位で
気がつくと手放せなくなった
それでも一度辞めたのだけど
口が寂しくて 寂しくて
結局また 煙を吐き出していた
何度も何度も辞めようとして挫折をした
でも今回は本気だ
箱をぐしゃりと潰して
ゴミ箱に捨てた
もう二度と吸わないという誓い
もう二度と買わないという誓い
1本吸い終わったところで
世界が酷く揺れた
立っていられなくなって
壁に手をついて
呼吸を整えても回る世界
あぁ 辞めないと死ぬかも
いや いっそのこと死にたかった
この世界からいなくなるのなら
それでもいいのかもしれないと思った
でも まだそれが怖くて
死ぬタイミングじゃないんだと悟る
ストレスが溜まって吸って
好きな人とならんで吸って
一人でリフレッシュと吸って
あれだけ吸っていたはずなのに
たかだか1本 世界が回って
辞めることを決意した
もう買わなければ吸うことは無い
貰わなければ吸うことは無い
さようなら 相棒
あんたのお陰でたくさん救われた
でも 明らかに体が拒絶した
辞める日がやって来たようだ
さようなら 相棒
最後に一口 吸っておけばよかったかな
そんな時もあった




